開成対策講座 第6講 問題4

場合の数・6人の並び方 解説(前半)

📘問題

問題4

A、B、C、D、E、F の6人が横1列に並びます。

ただし、

AとBは隣り合う

CとDは隣り合わない

EはFより左

とします。

並び方は全部で何通りありますか。

【答え】 72 通り

📗通常解説

3つの条件を整理する

条件① AとBは隣り合う
→「ブロック化」で処理
条件② CとDは隣り合わない
→「引き算」で処理
条件③ EはFより左
→「÷2」で処理(最後に)

【解く順番】

① 条件①「AとBをひとかたまりにする」→ 5つを並べる

② 条件②「CとDが隣り合う場合」を計算して引き算する

③ 条件③「EはFより左」で最後に÷2する

※「÷2」は引き算が終わった後にまとめて1回だけ行うのがポイントです。

STEP 1:AとBをひとかたまりにする(ブロック化)

「AとBは必ず隣り合う」ので、AとBを1つのブロック「AB」として扱います。 すると6人が【AB】C D E F の5つのかたまりになります。

AB
C
D
E
F
5つのかたまりを並べる
5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 120 通り
ABブロック内の入れ替え(AB か BA の2通り)
AB
または
BA
120 × 2 = 240 通り ← 条件①だけを満たす並び方の総数

STEP 2:「CとDが隣り合う場合」を引き算で引く

「CとDが隣り合わない」を直接数えるのは大変です。そこで引き算の発想を使います。

CとDが隣り合わない場合 = 全体(240)− CとDが隣り合う場合

「CとDも隣り合う場合」を数えます。AとBを【AB】ブロック、CとDを【CD】ブロックにまとめると、 全体は【AB】【CD】E F の4つのかたまりになります。

AB
CD
E
F
4つのかたまりを並べる
4 × 3 × 2 × 1 = 24 通り
ABブロック内の入れ替え(AB or BA)
24 × 2 = 48 通り
CDブロック内の入れ替え(CD or DC)
48 × 2 = 96 通り ← CとDが隣り合ってしまう場合の数

引き算して「CとDが隣り合わない場合」を求める:

240 − 96 = 144 通り ← 条件①②を満たす並び方の数

STEP 3:「EはFより左」で最後に÷2する

残り144通りの中に、「EがFより左」と「FがEより左」がちょうど半分ずつ含まれています。 条件③「EはFより左」を満たすものだけを選ぶと:

なぜ÷2できるのか?

どんな並び方でも、EとFを入れ替えた並び方が必ず1つ対応します。 そのペアのうち「EがFの左にある方」だけを選ぶので、ちょうど半分になります。

144 ÷ 2 = 72 通り ← 条件①②③をすべて満たす並び方の数

全ステップの一覧

ステップ 操作 計算 結果
ABを1ブロック化 → 5つを並べる 5×4×3×2×1 120
ABブロック内を入れ替え(×2) 120 × 2 240
CDも隣り合う場合を計算(引く数) 4! × 2 × 2 96
CとDが隣り合わない場合(引き算) 240 − 96 144
EはFより左(÷2) 144 ÷ 2 72
【答え】 72 通り

🧠初見での考え方

開成受験生がこの問題を初めて見たとき、頭の中でどう動くかを実況します。

🎙 思考実況①:問題を読んだ瞬間

「6人が横1列」「条件が3つ」→ 場合の数の問題。まず3つの条件の種類を確認する。

条件① 「隣り合う」→ ブロック化(ひとかたまり作戦)
条件② 「隣り合わない」→ 引き算(全体から隣り合う場合を引く)
条件③ 「EはFより左」→ ÷2(対称性の利用)

道具が決まれば、あとは順番だけ。

🎙 思考実況②:処理の順番を決める

「ブロック化」→「引き算」→「÷2」の順番で処理する。

なぜ÷2を最後にするか? 引き算の両側(全体と、引く数)が同じ土台で計算されていれば、 最後に1回÷2するだけで済むから。先に÷2してしまうと引き算のたびに個別に÷2が必要になって面倒。

🎙 思考実況③:ブロック化を実行

ABを1つにまとめると5個。5! × 2 = 240。ここまでは迷わず書く。

🎙 思考実況④:引き算の数を計算

「CとDが隣り合う場合」→ CDもブロックにすれば【AB】【CD】EFの4つ。 4! × 2(AB内)× 2(CD内)= 96。

240 − 96 = 144。条件①②完了。

🎙 思考実況⑤:最後に÷2して完成

144通りの中でEとFの位置関係は対称 → ÷2。

144 ÷ 2 = 72通り。完成。

条件の種類と道具の対応表

条件の種類使う道具タイミング
「○と○は隣り合う」 ブロック化(×2も忘れずに) 最初
「○と○は隣り合わない」 引き算(隣り合う場合を引く) ブロック化の後
「○は△より左(右・前・後)」 ÷2(対称性) 最後

注目すべき条件チェックリスト

「隣り合う」→ ブロック化。内部入れ替えの×2を忘れない ABを1つにまとめた後、ABとBAの2通りがあることを忘れると答えが半分になってしまう。
「隣り合わない」→ 引き算。「隣り合う場合」もブロック化して計算 CとDが隣り合う場合も同じようにブロック化すれば一発で数えられる。
「XはYより左」→ ÷2。必ず引き算が終わった後に行う XとYの左右は対称なのでちょうど半分。引き算の後に1回だけ÷2する。

🔍なぜその方針を選ぶのか

「ブロック化」はなぜ有効か

「AとBは隣り合う」を直接扱おうとすると、 「AとBが1番目と2番目」「2番目と3番目」……と全位置を列挙しなければなりません。非常に面倒です。

ブロック化すると「ブロックがどこに入るか」と 「ブロック内の順番」を分けて考えられるため、 計算がシンプルになります。

「引き算」はなぜ有効か

「CとDが隣り合わない場合」を直接数えようとすると、 CとDが離れた位置の組み合わせをすべて数え上げる必要があり、 抜け漏れが出やすく非常に複雑になります。

一方「CとDが隣り合う場合」は、CDをブロック化すれば一発で計算できます。 「数えにくい方」を「数えやすい方(引く数)」に置き換えるのが引き算の発想です。

「÷2」はなぜ最後にまとめて行うのか

EとFの左右関係は、どんな並び方でも必ず「E<F」か「F<E」かのペアで存在します。 これは引き算の前後でも変わらない対称性です。

だから、引き算で「CとDが隣り合わない」場合を出した後の144通りに対して、 まとめて1回だけ÷2すれば済みます。

もし先に÷2してしまうと(120通りから引き算しようとすると)、 「引く数96」も÷2して48にしてから引く必要があり、 計算の流れが煩雑になってミスが増えます。 「÷2は最後に1回」が鉄則です。

場合の数・6人の並び方 解説(後半)

⚠️典型ミス

この問題で受験生がはまりやすい落とし穴を、「なぜそのミスが起こるか」まで含めて解説します。

1ABブロック内の入れ替え(×2)を忘れる

ABを1ブロックにまとめた後、5つのかたまりを並べて「5! = 120通り」で止めてしまうミスです。

「AB」と「BA」の2通りがあることを忘れると、答えがすべて半分になります。

誤:120 − 24 = 96 → ÷2 = 48 通り(×2を忘れた場合) 正:240 − 96 = 144 → ÷2 = 72 通り
ブロック化したとき「まとめた」感覚が強くなり、内部の順番まで意識が向かなくなるから。「ブロック化したら必ず×2(内部入れ替え)」とセットで覚える。CDブロックのときも同様に×2が必要。
2CDブロックの内部入れ替え(×2)を忘れる

「CとDが隣り合う場合」を計算するとき、CDブロックの内部(CDとDCの2通り)を忘れて4! × 2 = 48で止めてしまうミスです。

誤:4! × 2(ABのみ)= 48 → 240 − 48 = 192 → ÷2 = 96 通り 正:4! × 2 × 2(AB・CD両方)= 96 → 240 − 96 = 144 → ÷2 = 72 通り
ABブロックの×2は意識しているのに、CDブロックを「引き算用に作ったもの」と思って内部を軽視するから。「ブロックを作るたびに×2」という原則を徹底する。
3「EはFより左」を÷2でなく別の方法で処理しようとする

「EとFが入る位置を先に決めてから残りを並べる」という複雑な場合分けをしようとするミスです。たとえば「Eが1番目のとき、Fは2〜6番目の5通り……」と列挙し始めてしまいます。

これでも答えは出ますが、計算量が大幅に増え、抜け漏れも起きやすくなります。

「÷2できる」という発想(対称性)に気づいていないから。「EとFを入れ替えた並びが必ずペアで存在する=ちょうど半分」という理屈を一度しっかり理解すれば、以後は反射的に÷2が使えるようになる。
4÷2を最初(ブロック化の直後)にやってしまう

「ABブロック化 → ÷2 → 引き算」という順で処理してしまうミスです。

誤の流れ:240 ÷ 2 = 120 → 120 − 48 = 72 通り

この場合、「引く数(CDが隣り合う場合)」も÷2した48を使っていればたまたま正解になりますが、÷2前の96を引いてしまうと:

誤:120 − 96 = 24 通り(÷2のタイミングが混乱した場合)
「条件③は早く処理しておきたい」という気持ちから先に÷2してしまうが、÷2と引き算は「引き算が先、÷2が後」が鉄則。引き算の両側(全体と引く数)を同じ土台で計算し、最後に1回÷2するのが最もミスが少ない。
5「隣り合わない」を直接数えようとして混乱する

「CとDが隣り合わない場所の組み合わせ」を最初から列挙しようとするミスです。たとえば「Cが1番目のときDは3〜6番目……」と場合分けを始め、途中で収拾がつかなくなります。

「引き算を使う」という発想に最初から切り替えられないから。「隣り合わない」という条件を見た瞬間に「全体から隣り合う場合を引く」と決める習慣をつける。「隣り合わない=引き算」は場合の数の最重要パターン。
6条件を1つ見落として計算する

3つの条件のうち1つをうっかり処理し忘れるミスです。特に「EはFより左」という条件③は「並び方の制限」ではなく「順序の指定」なので見落としやすいです。

条件③を忘れた場合:240 − 96 = 144 通り(÷2を忘れて提出)
問題を読むスピードを上げすぎて条件を正確にメモしていないから。問題文を読んだらまず「条件を番号付きで書き出す」習慣が重要。3つある条件をすべて使い切ったか、最後に必ず確認する。

🔄別解

別解① EとFの位置を先に決めてから並べる

条件③を最初に処理する方法

EとFの位置を先に固定します。6か所からEとFの2か所を選んで、EがFの左に来る場合の数は:

6か所からEとFの位置を選ぶ(EはFより左)
6 × 5 ÷ 2 = 15 通り

※ 6か所から2か所を選ぶ組み合わせ。「どちらが左か」はE固定なので÷2。

残り4か所にA・B・C・Dを並べる(条件①②あり)
A・B・C・Dの4人を4か所に並べる → 4! = 24 通り うちAとBが隣り合う場合:ABを1ブロック → 3! × 2 = 12 通り うちABが隣り合い、かつCDも隣り合う場合:2ブロック → 2! × 2 × 2 = 8 通り
条件①②を両方満たす場合:

「ABが隣り合う」のうち「CDも隣り合う」を引く

12 − 8 = 4 通り
15 × 4 = 60 通り

※ この方法は「EとFの位置」と「ABCD4人の並び方」が独立していないため、計算が複雑になりやすくミスが増えます。本番では通常解法(引き算→÷2)が安全です。

別解② 条件②を「場所の組み合わせ」で処理する

CとDの位置を直接場合分けする方法

ABを1ブロックにした後、【AB】C D E Fの5つを並べる場面で「CとDが隣り合わない並び方の数」を直接求めます。

5つのかたまりを並べる総数
5! = 120 通り
ABブロック内入れ替え
120 × 2 = 240 通り
うちCとDが隣り合う場合(CDをブロック化)
4! × 2(AB内)× 2(CD内)= 96 通り
CとDが隣り合わない場合
240 − 96 = 144 通り
EはFより左(÷2)
144 ÷ 2 = 72 通り

→ 通常解法と同じ流れ。これが最もシンプルで本番向きです。

🏆
本番でおすすめの解法 「ブロック化(×2)→ 引き算(×2×2)→ ÷2」の流れが最もシンプルでミスが少ない。 条件をメモしてから処理の道具(ブロック化・引き算・÷2)を決定し、順番通りに計算する。

【3つの道具の速攻チェック】

「隣り合う」を見たら → ブロック化+×2

「隣り合わない」を見たら → 引き算(隣り合う場合を引く)

「○は△より左(右)」を見たら → 最後に÷2

開成で差がつくポイント

この問題で本当に見られている力

表面上は「6人の並び方を数える計算問題」ですが、開成が本当に見ているのは 「3つの条件を正しい道具と正しい順番で処理できるか」です。

条件の種類(隣り合う/隣り合わない/左右の順)をひと目で見分け、 対応する道具(ブロック化/引き算/÷2)を迷わず選べるかどうかが問われています。

特に「÷2を最後に1回まとめて行う」という処理順序の判断力が 合否を分けます。これは「なぜそうするか」を理解していないと、別の問題では使えません。

合格者 vs 不合格者の分かれ目

✅ 合格者

問題を読んだら条件を3つ書き出してから道具を決める

「ブロック化→引き算→÷2」の順番を迷わず選べる

ブロックを作るたびに×2(内部入れ替え)を自動で行う

÷2を最後に1回まとめて行う理由を説明できる

計算後に「条件を全部使ったか」を確認する

❌ 不合格者

条件を整理せず感覚で計算を始める

ブロック内の×2を1つ以上忘れる

÷2を最初にやってしまい引き算で混乱する

「隣り合わない」を直接数えようとして手が止まる

条件③「EはFより左」を処理し忘れて提出する

開成特有の思考ポイント

条件を「道具の種類」で分類してから動く 開成の場合の数問題は、条件の種類をひと目で見分ける力を試します。 「隣り合う=ブロック化、隣り合わない=引き算、左右=÷2」という 対応表を頭に入れ、問題を読んだ瞬間に道具を割り当てることが第一歩です。
「なぜ÷2できるか」を言葉で説明できるか 「EとFを入れ替えた並びが必ずペアで存在するから」という理由を 自分の言葉で説明できる受験生は、他の問題でも応用できます。 「なんとなく÷2する」だけでは、条件が変わったときに対応できません。
引き算の「引く数」も同じ条件下で数える意識 「全体(240)から引く数(96)を引く」とき、 全体も引く数も「条件①だけを満たす」という同じ土台で計算されていることを確認する。 土台がそろっているから引き算が成立し、最後にまとめて÷2できます。
条件の使い忘れを防ぐ「チェック習慣」 計算が終わったら「問題文の条件①②③をすべて処理したか」を1秒で確認する。 この習慣が本番でのうっかりミスを防ぎます。 開成の受験生は答えを書いた後に条件チェックを必ず行います。

📌この問題から学ぶべきこと

🔷 この問題の本質

この問題の本質は「場合の数の3大条件を正しい道具と順番で処理する」力の習得です。

「隣り合う→ブロック化」「隣り合わない→引き算」「左右の順→÷2」という3つのパターンは、 中学受験の場合の数問題で繰り返し登場します。 この問題でそれを1問に凝縮して練習できる、非常に質の高い良問です。

🔷 他の問題への応用

応用① 「男女が交互に並ぶ」「特定の人が両端に来る」など別の条件が加わっても、 条件を道具に変換してから順番に処理する流れは同じ。

応用② 「円形に並べる」問題でも「隣り合わない→引き算」の発想は使える。 ブロック化と引き算の考え方は円順列でも変わらない。

応用③ 「AはBより前(上・多い)」という大小関係の条件は、 すべて「÷2(対称性)」で処理できる。個数が2でなく3以上になれば÷6など。

🔷 今後どう活かすか

この問題を終えたら、次の3つを自分でできるか確認してください。

1
「÷2できる理由」を30秒で声に出して説明できるか 「EとFを入れ替えた並びが必ずもう1つ存在して、2つはペアになっているから、条件を満たすのはちょうど半分」と言えれば完璧。言えなければ理解が浅い。
2
条件を変えた類題を自力で解けるか たとえば「AとBは隣り合わない・CとDは隣り合う・EはFより左」という条件に変わっても、 同じ道具を使って処理できるか試してみる。
3
条件の種類と道具の対応表を「見なくても」言えるか 「隣り合う→ブロック化」「隣り合わない→引き算」「左右の順→÷2(最後)」を 暗記ではなく「なぜそうなるか」と一緒に言えるようにする。
【最終答え】 72 通り

📝 この問題で身につけた思考の武器

武器①「隣り合う」→ ブロック化+必ず×2(内部入れ替え)

武器②「隣り合わない」→ 引き算(隣り合う場合をブロック化して引く)

武器③「左右の順序指定」→ 最後に÷2(対称性の利用)

武器④処理の順番は「ブロック化 → 引き算 → ÷2」

武器⑤計算後は「条件を全部使ったか」を必ず確認する

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