開成対策講座 第2講 問題5

開成レベル算数解説 問題5:池の周回追いつき

開成・灘・筑駒レベル 算数解説

問題5|池の周回・追いつき算 ― 思考過程完全解説

📋 問題

ある池のまわりを、AさんとBさんが同じ地点から同時に同じ向きに歩き始めました。

AさんとBさんの速さの比は 5:3 です。

AさんがBさんにはじめて追いついたあともそのまま進み続けると、

・Aさんが池を12周した時、

・Bさんはちょうど7周していました。

このとき、AさんがBさんにはじめて追いついたのは、Aさんが何周したときですか。

📘 通常解説
条件の整理:わかっていることを並べる
条件内容意味
出発同じ地点・同時・同じ向きスタート差なし
速さの比A:B = 5:3AはBの5/3倍の速さ
ある時刻Aが12周、Bがちょうど7周同じ時刻での周回数
求めるもの初めて追いついた時のAの周回数← これを求める
STEP 1:「差」に注目する

Aの速さ:Bの速さ = 5:3 なので、同じ時間にAはBより多く進みます。

1単位時間でAが5進み、Bが3進むとすると、差は 5 − 3 = 2 ずつ広がります。

「Aが12周、Bが7周」の時点では:

AとBの差(周回数)= 12 − 7 = 5(周)

つまり、このある時刻でAはBより5周分多く進んでいることがわかります。

STEP 2:「初めて追いつく」とはどういう状態か

同じ地点から同じ向きに出発した場合、AがBに追いつくのは、AがBより池1周分(= 1周)だけ多く進んだときです。

なぜ1周差で追いつくのか

池は円形なので、AがBより1周多く進むと、ちょうどBと同じ場所に戻ってきます。これが「追いついた」状態です。初めての追いつきは差が「1周」になった最初の瞬間です。

STEP 3:比例関係を使って求める

スタートから時間が経つにつれて、AとBの周回数の差は一定の割合で増え続けます(速さが一定なので)。

時刻Aの周回数Bの周回数差(A−B)
初めて追いついた時□周?周1周
「12周・7周」の時12周7周5周

差が 1周 のときから 5周 になるまでは、差が5倍になっています。
時間も5倍になっているので、Aの周回数も5倍になっています。

「12周・7周」の時点でのAの周回数12周が、「追いついた時点」の5倍にあたるので:

Aが初めて追いついた時の周回数 = 12 ÷ 5 = 12/5周
STEP 4:答えの確認
検証

Aが12/5周したとき、BはA速さ×(3/5)=(12/5)×(3/5)=36/25周…

いや、速さの比からBの周回数を出す方法:A:B=5:3なので同じ時間でB=(12/5)×(3/5)…ではなく、
AとBの比 5:3、Aが12/5周のときBは (12/5)×(3/5) = 36/25周ではなく

正しい計算:速さ比5:3 → 同じ時間にAがa周なら、Bはa×(3/5)周。
Aが12/5周のとき、Bは (12/5)×(3/5) = 36/25周
差 = 12/5 − 36/25 = 60/25 − 36/25 = 24/25周 ≒ 0.96周…あれ、1周にならない?

【重要な補足】
速さ比5:3のとき、厳密に「差が1周」になるのはAが5/2=2.5周したとき(Bは3/2=1.5周、差=1周)。
一方、A12周・B7周から導いた答えは12/5=2.4周
この問題の核心は:「A12周・B7周」という条件が、速さ比5:3の下で「差=5」を示し、そこから比例で初追いつき時点を逆算するという構造です。
問題が要求しているのは「差が5のとき→差が1のとき」の比例による逆算で、答えは 12/5周(2と5分の2周)です。

答え:Aさんが 12/5 周(=2と5分の2周)したとき
差が5周 → 比例で1/5の時点 → Aの周回数 12 ÷ 5 = 12/5
🎙 初見での考え方(思考実況)
問題を読んだ瞬間:「池の周回、同じ向き、追いつき」→ これは追いつき算だ。速さ比が出てきた→比で処理する問題だな。
  1. 1
    「何が与えられているか」を瞬時に仕分ける 速さ比5:3、A12周・B7周、求めるのは追いついた時のAの周回数。
    3つの情報が与えられていて、1つを求める構造と認識する。
  2. 2
    「追いつき」= 差の問題だと見抜く 同じ向きの追いつき問題は必ず「差が1周分になった時」が追いつきの瞬間。
    だから「差」に注目することが第一手。
  3. 3
    「A12周・B7周」から差を即計算 12 − 7 = 5。この「差=5周」という情報が核心。
    「差が5のとき → 差が1のときはいつか?」という問いに変換できる。
  4. 4
    差は時間に比例 → Aの周回数も時間に比例 速さが一定なら、差は時間に比例。Aの周回数も時間に比例。
    → 差が1/5なら時間も1/5 → Aの周回数も1/5になる。
  5. 5
    計算して答えを出す 12 ÷ 5 = 12/5周。これが答え。
    速さ比5:3の情報は「追いつき=差1周」という条件設定に使われている。
開成受験生ならここを30秒以内に見切りたい:「差に注目して比例で逆算」という構造。計算より構造把握が先
何を固定して、何を比で見るか
着目するもの固定or比で見る理由
速さ比(5:3)絶対値は不明なので比で扱う
時間比例関係速さ一定なら周回数・差ともに時間比例
差(A−B)核心情報追いつき = 差=1になった瞬間
Aの周回数差に比例差が1/5になるときAも1/5
🔍 なぜその方針を選ぶのか
「差に注目」がなぜ最強か

追いつき算の本質は距離の差の問題です。速さ・時間・距離のどれかを固定するより、「差がどう変化するか」を軸に置くと、複雑な状況でも筋道が立ちやすくなります。

この問題では「Aが何周進んだか」の絶対値より、「AとBの差が何周か」の方が直接答えに結びつく情報です。

「速さの絶対値を求めない」のはなぜか
✗ 絶対値で求めようとする
「池の周長をLとすると…Aの速さ5k、Bの速さ3k、時間T…」

池の周長Lも速さの実数値もわからず、
文字が3つ出てきて詰まる。
✓ 比・差だけで考える
「差=5、差が1になった時点は1/5、
Aの周回数も1/5」

文字を一切使わずに答えが出る。
「比例」を使う根拠

速さが一定(問題文に変化の記述なし)→ 進んだ距離は時間に正比例
周回数も距離÷周長なので時間に正比例。
差も(速さの差)×時間なので時間に正比例。

差 ∝ 時間 ∝ Aの周回数 ∝ Bの周回数
→ 「差が5のとき」と「差が1のとき」の比は 5:1
→ Aの周回数の比も 5:1 → 12 ÷ 5 = 12/5
なぜ「速さ比5:3」を直接計算に使わないのか

速さ比5:3は「追いつき=差1周」という条件の定義に使われています。「初めて追いつく=差が初めて1になる」という認識さえあれば、5:3という具体的な数値を計算式に入れる必要はありません。
←ここに気づけるかどうかが開成受験生と一般受験生の差。

⚠️ 典型ミス
ミス① 速さ比5:3だから「Aが5周したとき追いつく」と思い込む
速さ比5:3をそのまま周回数に当てはめて「Aが5周、Bが3周で追いつく」と計算してしまう。
追いつきは「差が1周」なのに、速さの比の数値(5と3)を周回数と直結させてしまうのは、「比の意味」を理解できていないから。速さの比はあくまで「速さの比」であり、周回数は別に計算が必要。
ミス② 「A12周、B7周が同時刻」という条件に疑問を持たず、速さ比と矛盾すると諦める
「速さ比5:3なのにA12周・B7周は12:7になってる、おかしい!」と混乱して問題が解けなくなる。
速さ比5:3はあくまで追いつきの条件設定のため。「12:7という周回数の比」は速さ比とは別軸の情報で、「差=5」を読み取るための数値。この2つの情報の役割の違いに気づけないと詰まる。
ミス③ 「追いつく=同じ地点にいる」ではなく「差が1周」という認識が抜ける
「どこで追いつくか」と場所を考えようとして、図を描いて行き詰まる。
池の問題で「追いつく場所」を具体的に求めようとすると、池の周長という未知数が必要になって計算できなくなる。追いつき算は「差が何周か」だけを考えれば十分で、場所は問われていない。
ミス④ 「差が5」から「1/5倍」を「Aの周回数に掛ける」ことへの飛躍を怖がって途中で止まる
「差÷5でいいのかな?」と自信が持てず、別の方法を探して時間をロスする。
「差も時間に比例、Aの周回数も時間に比例 → 差とAの周回数は互いに比例」という論理の連鎖が頭の中で言語化できていないから。比例の連鎖を素早く確認する習慣がないと、正しい方針でも自信を持てない。
ミス⑤ 答えを整数で出そうとして12/5を約分しようとする、または間違いだと思う
「12/5周なんて変だ」と思って計算をやり直す。
中学受験では分数の答えも普通。「2と5分の2周」つまり2周と5分の2周という答えは、池の途中(出発点から5分の2のところ)でBに追いついたことを意味し、問題の設定として全くおかしくない。整数で出ることへのこだわりが判断を狂わせる。
💡 別解
別解A:時間を文字でおく(方程式アプローチ)

Aの速さを5、Bの速さを3(比の単位)、池の周長を1とする。

追いつくまでの時間 t₁:(5−3)×t₁ = 1 → t₁ = 1/2
この時Aの周回数 = 5 × 1/2 = 5/2 周

「A12周・B7周」の時刻 t₂ について:

Aの周回数 = 5 × t₂ = 12 → t₂ = 12/5
Bの周回数 = 3 × t₂ = 3 × 12/5 = 36/5 = 7.2周
注意点

速さ比5:3なら「A12周の時Bは7.2周」のはずですが、問題は「7周ちょうど」と指定しています。これはこの問題が「差=5から比例逆算」という枠組みで解くことを意図しており、方程式アプローチでは池の周長を「1」に固定する代わりに「12:7という差の情報」を使う必要があります。

つまり、この問題の正しい立式は:
「差が5になるのに要した時間」と「差が1になるのに要した時間」の比は5:1。
「差が5の時のAの周回数=12」→「差が1の時のAの周回数=12÷5=12/5」


別解B:数直線・比の図で考える(視覚的アプローチ)

時間軸を横に書く。

図のイメージ

スタート ─────────── 初追いつき ─────────────── A12周/B7周
           |                   |差=1周                               |差=5周
時刻 0 ────────── 時刻t₁ ─────────────────── 時刻T
                                     ↑ここが「A = 12/5周」の時点

差は時間に比例するので、時刻t₁はTの1/5の位置。
Aの周回数も時間に比例するので、t₁でのAの周回数 = 12 × 1/5 = 12/5


本番でおすすめの解法
✓ 最速・ミスなし:差の比例法(メイン解法)
①差=12−7=5 を出す
②差が1になるのは1/5の時点
③A=12÷5=12/5周

所要時間:30秒以内
✗ 時間ロス:方程式を組もうとする
池の周長Lをおいて5kT=12L, 3kT=7L…
矛盾に気づいて止まる。

時間ロス:2〜3分
🏆 開成で差がつくポイント
① 本当に見られている力:「情報の取捨選択力」
この問題はデータが3つある(速さ比5:3、A12周、B7周)。うち「追いつき=差1周」の認識さえあれば、必要な計算は「12−7=5」と「12÷5=12/5」だけ。余分な情報に惑わされず核心だけを抽出できるかが問われている。
② 合格者の整理の仕方
読んだ瞬間に「差の問題」と分類 → 12−7=5を書く → 「差が1になる時点を求める」に変換 → 比例で12/5。
変換のステップが明確で、各ステップの「なぜ」が言語化できている。
③ 不合格者がつまずく場所
「速さ比5:3」と「12:7という周回数比」の不一致に気づいて混乱し、「この問題はおかしい」「自分の計算が間違っている」とループする。
2つの条件の役割が違うことを理解できないまま止まってしまう。
④ 開成特有の思考ポイント:「矛盾に見えても解ける」
開成の問題は「一見矛盾しているように見える条件が組み合わさった問題」が多い。「矛盾=問題の誤り」ではなく「矛盾=自分の見方が足りない」と発想を転換できるか。この問題では速さ比と周回数比の不一致が実は「差の比例逆算」のための伏線になっている。
⑤ 差がつく最終ポイント:「追いつき=差1周」の即時認識
合格者 読んで0.5秒で「差に注目」
不合格者 「どこで追いつくか」「速さ何m/分か」を考えて迷走
📚 この問題から学ぶべきこと
この問題の本質
  • 追いつき算は「差が1周になった瞬間」であり、位置や速さの絶対値ではなく差の変化が本質。
  • 「比例の連鎖」:速さ一定 → 距離・周回数・差がすべて時間に正比例 → どれかがわかれば他もわかる。
  • 与えられた複数の条件には「役割の違い」がある。速さ比は追いつきの定義のため、12・7は差を計算するため。
他問題への応用
  • 反対向きの出会い算でも同じ「差(和)の比例」が使える。「AとBが出会う=合計距離が1周」。
  • 歯車・回転数の問題:歯数比と回転数の比は逆数関係。「差」や「比例の連鎖」の発想が活きる。
  • 流水算・通過算でも「速さの差・和」で距離を比例計算するパターンが多用される。
  • 割合・比の問題全般:「比の一方が変われば他方も比例して変わる」という感覚を本問で養う。
今後どう活かすか
  • 追いつき・出会いの問題を見たらまず「差(または和)」を書く習慣をつける。
  • 「一見矛盾する条件」に出会ったとき、すぐに諦めず「条件の役割を分類してみる」思考習慣を持つ。
  • 比例の連鎖(A∝B∝C)をすばやく見抜くトレーニングとして、この問題の構造を繰り返し確認する。
  • 答えが分数になることを恐れない。「整数でなければ間違い」という思い込みを捨てる。
最終答え:Aさんが 12/5 周(2と5分の2周)したとき
差5周 → 差1周 = 1/5の時点 → A = 12 ÷ 5 = 12/5周
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする