開成対策講座 第4講 問題1

対策講座解説|数の並びと和の問題
開成・灘・筑駒レベル|中学受験算数 対策講座解説

数の並びのグループ分けと和
― 規則性・三角数・和の工夫 ―

問題1|難度:★★★☆☆|分野:規則性・数列・和

📋 問題

次のように数を並べます。

1 1 2 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 4 5 ……

このとき、上から20段目までに書かれている数の和を求めなさい。

問題文の読み取り:
この数列は「グループ」に分けて読む。
第1グループ:1(1個)
第2グループ:1・2(2個)
第3グループ:1・2・3(3個)
第4グループ:1・2・3・4(4個)……
つまり「第k段」は、1から k までの整数を並べた k 個のグループ。

📝 通常解説

ステップ① 構造を整理する

まず、この数列を「段(グループ)」に分けて整理します。
第k段には「1・2・3・…・k」が並んでいます。
第k段の和 = 1+2+3+…+k = k×(k+1)÷2
並ぶ数 個数 段の和 計算
第1段11個11×2÷2
第2段1 22個32×3÷2
第3段1 2 33個63×4÷2
第4段1 2 3 44個104×5÷2
第5段1 2 3 4 55個155×6÷2
第k段1 2 … kk個k×(k+1)÷2

ステップ② 20段分の和を求める(正攻法)

求めるのは、第1段から第20段までの「段の和」をすべて足したものです。
全体の和 = 第1段の和 + 第2段の和 + … + 第20段の和
= 1 + 3 + 6 + 10 + 15 + 21 + 28 + 36 + 45 + 55
+ 66 + 78 + 91 + 105 + 120 + 136 + 153 + 171 + 190 + 210
これをそのまま足すと計算ミスが起きやすいです。前半10段・後半10段に分けて計算するのがおすすめです。
前半(第1〜10段)
1+3+6+10+15
+21+28+36+45+55
220
後半(第11〜20段)
66+78+91+105+120
+136+153+171+190+210
1320
全体の和 = 220 + 1320 = 1540
答え 1540

ステップ③ 「差し引き法」による速算(別の求め方)

開成レベルでは、「差し引き(引き算の連鎖)」を使った速い求め方も重要です。
1
ある数列を用意する
「k×(k+1)×(k+2)÷6」という数を計算してみます。
これは3つの連続する整数の積を6で割ったものです。
k=1:1×2×3÷6 = 1
k=2:2×3×4÷6 = 4
k=3:3×4×5÷6 = 10
k=4:4×5×6÷6 = 20
k=5:5×6×7÷6 = 35
k=0:0×1×2÷6 = 0
2
「差」が第k段の和になっている!
k=1のとき:1−0 = 1(=第1段の和)
k=2のとき:4−1 = 3(=第2段の和)
k=3のとき:10−4 = 6(=第3段の和)
k=4のとき:20−10 = 10(=第4段の和)
k=5のとき:35−20 = 15(=第5段の和)
「k×(k+1)×(k+2)÷6 の差」が第k段の和にぴったり一致する!
3
20段分を一気に足す
第1段の和 =(k=1の値)−(k=0の値)
第2段の和 =(k=2の値)−(k=1の値)
……
第20段の和 =(k=20の値)−(k=19の値)

すべて足すと、途中の数が次々と打ち消し合って、 最後の「k=20の値」だけが残ります!
4
k=20 の値を計算する
20×21×22÷6 = 9240÷6 = 1540
全体の和 = 20×21×22÷6 = 1540
なぜ途中の数が打ち消し合うの?(望遠鏡のたし算)
第1段の和 = 4 − 1
第2段の和 = 10 − 4
第3段の和 = 20 − 10

第20段の和 = 1540 − 1330

足すと「青い数」と「赤い数」が順番にペアになって消えていきます。
残るのは最初の「−1(k=0の値)」と最後の「+1540(k=20の値)」だけ。
答え = 1540 − 0 = 1540
(k=0 のとき 0×1×2÷6=0 なので引く部分は0)

🧠 初見での考え方

【開成受験生の実況思考】
数列を見た瞬間にすること
「1 1 2 1 2 3 …」→ 区切り目が見えるか?と即座に問う。
グループ分けで読むと「第k段 = 1〜k の数列」とわかる。
「グループ番号がそのまま最大値になっている」のが最重要の観察ポイント。
「段の和」をまず公式化する
第k段の和 = k×(k+1)÷2 とすぐ書く。
この形を見た瞬間に「三角数だ」と認識できると、
「三角数の和 = 差し引き法で求められる」という知識につながる。
「20段分を足す」方法の選択
方法A:直接20個の三角数を全部足す(計算量多いがミスなし)
方法B:差し引き法で一発計算(速いが仕組みの理解が必要)
開成本番では、方法Bを使える人が圧倒的に有利。
「差し引き法」への気づき方
「k(k+1)÷2 を差として持つ式はないか?」と考える。
3つの連続整数の積 k(k+1)(k+2) を6で割ると、
差が丁度 k(k+1)÷2 になることを確認できれば、あとは一発。
「差分で作れないか」という発想が鍵。

🎯 なぜその方針を選ぶのか

グループ分けが最初の必須作業な理由

数列をそのまま「1+1+2+1+2+3+…」と足そうとすると、
何番目の数がいくつかを一つ一つ把握しなければならず、全体の構造が見えません。
「段(グループ)に分ける」という視点を持つだけで、問題が「三角数の和」という扱いやすい形に変わります。
「構造の発見」が算数の出発点。

直接足す方法が「なぜ苦しいか」

20個の三角数(1, 3, 6, 10, …, 210)を全部足す方法は確実ですが、
①計算ミスのリスクが高い、②時間がかかる、という2つの弱点があります。
開成の試験では時間管理が勝負を分けるため、「正確で速い方法」を選ぶ意識が大切。

差し引き法が「なぜ有効か」

「足す対象が『何かの差』で書ける」なら、合計すると途中の項がすべて消えて計算が劇的に楽になります。
これは「掃き出し(望遠鏡のたし算)」と呼ばれる算数の重要テクニックです。
k(k+1)(k+2)÷6 という式は「三角数を差として持つ唯一の形」なので、
この形を知っているかどうかで解答速度が劇的に変わります。

「別の視点」:数nが何回登場するかで解く方法

「数n は第n段・第(n+1)段・…・第20段に登場するので、合計 (21−n) 回登場する」と考えると、
全体の和 = 1×20 + 2×19 + 3×18 + … + 20×1 と書けます。
この式は対称性があり(左右が鏡写し)、美しい構造ですが、
計算には n² の和が必要になり小学算数では重くなります。
差し引き法の方がシンプルで速い。

⚠️ 典型ミス

❌ ミス①:グループに分けずにそのまま足そうとする
「1+1+2+1+2+3+…」を20番目まで一個一個足してしまう。どこまでが「20段目」かも曖昧になる。
「段」という構造に気づかないまま数を追ってしまうから。問題文の「…」の前に区切りを意識する習慣をつけること。
❌ ミス②:「20番目の数の和」と「20段目までの和」を混同する
「20番目の数=?」と考え、数列の20番目の要素だけを求めてしまう。
「20段目まで」という言葉を「20番目の数」と読み違えるから。「上から20段目まで=第1段から第20段の全部」と正しく読み取ること。
❌ ミス③:第k段の和を「k×(k+1)÷2」ではなく「k÷2」などにする
1から k までの和の公式を正しく覚えていない。「÷2」だけ覚えていて「×(k+1)」を忘れる。
公式の「なぜ」を理解せず暗記しているから。ガウスの逆順たし算「(1+k)×k÷2」の仕組みを毎回思い出しながら使う習慣をつけること。
❌ ミス④:直接計算で足し算ミス(特に後半の大きい数)
136+153+171+190+210 などの計算でミスが起きる。
焦りから筆算を省略したり、繰り上がりを忘れたりするから。前半・後半に分けて丁寧に計算し、途中で合計を確認する習慣をつけること。
❌ ミス⑤:差し引き法で「k=0 の値を引き忘れる」
差し引き法を使うとき、0×1×2÷6=0 を引く必要があるのに、「k=1 から始まるから大丈夫」と確認しないまま進める。
差し引き法の仕組みを「結果の公式」としてだけ使っているから。「最初に何を引いているか」を毎回確認すること(k=0 のとき値は0なので今回は安全)。

🔄 別解・解法まとめ

別解①:「数が何回登場するか」を使う方法

数n(n=1〜20)は、第n段・第(n+1)段・…・第20段に1回ずつ登場します。
つまり数n の登場回数 = 21−n(21からnを引いた数)。
全体の和 = 1×20 + 2×19 + 3×18 + … + 20×1
この式はきれいな対称構造を持ちます(n番目と(21−n)番目がペア)が、
小学算数の範囲で計算するには工夫が必要です。
→ 「数列の構造を逆から読む」という発想力を鍛えるのに優れた別解。

別解②:直接計算(分割して丁寧に足す)

第1段:1
第2段:3
第3段:6
第4段:10
第5段:15
小計:35
第6段:21
第7段:28
第8段:36
第9段:45
第10段:55
小計:185
第11段:66
第12段:78
第13段:91
第14段:105
第15段:120
小計:460
第16段:136
第17段:153
第18段:171
第19段:190
第20段:210
小計:860
合計 = 35 + 185 + 460 + 860 = 1540
本番でおすすめの解法:
最速・最安全 差し引き法 → 20×21×22÷6=1540(一発計算)
確実・ミスしにくい 直接計算(5段ずつ小計)→ 35+185+460+860=1540
時間注意 一気に20個足す方法 → 計算ミス多発のリスクあり

差し引き法を知っているかどうかで解答時間が3〜5分変わる可能性があります。

🏆 開成で差がつくポイント

本当に見られている力

「グループ構造に気づく力」と「その和を効率よく求める計算力」の両方が問われています。
単に答えを出すだけでなく、「なぜその方法を選んだか」が明確に説明できることが開成のレベルです。

合格者の思考

①「段(グループ)に分ける」を0.5秒で判断。
②「第k段の和 = k(k+1)÷2」を即書きする。
③「三角数の和 = 差し引き法で求まる」と直結し、
  20×21×22÷6 を計算して終わり。
問題を見てから解答まで3〜4分。

不合格者が止まるところ

①グループ分けに気づくが、20個の三角数を全部書き出して足そうとする。
②計算ミスで答えが合わず、2〜3回やり直す。
③時間切れ、または焦りから答えが「1430」「1550」などになる。
差し引き法を知らないだけで7〜8分かかることもある。

開成特有の思考ポイント

開成は「規則性の問題で計算量を減らす工夫」を必ず試みます。
「k(k+1)(k+2)÷6」という「3つの連続整数の積÷6」が差し引き法のカギになる式は、
今後の問題でも繰り返し登場します。
「この形が出たら差し引き法!」と体に染み込ませておくこと。

📚 この問題から学ぶべきこと

この問題の本質

この問題の本質は「数列の構造を見抜いてから、効率よく和を求める」という2段階の力です。
「グループに分ける」という観察力と、「三角数の和=差し引き法」という計算の工夫の両方が必要です。
どちらか一方だけでは開成レベルには届きません。

他問題への応用

・「1, 1+2, 1+2+3, …」の数列の和(同じ構造)
・「k段目に k² 個のものが並ぶ」など、段の数が二乗になるパターン
・「差し引き法(望遠鏡のたし算)」が使える数列全般
・分数の和「1/(k×(k+1)) = 1/k − 1/(k+1)」に同じ差し引き法が使える

今後どう活かすか

① 「グループに分けて読む」を癖にする(規則性問題の基本中の基本)
② 「三角数の和 = n(n+1)(n+2)÷6」を自分の手で確かめて覚える
③ 「差し引き法」を他の数列でも試してみる(習熟が大切)

「差を使って和を求める」は算数最強のテクニックのひとつ。
今日この問題で身につけた発想は、今後10年使い続けられます。

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