開成対策講座 第5講 問題3

中学受験算数 対策解説 問題3
中学受験算数 ── 対策講座解説 問題3

3の倍数 + 百の位 > 十の位:条件付き整数の個数

場合の数 3の倍数 数の性質 開成・灘・筑駒レベル 思考実況あり
1問題

1〜9の数字を1回ずつ使って、3けたの整数を作ります。

ただし、次の2つの条件をどちらも満たすこととします。

  • 条件①:作った整数は3の倍数である
  • 条件②:百の位の数字 > 十の位の数字である

このような整数は全部で何個ありますか?

2通常解説
まず「3の倍数」の条件を理解する

🔑 3の倍数の見分け方:各位の数字をすべて足した合計が3の倍数ならば、その数は3の倍数。

例)123 → 1+2+3=6(3の倍数)→ 123は3の倍数 ✔

例)124 → 1+2+4=7(3の倍数でない)→ 124は3の倍数でない ✗

つまり「百の位+十の位+一の位 の合計が3の倍数」になる3つの数の組を選べばよいです。


1〜9の数字の合計を確認する

1+2+3+4+5+6+7+8+9 = 45(45は3の倍数)

1〜9の合計は45。どの3つを選んでも「残り6つの合計」が決まります。
「選んだ3つの合計」が3の倍数 ⟺「残り6つの合計」も3の倍数になります(なぜなら45自体が3の倍数だから)。

ですから、9つの数から3つ選んで合計が3の倍数になる組み合わせを全部探すことが次のステップです。


合計が3の倍数になる3つの数の組み合わせを探す

1〜9の数字は、3で割ったあまりで3つのグループに分けられます。

3で割ったあまりこのグループの数字個数
あまり0(3の倍数)3、6、93個
あまり11、4、73個
あまり22、5、83個

3つの数の合計が3の倍数になるのは、あまりの合計が0か3か6のとき。具体的には次の4パターンです。

パターン3つのグループの選び方あまりの合計組み合わせの数
A あまり0 から3つ 0+0+0=0 ✔ 1通り(3,6,9のみ)
B あまり1 から3つ 1+1+1=3 ✔ 1通り(1,4,7のみ)
C あまり2 から3つ 2+2+2=6 ✔ 1通り(2,5,8のみ)
D 各グループから1つずつ 0+1+2=3 ✔ 3×3×3=27通り

合計の組み合わせは 1+1+1+27 = 30通り


各パターンで「百の位 > 十の位」を満たす並べ方を数える

3つの数字が決まったら、それを並べて3けたの整数を作ります。
ただし条件②「百の位 > 十の位」を満たさなければなりません。一の位は何でもよいです。

【パターン A・B・C】同じグループから3つ選ぶ場合

例:{3, 6, 9} の場合。3つの数がすべて異なるので、3つの並び方は 3×2×1=6通り。

このうち「百の位 > 十の位」になるものを数えます。

並び方百の位十の位百>十?
36936✕(3<6)
39639✕(3<9)
63963○(6>3)
69369✕(6<9)
93693○(9>3)
96396○(9>6)

6通りのうち3通りが「百の位 > 十の位」を満たします。

📌 ポイント:3つすべて異なる数の場合、「百 > 十」「百 < 十」「百 = 十(この問題では起こらない)」のどちらかしかないので、ちょうど半分の3通りが条件を満たします。

パターン A・B・C それぞれ:3通り × 3パターン = 9通り

【パターン D】各グループから1つずつ選ぶ場合(27通り)

例:あまり0から1つ、あまり1から1つ、あまり2から1つ選ぶ。
選んだ3つはすべて異なりますから、並び方は6通り。そのうちちょうど半分(3通り)が「百の位 > 十の位」を満たします。

パターン D:27通りの組み合わせ × 各3通り = 81通り


合計を求める
パターン A・B・C の合計:3通り × 3 = 9通り
パターン D の合計:27通り × 3 = 81通り
合計:9 + 81 = 90通り
答え
90個
3初見での考え方 ── 開成受験生の思考実況
問題を読んで最初の1秒
「1〜9から3つ選んで3けたを作る。3の倍数 + 百>十」……2つの条件が絡む「整数の個数」問題だ。 条件①は「数の性質(3の倍数)」、条件②は「並べ方(位の大小)」。この2種類の条件を分離して処理できるかどうかが勝負。
まず「3の倍数」に集中する
3の倍数 → 各位の合計が3の倍数。これを知っているかどうかが第一関門。
知っていれば「3つの数の合計が3の倍数になる組み合わせを探す」という方針が立つ。
「あまりで分類する」発想を持つ
1〜9を3で割ったあまりで3グループに分ける。あまり0:3,6,9 あまり1:1,4,7 あまり2:2,5,8
合計のあまりが0になる選び方は、「同じグループから3つ」か「各グループから1つずつ」の4パターン。
「百の位 > 十の位」は「半分」で対処する
3つの数がすべて異なれば(この問題では必ず異なる)、6通りの並び方のうちちょうど3通りが「百>十」を満たす。
組み合わせの数 × 3 で一発。場合分けしなくてよい。
パターン D(各グループ1つずつ)の組み合わせ数を正確に
あまり0から3つのうち1つ:3通り × あまり1から1つ:3通り × あまり2から1つ:3通り = 27通り。
掛け算になることを確認する。
最後に足す
(1+1+1+27) × 3 = 30 × 3 = 90個

📌 この問題の構造:「3つの数の組み合わせを決める(3の倍数条件)」→「並べ方の中で条件を満たすものを選ぶ(百>十条件)」という2段階処理が核心。

「組み合わせ × 3」という計算に気づけるかどうかが、速く解けるかどうかを決める。

4なぜその方針を選ぶのか
別のやり方ではなぜ苦しいか
「百の位から順に決めていく」作戦
百の位を1〜9で固定し、次に十の位を「百の位より小さい数」で選び、最後に一の位を…としていくと、3の倍数条件を後からチェックしなければならない。
→ 百の位が1のとき、2のとき…と9パターン考えると膨大。整理が崩壊する。
「合計が3の倍数になる3つ」を直接書き出す作戦
{1,2,3}、{1,2,6}…と地道に列挙する。全部で30組あるので書き出すだけで時間がかかり、漏れも出やすい。
なぜ「あまりでグループ分け → ×3」が有効か
「あまりで分類」は組み合わせの個数を瞬時に把握できる
各グループがちょうど3個ずつという対称な構造を利用する。パターン D の27通りは「3×3×3」で一発計算。
「百>十は6通りの半分 = 3通り」という対称性が使える
3つの数がすべて異なるとき「百>十」と「百<十」はちょうど半々。この対称性を知っていれば、並べ方をいちいち書き出さずに「×3」で一発処理できる。
2段階処理で計算が完全に分離できる
「どの3つを選ぶか(3の倍数条件)」と「どう並べるか(百>十条件)」を独立に考えられる。この分離が計算ミスを防ぐ最大の理由。
5典型ミス ── よくある間違いと理由
⚠️ ミス① 「百>十」を満たす並べ方を 2通り と思う

「百>十だから、百の位と十の位の2つを決めれば残りは一の位だ。だから2通りかな?」と考えてしまう。
→ 実際は一の位に残り1つが入るだけなので1通り…ではなく、3つの数の並べ方が全部で6通り → そのうち3通り

なぜ起きるか

「百の位と十の位の並び方だけ考えて、一の位を忘れる」のではなく「6通りのうち半分」という全体からの比で考える発想が身についていないから。

⚠️ ミス② パターン D の組み合わせ数を「3+3+3=9」と足し算する

「あまり0から1つ(3通り)、あまり1から1つ(3通り)、あまり2から1つ(3通り)だから 3+3+3=9通り」とたしてしまう。
→ 正しくは掛け算:3×3×3=27通り

なぜ起きるか

「どちらかを選ぶ(どちらかの場合)→ 足し算」「両方を同時に選ぶ(かつ)→ 掛け算」という場合の数の基本ルールが整理されていないから。3つのグループから「同時に1つずつ」選ぶのは掛け算。

⚠️ ミス③ 1〜9の合計が45=3の倍数であることを使わず、組み合わせを総当たりで探す

「合計が3の倍数になる3つを全部書き出す」→ 時間がかかり、かつ漏れが出る。

なぜ起きるか

「あまりで分類する」という整理の手法を知らないか、知っていても「この問題でどう使うか」が結びついていないから。1〜9を見たら即「3グループに分けられる」と反応できるようにしておく。

⚠️ ミス④ 条件②「百の位 > 十の位」を「百の位 > 十の位 > 一の位」と読み間違える

問題文に「百の位 > 十の位」としか書いていないのに、「一の位も降順でなければいけない」と勘違いし、条件を余分に課してしまう。

なぜ起きるか

問題文を最後まで丁寧に読まないから。条件は「百の位 > 十の位」だけ。一の位には制約がない。条件を書き出して確認する習慣が必要。

6別解 ── 別のアプローチで確認する
別解:「全通り × 条件を満たす割合」で考える方法

1〜9から3つ選んで3けたを作る(数字の重複なし)全通りの数を先に出してみましょう。

3つ選ぶ組み合わせの総数:9×8×7 ÷ 6 = 84通り(組み合わせ)

それを3けたに並べる:84 × 6 = 504通り(順列、全部の3けた)

このうち「3の倍数」はちょうど 504 × (30/84) = 180通り。
さらに「百>十」はそのうち半分 = 90通り

💡 本番でおすすめの解法

最速・ミスしにくい あまりで4パターン → 各×3 → 合計 の流れ。

「30組 × 3通り = 90個」という計算は非常にシンプルで、途中でミスする余地がほとんどない。

確認用 別解の「504 × 30/84 × 1/2」は一見スマートだが、分数の計算で崩れやすい。本番では使わないこと。

パターン D(27組)の内訳を一部確認
あまり0からあまり1からあまり2から合計百>十を満たす個数
31263個
31593個
318123個
34293個
各3個
27組合計81個

どの組み合わせも3つの数がすべて異なるので、確かに各3個が条件②を満たします。

7開成で差がつくポイント
本当に見られている力

「3の倍数」「あまりで分類」という知識を使って、組み合わせの構造を見抜く力。単なる知識ではなく、それを使う文脈を判断できるか。

合格者の動き方

「あまり0が3個、あまり1が3個、あまり2が3個」という対称性を即認識。パターンD = 3×3×3 という掛け算に迷いなく入る。

不合格者が止まる場所

「合計が3の倍数になる3つ」を探そうとして書き出しを始める。または「百>十」の部分で場合分けしようとして時間切れになる。

開成特有のポイント

「6通りの並べ方のうち半分(3通り)が百>十を満たす」という対称性への気づき。これを言語化できるかが差になる。

合格者が心の中でつぶやいていること
「1〜9の合計が45で3の倍数。あまり0・1・2が各3個ずつ。パターンは4つ。A・B・Cが各1通り、Dが27通り。合計30通りの組み合わせ。3つ全部違うから並べて百>十は半分 → ×3。30×3=90個。」
8この問題から学ぶべきこと
この問題の本質

「数の性質(3の倍数)」と「並べ方の条件(百>十)」を分離して処理するという2段階の構造。この分離ができるかどうかがすべて。

▶ 「あまりで分類して組み合わせを構造的に数える」は場合の数の最重要テクニック。3の倍数・9の倍数・奇数偶数など、様々な場面で使える。

▶ 「すべて異なる数の並べ方 → 大小の条件は半分」という対称性もセットで身につけよう。

他の問題への応用
「9の倍数」も同じ構造
9の倍数の判定も「各位の合計が9の倍数」。あまりで分類する発想がそのまま使える。
「偶数・奇数の条件」でも同じ考え方
一の位が偶数 = 2・4・6・8から選ぶ、という条件も「グループで分けて掛け算」で整理できる。
「○○>□□」という大小条件は常に対称性を疑う
すべて異なる数の並べ方ならば、大小条件を満たすものはちょうど半分。この発想は「整数の個数」問題で何度も使える。
この解説で身につける3つの武器
  • 「3の倍数」が出たら → 各位の合計が3の倍数かどうかで判断。あまりで0・1・2の3グループに分けて組み合わせを構造的に数える。
  • 「各グループから1つずつ選ぶ」は足し算ではなく掛け算(3×3×3=27)。「かつ」の条件は掛け算が鉄則。
  • 「すべて異なる3つの数の並べ方のうち、百>十を満たすのは半分(×3)」という対称性を反射的に使えるようにする。
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