中学受験算数の「図形の移動」では、図形が回転したり、まっすぐ動いたりする途中の状態を考えます。完成した図だけを眺めていると、どの辺がどこを通ったのか分からず、面積や長さを正しく求められません。
図形の移動が苦手になる原因
図形の移動でつまずく最大の原因は、図形全体を一度に動かそうとすることです。実際には、頂点や辺を一つずつ追う方が状況を正確に整理できます。
特に回転移動では、回転の中心から近い点と遠い点で動く距離が異なります。図形の各点は円周上を動くため、直線で結んだ長さを軌跡だと思うと誤答につながります。
- 回転の中心を決めずに図を動かしている
- 頂点の軌跡と辺が通過する範囲を混同している
- 移動前と移動後の対応する頂点が分かっていない
- 半径や中心角を図に書き込まず、暗算で処理している
最初に区別したい3つの動き
平行移動
図形の向きを変えず、すべての点を同じ向きに同じ距離だけ動かします。対応する辺は平行のままです。まず矢印で移動の向きと長さを図に書き込みましょう。
回転移動
一つの点を中心として図形を回します。各頂点は、回転の中心を中心とする円周上を動きます。「中心・半径・回転角」の3点を必ず確認します。
対称移動
直線を折り目として図形を反対側へ移します。対応する点と対称の軸を結ぶ線は、軸に垂直になります。対応する点から軸までの距離は等しくなります。
軌跡を正しく描く5つの手順
- 動きの種類を確認する:平行移動、回転移動、対称移動のどれかを判断します。
- 基準を明示する:回転なら中心、対称なら軸、平行移動なら向きと距離を書き込みます。
- 頂点に印を付ける:移動前後で対応する頂点を同じ記号で結び付けます。
- 一点ずつ軌跡を描く:回転なら円弧、平行移動なら同じ長さの線分として追います。
- 境界を確定してから計算する:重なりを含むか、通過した部分だけかを問題文と照合します。
例えば、長方形を一つの頂点のまわりに90度回転させる場合、回転の中心にある頂点は動きません。それ以外の頂点は、それぞれ中心からの距離を半径とする4分の1円を描きます。遠い頂点ほど長い円弧を通る点が重要です。
よくある間違いと直し方
円弧を直線で結んでしまう
回転移動の頂点は、中心からの距離を保ったまま動きます。したがって軌跡は直線ではなく円弧です。中心から頂点まで補助線を引き、半径が一定であることを確認しましょう。
大きい扇形から何を引くか分からない
通過部分の面積では、外側の頂点が作る扇形から、内側の頂点が作る扇形を引く形がよく現れます。先に外側と内側の境界を色分けせず鉛筆でなぞり、半径を図に記入すると式を立てやすくなります。
移動後の図だけで判断する
移動の途中に通った部分は、出発点と到着点だけでは決まりません。途中の代表的な位置を薄く1つ描くと、辺が掃く範囲をイメージしやすくなります。
家庭学習での練習方法
最初は計算より作図を優先します。正方形や長方形を紙に描いて切り取り、鉛筆の先で一つの頂点を押さえながら回すと、中心から遠い点ほど大きく動くことを実感できます。
問題を解き終えたら、次の3点を確認してください。
- 回転の中心や対称の軸を図に明示したか
- すべての頂点の軌跡を正しく追ったか
- 求めた面積が「図形そのもの」か「図形が通過した部分」かを確認したか
同じ問題を翌日に、図だけを見て解き直すのも効果的です。式を覚えるのではなく、どの境界を使って面積を作ったかを説明できる状態を目指しましょう。
まとめ
図形の移動は、図形全体を一度に動かすのではなく、基準と頂点を一つずつ追うと整理できます。回転移動では「中心・半径・回転角」、平行移動では「向き・距離」、対称移動では「軸・垂直・等距離」を確認してください。境界を確定してから計算する習慣が、面積や軌跡の問題を安定させます。
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