△ABR と四角形PCRQの面積比を求める
📝 問題
底辺BCが12cmの三角形ABCがあります。
辺BC上に点Pを、BP:PC=1:2 となるように取ります。
辺AC上に点Qを、AQ:QC=2:1 となるように取ります。
線分APとBQの交点をRとします。
三角形ABRと四角形PCRQの面積比を求めなさい。
△ABC、点P(BC上)、点Q(AC上)、交点R(AP∩BQ)
📖 通常解説
STEP 1|△ABCの面積を文字で置く
まず、△ABCの面積を S とおきます。
具体的な数値(底辺12cm)が与えられていますが、高さが不明なので、「全体をSと置いて比で管理する」方が計算が速くなります。これが開成レベルの基本姿勢です。
STEP 2|点Pの位置から△ABPの面積を求める
BP:PC=1:2 なので、BC全体を3とすると BP=1、PC=2 です。
高さ(Aから直線BCへの垂線)が共通なので、面積比=底辺の比 になります。
△ABP / △ABC = BP / BC = 1 / 3
よって △ABP = S × (1/3) = S/3
STEP 3|点Qの位置から△ABQの面積を求める
AQ:QC=2:1 なので、AC全体を3とすると AQ=2、QC=1 です。
高さ(Bから直線ACへの垂線)が共通なので、面積比=底辺の比 になります。
△ABQ / △ABC = AQ / AC = 2 / 3
よって △ABQ = S × (2/3) = 2S/3
STEP 4|交点Rの位置を「チェバの定理」的な比で求める
交点Rは「APとBQの交点」です。Rがどこにあるかを面積比で特定します。
ここで使うのが「三角形の中に交点を作る比の問題」の定番手法です。
△ABRと△BPRを考えます。
この2つは底辺をAP方向に持ち、頂点Bを共有しています。
別の見方をすると:
△ABP全体を「AR:RP」で分けた形が△ABRと△BRP です。
一方、△ABRと△BRPの比は、△ABQ から△BRQを引いた残り方でも求まります。
ここで「等底三角形の比」を使います。
△ABR と △BRP は、底辺AR・RPを持ち高さ共通(Bからの距離)
⇒ △ABR / △BRP = AR / RP
また、BQをまたぐ形で:
△ABR / △APR の比は 頂点BとPからの高さの比となる。
整理しましょう。△ABPの中に交点Rがあります:
△ABR + △ARB = △ABP ではなく、△ABP = △ABR + △BRP です。
Rの位置を求めるには「三角形の面積の比較」が最もシンプル
△ABQ = 2S/3(求済)
△ABQ = △ABR + △ARQ … ①
△ABP = S/3(求済)
△ABP = △ABR + △BRP … ②
ここで△ARQ と△BRP を別の方法で求めます。
STEP 5|AR:RPを面積比から求める【核心部分】
・△ABPの中でRはAP上にある:AR:RP の比をa:b とする
・△ABR と △BRP は共通の頂点Bを持ち、底辺AR・RPが同一直線上
⇒ △ABR / △BRP = AR / RP = a / b
・△ABQ の中でRはBQ上にある:BR:RQ の比をc:d とする
・△ABR と △ARQ は共通の頂点Aを持ち、底辺BR・RQが同一直線上
⇒ △ABR / △ARQ = BR / RQ = c / d
ここが本問最大のポイントです。「等底三角形を2方向から使う」という技法です。
△ABR と △PBR(同じAP上でRを挟む)は頂点B共通・高さ共通
⇒ △ABR / △PBR = AR / RP
また △ABR と △PBR の和 = △ABP = S/3
一方、△ABRと△PBRは BQの左右 でも考えられる。
△PBR は △PBQ(底辺BQを持つ)の一部。
△PBQ:頂点Pから底辺BCとして見ると、
△PBQ / △ABQ = BP / BA … これは高さが変わるため直接使えない。
✦ 正しい求め方:面積方程式を立てる
△ABC = S とおく
△ABP = S/3、△ABQ = 2S/3
AR:RP = m:(1-m) と置く(AP全体を1とする)
△ABR = △ABP × m = (S/3) × m … ③
BR:RQ = n:(1-n) と置く(BQ全体を1とする)
△ABR = △ABQ × n = (2S/3) × n … ④
③=④より:
(S/3) × m = (2S/3) × n
⇒ m = 2n … ⑤
STEP 6|△APCとBQ交点の関係からもう1式を立てる
PC:BC = 2:3 なので
△APC = S × (2/3) = 2S/3
△APC の中に点R(BQとAPの交点)と点Q(ACの2/3の点)があります。
△AQR(△APC の一部)を考えます。
△AQR = △APC × (AR/AP) × (AQ/AC)… これは面積の掛け算で使う公式です。
✦ △APQ から考える
△APQ:Aを頂点とし、底辺PQ。AQ:QC=2:1より △APQ と △CPQ の高さ比を使う。
△APQ / △APC = AQ / AC = 2/3
よって △APQ = (2S/3) × (2/3) = 4S/9
RはBQ上でBR:RQ=n:(1-n) だから、
△APR / △APQ = AR…
✦ 別の切り口:△BPC から式を立てる
△BPC = S × (PC/BC) = S × (2/3) = 2S/3
△BPC の内部に R はない(RはAP上なのでPCより上)ので、ここでは使わない。
✦ 正攻法:△BPR と全体から求める
△BPR = △ABP – △ABR = S/3 – (S/3)m … ⑥
△BPQ(頂点B、底辺PQ を囲む三角形)の面積を求める。
△BPQ = △ABC – △ABQ – △APC + △AQP…
(より直接的に)
△BPC = 2S/3(底辺PC=2/3 BC)
△BPC の中で QはAC上。△BPQ / △BPC = QCを底辺とみたとき
ここで確実な方法へ切り替えます。
STEP 6(確定版)|チェバの定理で比を一発決定
△ABCの内部の点Rに対して、
頂点A・B・Cからの3本のセビアン(頂点と対辺上の点を結ぶ線)が1点Rで交わるとき:
(BP/PC)×(CQ/QA)×(AR’/R’B)= 1
本問ではセビアンはAP(AからBC上P)とBQ(BからAC上Q)の2本だけ。
3本目は CR(CからAB上の点)。
チェバより:
(BP/PC) × (CQ/QA) × (AB’/B’A) = 1
(1/2) × (1/2) × x = 1
x = 4
これはABの分点B’(AB上):AB’:B’B = 4:1 を意味しますが、
今回Rを直接求めるにはチェバより面積の方が直接的です。
STEP 6(最終)|AR:RPを面積方程式で確定させる
AR:RP = t:(1-t) とおく(AP = 1 として)
△ABR = △ABP × t = (S/3) × t …①
次に BR:RQ を求めるため、△ABRを別方向から表す。
BR:RQ = u:(1-u) とおく(BQ = 1 として)
△ABR = △ABQ × u = (2S/3) × u …②
①=②より:(S/3)t = (2S/3)u ⇒ t = 2u …③
もう1本の方程式を△BPC から作る。
△BPR = △BPC × (RPをBC方向の分割として見た比)
ここで使う:△QPR について。
△QPR と △QPA は AP 上に R があり、頂点Q 共通。
△QPR / △QPA = PR / PA = (1-t)
△QPA = △BQA × (AP成分)… これが複雑になる。
✦ シンプルな方程式:△PCRQの面積を2通りで表す
四角形PCRQ = △APC – △ARQ
△APC = 2S/3
△ARQ = △ABQ × (1-u) × (AR/AB成分)… ここも複雑。
✦ 決定打:△APCの中の△AQRを面積比で求める
△AQR / △APQ = AR / AP = t
△APQ = △APC × (AQ/AC) = (2S/3) × (2/3) = 4S/9
よって △AQR = 4S/9 × t …④
また △AQR と △BQR(BQ上でRを挟む):
△AQR / △BQR = RQ / RQ → これは同じ底辺なのでAとBの高さ比になる。
別の表し方:
△AQR = △ABQ × (RQ/BQ) = (2S/3) × (1-u) …⑤
④=⑤より:
4S/9 × t = (2S/3) × (1-u)
4t/9 = 2(1-u)/3
4t = 6(1-u)
2t = 3(1-u) …⑥
③より t = 2u を⑥に代入:
2(2u) = 3(1-u)
4u = 3 – 3u
7u = 3
u = 3/7
③より t = 2u = 6/7
STEP 7|△ABRの面積を求める
STEP 8|四角形PCRQの面積を求める
△ABC = △ABR + △BRP + △ARQ + 四角形PCRQ
△BRP = △ABP – △ABR = S/3 – 2S/7 = 7S/21 – 6S/21 = S/21
△ARQ = (2S/3) × (1-u) = (2S/3) × (4/7) = 8S/21
確認:△ABR + △BRP + △ARQ
= 2S/7 + S/21 + 8S/21
= 6S/21 + S/21 + 8S/21
= 15S/21 = 5S/7
四角形PCRQ = S – 5S/7 = 2S/7
STEP 9|面積比を求める
= 2S/7 : 2S/7
= 1 : 1
🧠 初見での考え方|開成受験生の思考実況
問題を見た瞬間から、開成合格者の頭の中ではこう動きます。
-
「面積比の問題だ」と単元を特定する 「三角形の面積比を求めなさい」という問いに加え、BP:PC、AQ:QCという「辺の比」が与えられている。
→ これは面積比+交点の位置の問題。「チェバ・メネラウス系」か「面積比の方程式系」と即断する。 -
「何を求めたいか」を確認する △ABR と 四角形PCRQ の面積比。交点Rが絡む面積。
→ Rの位置(AR:RPとBR:RQ)が分かれば全部求まる。「Rの位置特定が主目標」と設定する。 -
△ABCの面積をSとおく(数値より比で管理) 底辺12cmの高さが不明。具体的数値で進めようとすると行き詰まる。
→ 即座に「S(全体)」で置く。全体をSとおくのが交点問題の基本。 -
まず「既知の三角形」を求めて足場を固める BP:PC=1:2 → △ABP = S/3 がすぐ求まる。
AQ:QC=2:1 → △ABQ = 2S/3 がすぐ求まる。
→ これが「基準の足場」。Rの位置はこの2つから決まる。 -
「△ABRを2方向から表せる」ことに気づく △ABRは:
・「APの分割比 t」を使えば = △ABP × t
・「BQの分割比 u」を使えば = △ABQ × u
→ 同じ面積を2通りで表す → 方程式が作れる!これが核心。 -
もう1本の方程式を「△AQR」で作る △AQRも同様に2通りで表せる。
・APの比(t)から: △APQ × t
・BQの比(u)から: △ABQ × (1-u)
→ 連立してt, uが求まる。
🔍 なぜその方針を選ぶのか
別の考え方ではなぜ苦しいか
なぜ「比で見るか」
底辺12cmという具体的な数値があるにもかかわらず、高さが与えられていません。「高さが分からない」のに面積を求めようとすると、必ず詰まります。
そこで「高さが分からなくても、同じ高さを持つ三角形同士の比は出る」という性質を使います。面積比は「底辺の比だけ」で決まる場合が多く、比で管理することで高さを消去できます。
なぜSと置いて全体管理するか
答えが「面積比」なので、最終的にSは消えます。ならば最初からSで置いて、全部の面積をSの倍数で管理する方が、余計な計算をせずに済みます。「最終的に消える文字は最初から使いやすい形で置く」—これが開成レベルの処理速度の源です。
⚠️ 典型ミス
💡 別解
別解①|チェバの定理でAR:RPを一発で求める
(BP/PC) × (CQ/QA) × (AD/DB) = 1
本問:BP/PC = 1/2、CQ/QA = 1/2
(1/2) × (1/2) × (AD/DB) = 1
AD/DB = 4
ここからAR:RPも求められますが、手順が増えます。
本番では面積方程式の方が直接的。
別解②|メネラウスの定理で交点比を求める
△APC に直線BQR を通す:
(AR/RP) × (PB’/B’C) × (CQ/QA) = 1
(B’はAB延長とBQの交点)…条件設定が複雑になるため割愛。
メネラウスより面積方程式の方がシンプル。
別解③|面積比の「全体引き算」を先に利用する
四角形PCRQ = S – △ABR – △BRP – △ARQ
△BRP = △ABP – △ABR = S/3 – 2S/7 = S/21
△ARQ = △ABQ × (RQ/BQ) = (2S/3) × (1 – 3/7) = (2S/3) × (4/7) = 8S/21
合計引く:2S/7 + S/21 + 8S/21 = 6S/21 + S/21 + 8S/21 = 15S/21 = 5S/7
四角形PCRQ = S – 5S/7 = 2S/7
🎯 開成で差がつくポイント
📌 この問題から学ぶべきこと
この問題の本質
「辺の比が与えられた三角形の交点問題」は、「同じ三角形を2方向の底辺・高さで表せる」という面積の多義性を使います。この技法は1つの答え。問題の構造を見て「どの三角形が2通りに表せるか」を即座に見抜けることが、開成レベルの初見対応力です。
他問題への応用
・3本以上の線分の交点が絡む複雑な図形 → 同じ発想で複数の方程式を立てる
・「平行四辺形の内部の点」「台形の対角線の交点」→ 同様に面積方程式が有効
・速さ・時間の比例問題でも「2通りで表せる量を等置する」は共通の戦略
今後どう活かすか
交点問題を見たら反射的に:
① 全体をSで置く
② 既知の足場を作る
③ 同一三角形を2方向で表す
④ 連立して解く
⑤ 引き算で仕上げ
このフローを「反射」で出せるまで練習する。開成の問題は「知っている型を使う」のではなく、「知っている思考の組み合わせで新しい問題を解く」ことを求めています。
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