中学受験の国語で、選択肢問題は解けるのに記述問題になると手が止まる。本文の内容は分かっているはずなのに、何を書けばよいか決められない。こうした悩みは、国語の知識が足りないというより、本文の根拠を設問に合わせて組み立てる手順が定まっていないことから起こります。
記述問題は、きれいな文章を自由に書く問題ではありません。設問が求める要素を見抜き、本文から根拠を集め、指定字数に収める問題です。本記事では、記述問題で空欄を減らし、部分点から安定した得点へつなげる具体的な方法を解説します。
記述問題が書けない5つの原因
1.設問の条件を分解していない
「なぜですか」「どのようなことですか」「そのときの気持ちを説明しなさい」では、必要な答え方が違います。さらに「本文中の言葉を使って」「二つの点を含めて」「40字以内で」などの条件もあります。設問を一文のまま眺めると、何を答えるべきか曖昧になります。
2.本文の言葉を探す前に自分の考えを書いている
読解の記述問題で求められるのは、原則として本文に基づく答えです。もっともらしい感想を書いても、根拠が本文になければ得点になりません。自分の意見を考える前に、答えの材料となる言葉や出来事へ線を引く必要があります。
3.答えに必要な要素が一つ足りない
たとえば理由を問う問題で、「失敗したから」だけでは不十分なことがあります。「何に失敗し、その結果どうなったからか」まで必要かもしれません。採点基準は複数の要素に分かれていることが多く、一要素だけでは部分点にとどまります。
4.本文をそのまま長く写している
根拠を見つけても、前後をそのまま写すと字数を使い切ります。設問と関係のない修飾語や重複表現を削り、主語・述語・理由・結果を残す編集が必要です。
5.模範解答を読むだけで終えている
模範解答を見て「なるほど」と思っても、次の問題で同じ手順を再現できるとは限りません。大切なのは、模範解答の表現を覚えることではなく、どの根拠をどの順番で組み合わせたかを確認することです。
本文の根拠から答えを作る6つの手順
手順1.問いの中心語に印を付ける
まず、設問の「なぜ」「どのような」「気持ち」「変化」「二つ」「本文中の言葉」「字数」といった語に印を付けます。これで、答える内容と形式を分けて確認できます。
手順2.解答の文末を先に決める
文末を設問に合わせると、答えの方向が安定します。
- 「なぜですか」→「〜から。」
- 「どのような気持ちですか」→「〜という気持ち。」
- 「どのようなことですか」→「〜ということ。」
- 「どう変化しましたか」→「〜から〜へ変化した。」
文末を決めるだけで、感想や本文の丸写しになりにくくなります。
手順3.傍線部の前後から直接の根拠を探す
最初から本文全体を探し回らず、まず傍線部の近くを確認します。指示語の内容、接続語、同じ意味の言い換え、人物の行動や会話に注目しましょう。「しかし」の後には変化や筆者の主張、「つまり」の後には要約が置かれやすい傾向があります。
手順4.必要な要素を箇条書きにする
いきなり解答欄へ書かず、余白に答えの材料を短く並べます。たとえば理由問題なら、次のように整理します。
- きっかけ:友達の助言を聞いた
- 気づき:自分の思い込みに気づいた
- 結果:相手の立場を考えられるようになった
この三つが採点要素なら、解答にも三つを残します。
手順5.設問の言葉とつながる一文にする
箇条書きの材料を、因果関係が伝わる順に並べます。理由なら「AしたことでBに気づき、Cと思ったから」のように、きっかけ・認識・結果をつなぎます。主語が曖昧になったときだけ補い、同じ内容の繰り返しは削ります。
手順6.字数と条件を最後に点検する
完成後は、次の順で確認します。
- 設問に対する文末になっているか
- 指定された要素がすべて入っているか
- 本文に根拠のない内容を足していないか
- 主語と述語が対応しているか
- 指定字数に収まっているか
字数が余ること自体は誤りではありません。必要な要素が入り、意味が明確なら、無理に言葉を足す必要はありません。
設問別の基本パターン
理由を問う問題
「出来事」だけでなく、その出来事によって人物がどう判断したかまで確認します。心情の理由なら、出来事+受け止め方+気持ちの順で整理すると書きやすくなります。
気持ちを問う問題
「うれしい」「悲しい」だけでは、本文固有の内容が不足します。「努力を認めてもらえたので、安心するとともにうれしく思う気持ち」のように、気持ちが生まれた理由を添えます。二つの感情が混ざっている場面にも注意しましょう。
変化を問う問題
変化後だけでなく、変化前も必要です。「はじめは〜と考えていたが、〜をきっかけに、〜と考えるようになった」と対比させると、採点要素を落としにくくなります。
説明を問う問題
比喩や抽象表現を、本文中の具体的な内容へ置き換えます。傍線部の語を繰り返すだけでは説明にならないため、「誰が・何を・どうすることか」が分かる形に直します。
家庭でできる練習法
最初は字数を気にせず要素を集める
書けない子に、いきなり40字以内の完成答案を求めると負担が大きくなります。まず本文の根拠を二つまたは三つ見つけ、箇条書きにする練習から始めましょう。その後、一文にまとめてから字数を調整します。
模範解答と「使った根拠」を照合する
模範解答を色分けし、各部分が本文のどこから来たかを探します。自分の答案にない要素があれば、単に書き写すのではなく、「設問のどの言葉から必要だと判断できたか」を確認します。
同じ問題を三段階で書き直す
- 根拠を箇条書きにする
- 字数を気にせず一文にする
- 不要な言葉を削って指定字数に収める
この三段階を踏むと、考える作業と文章を短くする作業を分けられます。記述が苦手な子ほど効果的です。
保護者が添削するときの注意点
保護者が文章をすべて書き直してしまうと、子どもは「自分には書けない」と感じやすくなります。添削では、次の順に問いかけてください。
- 設問は何を聞いている?
- 答えの根拠は本文のどこ?
- 必要な要素はいくつある?
- どの言葉なら削っても意味が変わらない?
表現の美しさより、設問への対応と根拠の有無を先に確認します。誤字や助詞の修正は最後で構いません。
理数館コメント
記述問題は、才能や作文センスだけで決まるものではありません。「設問を分解する」「本文から根拠を集める」「必要な要素を一文につなぐ」という作業を毎回同じ順番で行えば、空欄は減り、部分点が安定します。最初から模範解答のような文章を目指さず、根拠を一つずつ入れられたことを評価しましょう。
まとめ
中学受験国語の記述問題で書けない主な原因は、設問の条件を分解せず、本文の根拠を集める前に文章を書こうとすることです。文末を先に決め、根拠を箇条書きにし、必要な要素をつないでから字数を調整しましょう。
答えを自由に考えるのではなく、設問と本文から材料を選んで組み立てる。この型を身につけることが、記述問題を安定した得点源にする第一歩です。
算数の学習でお悩みの方へ
理数館では、中学受験を中心としたオンライン個別指導を行っています。
「算数が苦手」「勉強方法がわからない」「志望校対策をしたい」という方は、お気軽にご相談ください。

コメント