問題5 完全解説
「4けたの整数・3の倍数・大小条件」
Part 1|問題・通常解説・初見での考え方
📋 問題
1から9までの数字が書かれたカードが1枚ずつあります。
この中から4枚を選んで4けたの整数を作ります。
ただし、次の条件をすべて満たすようにします。
- ① 4けたの整数は3の倍数である
- ② 千の位の数字は、百の位の数字より大きい
- ③ 十の位の数字は、一の位の数字より大きい
このような整数は全部で何個ありますか。
📖 通常解説
まず「3の倍数」の条件を整理する
3の倍数かどうかを調べるには、4枚のカードの数字の合計が3の倍数になればOKです。
例)1+2+3+6=12 → 12は3の倍数 → 1236、1263、… はすべて3の倍数 ✔
例)1+2+3+4=10 → 10は3の倍数でない → 1234などは3の倍数でない ✘
このルールは中学受験でよく使う大切な知識です。
STEP 1|1〜9の合計を確認する
45 ÷ 3 = 15 → 45は3の倍数
1〜9の合計は45(3の倍数)。これが後で重要な意味を持ちます。
STEP 2|「4枚の和が3の倍数」になる組み合わせを分類する
4枚の和を S とすると、残り5枚の和は 45-S です。
45が3の倍数なので、S が3の倍数 ⟺ 残りの5枚の和も3の倍数。
つまり「4枚の和が3の倍数」の組み合わせをすべて探せばよいのです。
STEP 3|4枚の和の範囲を確認する
最大の和:6+7+8+9 = 30
→ 和は 10〜30 の範囲
この中で3の倍数は:12, 15, 18, 21, 24, 27, 30
STEP 4|和ごとに4枚の組み合わせをすべて列挙する
1〜9のカード(同じ数は使えない)から4枚を選びます。丁寧に書き出します。
- {1, 2, 3, 6}
- {1, 2, 4, 5}
- {1, 2, 3, 9}
- {1, 2, 4, 8}
- {1, 2, 5, 7}
- {1, 3, 4, 7}
- {1, 3, 5, 6}
- {2, 3, 4, 6}
- {1, 2, 6, 9} {1, 2, 7, 8} {1, 3, 5, 9} {1, 3, 6, 8} {1, 4, 5, 8}
- {1, 4, 6, 7} {2, 3, 4, 9} {2, 3, 5, 8} {2, 3, 6, 7} {2, 4, 5, 7}
- {3, 4, 5, 6}
- {1, 3, 8, 9} {1, 4, 7, 9} {1, 5, 6, 9} {1, 5, 7, 8} {2, 3, 7, 9}
- {2, 4, 6, 9} {2, 4, 7, 8} {2, 5, 6, 8} {3, 4, 5, 9} {3, 4, 6, 8}
- {3, 5, 6, 7}
- {1, 6, 8, 9} {2, 5, 8, 9} {2, 6, 7, 9} {3, 4, 8, 9}
- {3, 5, 7, 9} {3, 6, 7, 8} {4, 5, 6, 9} {4, 5, 7, 8}
- {3, 7, 8, 9}
- {4, 6, 8, 9}
- {5, 6, 7, 9}
- {6, 7, 8, 9}
STEP 5|「大小条件」で並べ方を数える
4枚 {a, b, c, d} を選んだあと、大小条件(千の位>百の位、十の位>一の位)で並べます。
4枚の数字を小さい順に p < q < r < s とおきます。
「上2けた(千・百の位)に使う2枚」と「下2けた(十・一の位)に使う2枚」に分けます。
上2けたの2枚が決まれば → 大きい方が千の位、小さい方が百の位(自動で決定)
下2けたの2枚は残り → 大きい方が十の位、小さい方が一の位(自動で決定)
つまり「4枚のうち上2けたに使う2枚をどれにするか」だけ考えればよい。
4枚から2枚を選ぶ方法は 4×3÷2 = 6通り
STEP 6|6通りの「上2枚の選び方」を整理する
4枚を p<q<r<s とすると、6通りの整数ができます。
| 上2けたの組 | 千の位 | 百の位 | 下2けたの組 | 十の位 | 一の位 |
|---|---|---|---|---|---|
| {p, q} | q | p | {r, s} | s | r |
| {p, r} | r | p | {q, s} | s | q |
| {p, s} | s | p | {q, r} | r | q |
| {q, r} | r | q | {p, s} | s | p |
| {q, s} | s | q | {p, r} | r | p |
| {r, s} | s | r | {p, q} | q | p |
1〜9のカードはすべて異なる数字なので、どの4枚を選んでも必ず6通りの整数が作れます。
STEP 7|最終計算
各組み合わせからできる整数:6通り
全部の個数 = 42 × 6 = 252個
🧠 初見での考え方(思考実況)
開成受験生が本番でどう考えるべきか、頭の中を実況します。
「3の倍数 → 各位の和が3の倍数」と反射的に気づく。
整数の形(何千何百…)は後回し。まず選んだ4枚の数字の和に注目する。
「千>百」「十>一」という条件は、並べ方を絞る条件だと気づく。
「全部の並べ方(24通り)」ではなく、条件を満たす並べ方だけ数えることになる。
問題の構造が見えてくる:
① 3の倍数になる4枚の選び方 × ② その4枚の大小条件を満たす並べ方
この2つを独立に考えられる、と気づくのが最重要ポイント。
大小条件をよく見ると、「上2けた」と「下2けた」が独立していることに気づく。
→ 4枚から「上2枚」を選べば残りが「下2枚」に自動決定。
→ 4枚から2枚を選ぶ:4×3÷2=6通り。
→ どの4枚を選んでも必ず6通りが作れる!
「(3の倍数になる4枚の選び方)× 6」という構造が見えたら、
あとは42通りを丁寧に数えるだけ。
「1〜9の合計は45(3の倍数)」という事実が、分類の手がかりになる。
① 「3の倍数 → 和で分類する」と気づく
② 「選び方と並べ方を分離できる」と気づく
③ 「上2枚の選び方=6通り(どの4枚でも一定)」を見抜く
④ 和ごとに4枚の組み合わせを丁寧に列挙して42通りを確認する
▼ Part 2(なぜその方針か・典型ミス・別解・差がつくポイント・まとめ)へ続く
問題5 完全解説
「4けたの整数・3の倍数・大小条件」
Part 2|なぜその方針か・典型ミス・別解・差がつくポイント・まとめ
🔍 なぜその方針を選ぶのか
「全列挙」方針ではなぜ苦しいのか
まず「やってはいけない方針」から考えます。
千の位が9のとき、百の位は1〜8(8通り)。そのとき十の位・一の位は…
→ 条件が複雑に絡み合って、どこまで数えたか分からなくなる。
→ 重複や漏れが起きやすく、時間もかかる。
条件が複数あるとき、直接並べ方から考えると破綻しやすい。
「選び方と並べ方を分離」する方針がなぜ有効か
どの順番に並べても、4枚の数字の和は変わらない。
つまり「3の倍数かどうか」は4枚の組み合わせだけで決まる。
→ 先に「和が3の倍数になる組み合わせ」を絞ればよい。
どの4枚を選んだかが決まった後で、「どう並べるか」の話になる。
→ 選び方と並べ方が完全に独立しているので、かけ算で計算できる。
もし並べ方が組み合わせによってバラバラだったら、42通りを1つずつ計算しなければならない。
でも今回はどの4枚でも必ず6通り(4枚の数字がすべて異なるため)。
→ 「42×6」という簡潔な計算で終わる。
4枚の数字はすべて異なる(1〜9のカードだから)。
4枚から2枚を選ぶ組み合わせ:4×3÷2 = 6通り
選んだ2枚の大きい方が自動的に「上の位」、小さい方が「下の位」になる。
(「上2枚」と「下2枚」のそれぞれで大小が1通りに決まるため)
順列(並べ方)ではなく組み合わせの考えを使うのがポイント。
⚠️ 典型ミス
「3の倍数かどうかを千の位・百の位・…と1けたずつ計算しようとする」ミス。
問題は「千>百」と「十>一」の2つの独立した条件。
「千>百>十>一」(4つが全部降順)と誤読すると、正しい並べ方が大幅に減ってしまう。
「4枚の並べ方は 4×3×2×1=24通り」と書いてしまうミス。
大小条件があるので、24通りのうち条件を満たすものだけを数えなければならない。
「千>百、十>一の2条件があるから、24÷2÷2=6通り」→ここまでは正しい。
でも「6じゃなくて4通りだ」と間違える受験生がいる。
和=18 や 和=21 は11通りと多く、書き出しを途中でやめたり、同じ組み合わせを2回書いてしまうミス。
例えば「{2, 3, 4, 9}」と「{9, 4, 3, 2}」を別々に数えてしまうなど。
「3の倍数になる4枚の組み合わせ:42通り」を答えにしてしまうミス。
問題は「整数の個数」を聞いているので、並べ方(×6)をかけなければならない。
💡 別解
別解|「上2けた」と「下2けた」を分けて先に考える方法
別の視点:「3の倍数条件」を気にせず、先に大小条件を満たす4けた整数を考えてから絞る方法です。
まず「千>百、十>一」の条件だけを満たす4けた整数を作ることを考えます。
1〜9から4枚を選ぶ(C(9,4)=126通り)。
各4枚から「上2枚の選び方」が6通りあるので:
126 × 6 = 756通りの整数が「大小条件のみ」を満たす。
このうち「3の倍数」のものを求めたい。
1〜9の4枚の組み合わせ126通りのうち、和が3の倍数になるのは何通りか?
1〜9の各数字を3で割った余りで分類すると:
余り0:3, 6, 9 (3個)
余り1:1, 4, 7 (3個)
余り2:2, 5, 8 (3個)
4枚の和が3の倍数になる組み合わせのパターンは:
・余り0を4枚:{3,6,9}から4枚は不可(3枚しかない)
・余り0を1枚+余り1を1枚+余り2を2枚:3×3×3=27通り
・余り0を1枚+余り1を2枚+余り2を1枚:3×3×3=27通り
・余り0を2枚+余り1を1枚+余り2を1枚:3×3×3=27通り(※組み合わせ考慮)
→ この方法は計算が複雑になるため、本番では通常解法の方が確実。
おすすめ 通常解法(Part1の方法)
和ごとに42通りを丁寧に列挙 → ×6 = 252個
理由:手順が明快で、途中で確認しやすく、ミスに気づきやすい。
注意が必要 別解(余りで分類)
計算は速いが、パターンの列挙に抜けが出やすい。
余りの組み合わせパターンを完全に把握している人向け。
時間に余裕がある場合は、通常解法で42通りを列挙した後、合計を確認する。
🎯 開成で差がつくポイント
単なる「場合の数を数える」技術ではなく、
「複数の条件を整理して独立に処理する力」が問われています。
「3の倍数条件(組み合わせ)」と「大小条件(並べ方)」を分離して考える構造把握力がポイントです。
問題を見た瞬間に「条件が2種類ある → 分けて考えよう」と整理できる。
「並べ方がどの4枚でも6通りで一定」と気づき、計算構造を「42×6」と把握してから解き始める。
列挙は「最小の数から順に固定」するルールで、漏れなく丁寧に行う。
千の位から順番に場合分けを始めて、条件が複雑に絡み合い行き詰まる。
または、42通りの列挙で漏れ・重複が出て正確な数を出せない。
「3の倍数ルール」を知らず、整数を1つずつ3で割って確認しようとして時間切れになる。
開成の場合の数問題では「条件を整理して、かけ算の構造に持ち込む」ことが非常に重要です。
条件が多い問題ほど、「どの条件が独立しているか」を見極める力が問われます。
「すべての条件を同時に満たすものを一気に数えよう」とするのではなく、「条件ごとに分けて処理してから組み合わせる」発想が開成レベルの必須スキルです。
📚 この問題から学ぶべきこと
この問題の本質
・「3の倍数条件」→ 4枚の選び方(組み合わせ)の問題
・「大小条件」→ 4枚の並べ方(順列)の問題
この2つが独立しているから「かけ算」で処理できる。
複数条件が出てきたとき、「これは選び方の条件か、並べ方の条件か」を常に意識することが大切。
他の問題への応用
2の倍数(一の位が偶数)、5の倍数(一の位が0か5)、9の倍数(各位の和が9の倍数)など、倍数条件は「各位の和や最後の数字」で判断できる。これを知っているだけで問題の入り口が大きく変わる。
「単調増加・単調減少」「隣り合う2つに大小関係がある」など、大小条件がついた並べ方は「C(組み合わせ)で考える」のが定石。順列(P)で考えると分母が大きくなりミスしやすい。
「男女に分かれた席の配置」「特定の条件つき選手選び」など、複数の独立した条件が出てくる問題では、「条件ごとに場合の数を求めて最後にかけ算する」発想が使える。
今後どう活かすか
✅ 「3の倍数か?」→ 各位の和が3の倍数かを確認
✅ 「大小条件つきの並べ方」→ 組み合わせ(C)で考える
✅ 「複数の条件がある」→ 条件を種類ごとに分けて独立に処理できないか考える
✅ 「並べ方が何通りか」→ 全組み合わせで一定かを確認してからかけ算する
✅ 列挙するとき → 「最小の数を固定してから探す」ルールで漏れ・重複を防ぐ
Part 1(問題・通常解説・初見での考え方)と合わせてお読みください。
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