📘問題
問題3
三角形ABCがあります。
辺BC上に点Pを、BP:PC=2:3 となるように取ります。
辺AC上に点Qを、AQ:QC=1:2 となるように取ります。
線分APと線分BQの交点をRとします。
三角形ABRと三角形PQRの面積比を求めなさい。
三角形ABC、点P(BC上・Bより BP:PC=2:3)、点Q(AC上・Aより AQ:QC=1:2)、
交点R(線分APと線分BQの交点)のイメージ図
📗通常解説
使う道具の確認
【道具①】高さが同じ三角形の面積比=底辺の比
たとえば、頂点Aが共通なら、底辺がBPとPCの比がそのまま面積の比になる。
【道具②】面積の足し算・引き算で未知の面積を求める
大きな三角形から小さな三角形を引けば、残りの部分の面積がわかる。
【道具③】三角形ABRを変数Sとおき、2通りの式で連立する
STEP 1:△ABCの面積を30と置く
BP:PC=2:3 と AQ:QC=1:2 が両方使いやすいように、 △ABCの面積を30と決めます。 (5の倍数かつ3の倍数なので30が便利です。)
STEP 2:点Pで△ABCを切る
頂点AからBCを見ると、BP:PC=2:3。 頂点Aが共通なので高さは同じ。底辺の比=面積の比。
STEP 3:点Qで△ABCを切る
頂点BからACを見ると、AQ:QC=1:2 → AC全体を3とすると、AQ=1、QC=2。 頂点Bが共通なので高さは同じ。
STEP 4:△APQの面積を求める
△APC(=18)の中で、QはAC上のAQ:QC=1:2の点。 底辺APが共通で、高さはQとCのAPへの距離の比=AQ:AC=1:3。
STEP 5:△BPQの面積を求める
△BQC(=20)の中に△QPC(Q・P・C)が含まれています。
まず△QPCを求めます。
△QBC と △ABC は頂点Bが共通で、底辺QC:AC=2:3 なので:
△QBC = 30 × 2/3 = 20 (=△BQC ✓)△QPC と △QBC は頂点Qが共通で、底辺PC:BC=3:5 なので:
△QPC = 20 × 3/5 = 12△BPQ を求める:
△BPQ = △BQC − △QPC = 20 − 12 = 8STEP 6:△ABR=Sとおいて連立する(ここが核心)
RはAPとBQの交点です。△ABRの面積を S とおきます。
APという1本の線が△ABPを2つに切ります(△ABRと△BPR)。 同様にBQという線が△ABQを2つに切ります(△ABRと△AQR)。
AP方向での整理:
△BPR = △ABP − △ABR = 12 − SBQ方向での整理:
△AQR = △ABQ − △ABR = 10 − Sここで、「△BPR と △BPQ の比」を2通りで表します。
【方法①】頂点Pから見て BQ を底辺に:
△PBRと△PBQは底辺PRが共通 → BR:BQ=面積比
また△ABRと△ABQも頂点Aが共通で底辺BR:BQ →
BR / BQ = △ABR / △ABQ = S / 10ゆえに:
△BPR / △BPQ = BR / BQ = S / 10 △BPR = 8 × S/10 = 4S/5 …… 式①【方法②】面積の引き算から:
△BPR = 12 − S …… 式②式①=式②とおく:
4S/5 = 12 − S両辺に5をかける:4S = 60 − 5S
9S = 60
S = 60/9 = 20/3
STEP 7:△PQRを求める
△APQ(=6)はRによってAQR と PQR の2つに分かれます。
STEP 8:面積比を求めて確認する
全体の確認:(△ABC=30 のとき)
△ABR + △BPR + △AQR + △PQR + 四角形RPCQ= 20/3 + 16/3 + 10/3 + 8/3 + △QPC
= 54/3 + 12 = 18 + 12 = 30 ✓
🧠初見での考え方
開成受験生が試験会場でこの問題を見た瞬間から、頭の中でどう動くかを実況します。
「三角形ABC」「辺上に点P・Q」「2本の線の交点R」「面積比を求める」…… これは「面積比・交点の問題」だ。
交点が出てきたとき、小学生が使える方法は主に2つ:
① 面積を変数でおいて連立する
② 補助線を引いて三角形の比をリレーさせる
今回は①の方針が確実で速い。
条件は「BP:PC=2:3」と「AQ:QC=1:2」の2つ。 これをメモして、△ABCの面積を数字で確定させる。
2+3=5、1+2=3 の最小公倍数は15。△ABC=15でもいいが、 後で他の三角形を求めやすい30を選ぶ。
頂点をひとつ共通にして底辺の比で切ると面積が出る。
P → △ABP=12、△APC=18
Q → △ABQ=10、△BQC=20
これを紙に書き出す。
次に「△APQ」が必要になると予測して求めておく(=6)。 さらに△BPQも求めておく(=8)。
求めたい△ABRをSとおく。 すると△BPR=12−S、△AQR=10−S と自動的に決まる。
「BR:BQ の比」を2通りで表せば S が求まる、と気づく。 頂点Aから見るとBR:BQ=△ABR:△ABQ=S:10。 頂点Pから見ると△BPR:△BPQ=BR:BQ=S:10 → 等式を作れる。
注目すべき条件チェックリスト
🔍なぜその方針を選ぶのか
「面積を変数でおく」のはなぜか?
交点Rは、APとBQの2本の線が交わる点です。 この点の「位置」を直接比で表そうとすると、 AR:RPとBR:QRの2つの比が同時に絡み合い、 どちらから攻めても一方が未知のままになります。
でも、△ABRの面積をSとおくと、 他の三角形の面積がすべてSを使って表せます(例:△BPR=12−S)。 これで「2通りの式でSを表す」という連立の形に持ち込めます。
「BR:BQ=△ABR:△ABQ」はなぜ使えるのか?
△ABRと△ABQは、底辺がBRとBQで、 頂点Aが共通(高さが同じ)です。
△ABR : △ABQ = BR : BQ = S : 10一方、△PBRと△PBQも底辺がBRとBQで頂点Pが共通(高さが同じ)です。
△PBR : △PBQ = BR : BQ = S : 10この「同じ比BR:BQ」を両方に使うことで、 Sだけの方程式が作れます。
なぜ「比のまま計算」するのか?
△ABCの具体的な長さや角度は与えられていません。 だからどんな三角形ABCでもこの面積比は変わらないのです。
「△ABCを30と置く」のは、計算を整数でしやすくするための道具であって、 実際の大きさは関係ありません。 最終的に面積比を求めるので、△ABCを何と置いても答えは同じになります。
⚠️典型ミス
この問題で受験生がはまりやすい落とし穴を、「なぜそのミスが起こるか」まで含めて解説します。
△ABCの面積を1(または10)と置くと、△ABPやABQが分数になります。そのまま計算を続けると、分数のかけ算が次々に出てきて、どこかで計算ミスをします。
例:△ABCを1とすると △ABP=2/5、△ABQ=1/3 → 以降すべて分数の戦い。
△BPQは△ABCの中の「斜め向きの三角形」で、直接比を取れる位置にないため、求め方が思いつかない受験生が多いです。
ここで止まると、後の連立計算に進めなくなります。
解説を読んで「BR:BQ=△ABR:△ABQ」という式を使えたとしても、なぜそうなるかを理解していないと、別の問題で応用できません。また、比の向きを間違えるミスも頻出です(BQ:BR と逆にしてしまう)。
△BPR:△BPQ=BR:BQ=S:10 なので、
△BPR = △BPQ × S/10 = 8 × S/10 = 4S/5ここで「8÷10×S」と計算ミスをしたり、「△BPQ=8をかける」のではなく「△ABP=12をかけてしまう」ミスが起きます。
S=60/9=20/3 という分数が出てきたとき、「計算が間違っているはず」と疑って最初から解き直す受験生がいます。面積比を求めるのに△ABC=30 を設定しているため、途中の面積が分数になるのは自然なことです。
全部のパーツを足したとき△ABCの面積(=30)にならなければ、どこかが間違っています。検算しないと本番でも誤答を提出してしまいます。
20/3 + 16/3 + 10/3 + 8/3 + 12 = 54/3 + 12 = 18 + 12 = 30 ✓🔄別解
AR:RPを面積で出してしまう方法
△ABP(=12)の中で、線分BQがAR:RPで切っています。 高さが共通なので、面積の比はAR:RPに等しくなります。
△ABR と △BPR の比を求める:
△ABR = 20/3、△BPR = 16/3 AR : RP = △ABR : △BPR = 20/3 : 16/3 = 5 : 4これを使うと、△APQ(=6)がAR:RPで分割されることがわかります。
→ △ABR : △PQR = 20/3 : 8/3 = 5 : 2 ✓
※ AR:RPを出す手順が増えますが、「比のリレー」として理解しやすい別ルートです。
BR:RQを面積で求めてから△PQRを出す
△ABQ(=10)がAPによってBR:RQで切られています。
これを△BPQに使います。△BPQはBQを底辺として高さがRとPで異なります。 Rが BQ を 2:1 で分けているので:
→ △ABR : △PQR = 20/3 : 8/3 = 5 : 2 ✓
※ △BPQを使うため△PQRを一発で出せます。比の流れがシンプルで実戦向きです。
【速い解法のまとめ】
⚡開成で差がつくポイント
この問題で本当に見られている力
表面的には「面積比を求める」問題ですが、開成が本当に見ているのは 「未知の交点を変数に変換する力」です。
「交点Rの位置がわからない → 面積をSとおく → Sの方程式を2通りで作る」という 思考の変換がスムーズにできるかどうかを試しています。
また、「△BPQを大きな三角形からの引き算で求める」という 迂回路を自力で発見できるかも見られています。
合格者 vs 不合格者の分かれ目
問題を見た瞬間に「交点=面積を変数でおく」と方針決定できる
△ABCを30と置いて周辺三角形を一気に書き出せる
△BPQを「△BQC−△QPC」で求める迂回ルートに気づく
BR:BQ比を「頂点Aが共通」から導ける
分数の答え(20/3)に動揺せず比を取って完成させる
最後に全体の面積で検算する
交点Rの位置を「長さの比」で求めようとして手が止まる
△ABCの面積を1や10と置いて分数地獄に陥る
△BPQの求め方が思いつかずに詰まる
BR:BQの比をどこから持ってくるかわからない
「答えが分数=計算ミス」と思い込んで解き直す
検算をしないまま提出する
開成特有の思考ポイント
📌この問題から学ぶべきこと
この問題の本質は「交点の面積を変数Sでおき、Sの方程式を2通りで作って解く」という手法の習得です。
見た目は「三角形の面積比」ですが、中身は「未知量を変数化して連立する」という代数的思考です。 小学生の言葉でそれを実現するのが「面積変数法」であり、開成算数の核心技術のひとつです。
応用① 三角形の内部に点がある問題(チェバの定理的な設定)でも「面積を変数でおく」は使える。
応用② 「2本の対角線の交点の面積比」を求める四角形問題でも同じ手順が使える。
応用③ 「直接求められない面積を引き算で出す」は、重なりや共有辺が出る複合図形問題で頻出。
この問題を解き終わったら、以下の3点を自分で確認してください。
📝 この問題で身につけた思考の武器
武器① 交点が出たら「面積を変数Sでおく」
武器② △ABCは「分母の最小公倍数の倍数」で固定する
武器③ 直接取れない面積は「大きな三角形から引き算」
武器④ 「頂点が共通=高さが同じ=面積比=底辺比」の原理を自在に使う
武器⑤ 分数が出ても動揺せず最後に比を取る
武器⑥ 全体の面積で検算して確信を持って答える
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