開成・灘レベル 算数対策解説
問題4|正方形の点P問題 ── ちょうど2本が等しくなる点を正確に数え上げる
📋 問題
1辺が6cmの正方形があります。
この正方形の辺上に点Pをとります。
Pから4つの頂点までの距離のうち、ちょうど2本が等しくなるような点Pは何個ありますか。
ただし、頂点は含まないものとします。
📖 通常解説
STEP 1:「ちょうど2本が等しい」の意味を確定させる
正方形の頂点をA(左上)・B(右上)・C(右下)・D(左下)とします。
点PはA・B・C・Dのどれでもない辺上の点です。
Pから4頂点への距離を PA・PB・PC・PD と呼びます。
✅ 例1:PA=PB=3cm、PC=5cm、PD=7cm → {3, 3, 5, 7} → 「3」が2本で等しい → 条件を満たす
✅ 例2:PA=PB=3cm、PC=PD=5cm → {3, 3, 5, 5} → 「3」が2本・「5」が2本 → 条件を満たす
❌ 例3:PA=PB=PC=3cm、PD=7cm → 3本が等しい → 「ちょうど2本」ではない
❌ 例4:PA=PB=PC=PD → 4本すべて等しい → 「ちょうど2本」ではない
❌ 例5:PA・PB・PC・PD がすべてバラバラ → 等しい2本がない → 条件を満たさない
STEP 2:「2本が等しい」=「垂直二等分線上の点」という変換
算数で最も重要な考え方の1つ:
「2点X・Yから等しい距離にある点の集まり」は、線分XYのまんなかを通り、XYと垂直に交わる直線(垂直二等分線)上にあります。
この考え方を使うと、「PA=PBとなる点P」は「辺ABの垂直二等分線上の点」に変換できます。
STEP 3:正方形の4頂点から2つ選ぶ組み合わせと垂直二等分線を整理
4頂点から2つ選ぶ組み合わせは全部で6通りあります。それぞれの垂直二等分線を確認します。
| 等しい2本の組 | 頂点の関係 | 垂直二等分線の位置 | 辺上の交点 |
|---|---|---|---|
| PA=PB | 隣り合う頂点(上辺) | 正方形の縦の中心線(x=3) | 辺CDの中点・辺ABの中点(それぞれ1点) |
| PB=PC | 隣り合う頂点(右辺) | 正方形の横の中心線(y=3) | 辺DAの中点・辺BCの中点 |
| PC=PD | 隣り合う頂点(下辺) | 正方形の縦の中心線(x=3) | 辺ABの中点・辺CDの中点(PA=PBと同じ線!) |
| PD=PA | 隣り合う頂点(左辺) | 正方形の横の中心線(y=3) | 辺BCの中点・辺DAの中点(PB=PCと同じ線!) |
| PA=PC | 対角の頂点 | 斜め方向の中心線(y=−x+6) | 頂点B・頂点D(除外) |
| PB=PD | 対角の頂点 | 斜め方向の中心線(y=x) | 頂点A・頂点C(除外) |
STEP 4:各候補点で「ちょうど2本が等しいか」を確認する
候補となる点は「各辺の中点」4点と、「対角の垂直二等分線と辺の交点」(頂点なので除外)です。
辺の中点で何が起きているかを丁寧に確認します。
A(0,0)・B(6,0)・C(6,6)・D(0,6)、M(3,0)として:
MB=3cm(辺ABの半分)
MC=√(3²+6²)=√(9+36)=√45=3√5 cm
MD=√(3²+6²)=√45=3√5 cm
→ MA=MB(等しい!)、MC=MD(等しい!)
→ 「3」と「3√5」という2種類の長さが、それぞれ2本ずつ
{3, 3, 3√5, 3√5} において:
・3=3 → 「3」という長さが2本ある ✅
・3≠3√5(約6.7)なので、3本以上が等しいわけではない ✅
・すべてが等しいわけでもない ✅
→ ちょうど2本(MAとMB)が等しい → 条件を満たす
※ 同時にMC=MDも成立していますが、「MA=MBというちょうど2本の等しい組」は確かに存在します。
正方形は高い対称性を持つので、どの辺の中点でも同じ結果になります:
辺BCの中点:PB=PC=3、PA=PD=3√5 → 条件を満たす ✅
辺CDの中点:PC=PD=3、PA=PB=3√5 → 条件を満たす ✅
辺DAの中点:PD=PA=3、PB=PC=3√5 → 条件を満たす ✅
→ 4点
STEP 5:「中点以外の辺上の点」に条件を満たすものはないか確認
P(x,0)(0<x<6、x≠3)として:
PA=x、PB=6−x(x≠3なのでPA≠PB)
PC=√((x−6)²+36)、PD=√(x²+36)
PA≠PBかつ等しくなる組み合わせを全部調べると:
PA=PC → x=6(頂点)、PA=PD → 不可能、PB=PC → 不可能
PB=PD → x=0(頂点)、PC=PD → x=3(中点のみ)
→ 中点以外に条件を満たす点はない
正方形の対称性から、辺BC・辺CD・辺DAでも同じ結論になります。
→ どの辺でも「中点のみが条件を満たす」
(各辺の中点、合計4点)
🧠 初見での考え方(思考実況)
「正方形」「辺上の点」「4頂点への距離」「ちょうど2本が等しい」の4ワードを確認します。
特に「ちょうど2本」の意味が曖昧なまま進むと答えが変わります。まず「例えば{3,3,5,7}型」か「{3,3,5,5}型」も含むのか、頭の中でイメージします。
「PA=PBとなる点」を「辺ABの垂直二等分線上の点」と読み替えます。
これができると、「どこに点があるか」を図形で一瞬で把握できます。
4頂点から2つ選ぶ組み合わせ=6通りを、「隣り合う4組」と「対角2組」に分けます。
隣り合う組 → 縦・横の中心線(辺の中点を通る)
対角の組 → 斜めの中心線(頂点を通る→除外)
縦・横の中心線が辺と交わる点は「辺の中点」です。
この4点が候補になります。あとは「ちょうど2本が等しいか」を確認するだけです。
辺ABの中点では PA=PB=3、PC=PD=3√5。
{3, 3, 3√5, 3√5}:「3が2本」という等しい組がある。3本以上が等しくない。→ 条件を満たす。
4辺の中点すべてが同様の結果 → 4点が答え。
🎯 なぜその方針を選ぶのか
「垂直二等分線」に変換する理由
「PA=PBとなるすべての点P」を一つ一つ辺上で計算して探すと、大量の計算が必要です。
でも「垂直二等分線」に変換すれば、「辺ABの中心を通る縦線が辺のどこかと交わるか」を図で確認するだけで済みます。
「計算」ではなく「図形の性質」を使うことで、圧倒的に速く・ミスなく解けます。
「対称性を使って1辺だけ調べる」理由
正方形は4つの辺すべてが合同で、縦・横の対称性が高い図形です。
辺ABで起きることは、辺BC・辺CD・辺DAでも(対称性を考えれば)同じパターンが起きます。
1辺を丁寧に調べて「何点あるか」がわかれば、4倍(または対称性を使って)全体の答えが出ます。
「場合分け(6通りの組み合わせ)」が必要な理由
「4頂点のうちどの2本が等しいか」を考えずに「なんとなく辺上を探す」と、必ず見落としが出ます。
6通りの組み合わせ(隣り合う4組・対角2組)に分けて、それぞれ「どこで等しくなるか」を確認するのが確実な方法です。
「漏れなく・重複なく」が場合分けの目標です。
「他の条件も同時に成立するか」を必ず確認する理由
辺の中点では「PA=PB」だけでなく「PC=PD」も同時に成立します。
「PA=PBを見つけた」で止まってしまうと、他の条件の確認が抜けます。
「ちょうど2本が等しい」という条件をみたしているかを、全6通りのペアで確認して初めて確定します。
⚠️ 典型ミス
🔀 別解
別解:「点Pを動かして考える」アプローチ
辺AB上の点Pを、A(頂点)からB(頂点)に向かって少しずつ動かします。
このとき4本の距離 PA・PB・PC・PD がどのように変わるかを追います。
PA=0、PB=6、PC=6√2(対角線)、PD=6
PB=PD=6 → 2本が等しい → でもPA=0(頂点)なので除外
PA=3、PB=3、PC=3√5、PD=3√5
PA=PB かつ PC=PD → 2本が等しい(実は2組)→ 条件の確認が必要
PA=6、PB=0、PC=6、PD=6√2
PA=PC=6 → 2本が等しい → でもPB=0(頂点)なので除外
このように「点を動かして変化を追う」ことで、等しくなる点が「中点だけ」であることを確認できます。
中点以外のどの点でも「4本の距離はすべてバラバラ」であることが、この連続的な追跡でわかります。
本番でおすすめの解法
- 「2本が等しい」=「垂直二等分線上の点」に変換する
- 6通りのペアについて垂直二等分線を整理し、「隣り合う4組」と「対角2組」に分ける
- 「隣り合う4組」の垂直二等分線は縦・横の中心線→辺の中点4点が候補
- 「対角2組」の垂直二等分線は斜め→頂点のみと交わる→除外
- 辺の中点4点でPA・PB・PC・PDを実際に計算して、「ちょうど2本が等しいか」確認
- {3, 3, 3√5, 3√5}型 → 条件を満たす → 4点が答え
✨ 開成で差がつくポイント
この変換を体に染み込ませているかどうかが、合格者と不合格者の最大の差です。これができると解法の方針が一瞬で決まります。できないと「辺上を全部計算する」という泥沼にはまります。
「ちょうど」という言葉に引っかかって考え込む受験生がいる一方、「{a,a,b,c}か{a,a,b,b}も含む」を即座に判断して前に進める受験生がいます。言葉の意味を素早く確定させて、「どこを調べるべきか」に全力を集中させることが大切です。
正方形は縦・横・斜めの対称性を持ちます。これを使って「1辺だけ調べれば十分」という発想ができる受験生は計算量を大幅に減らせます。「すべてを個別に調べなければならない」と思い込む受験生は時間がかかります。
まず「垂直二等分線で候補を絞る」、次に「候補点で本当に条件が成立するか計算で確認する」という2段階の思考ができているかどうかです。1段階目で止まる受験生(候補を見つけただけで答えを出してしまう)は典型的な失点パターンです。
📚 この問題から学ぶべきこと
「2点から等距離の点を探す問題」のように見えて、実は「問題文の条件を正確に読む力」と「垂直二等分線という道具の使い方」と「図形の対称性の活用」を同時に問う問題です。
- 「2点から等距離の点」=「垂直二等分線上の点」という変換を即座に使える
- 「ちょうど○本」という条件は最初に定義を確定させ、最後に確認する
- 正方形の対称性(縦・横)を使って計算を1辺分に絞れる
- 候補点を出した後、必ず「本当に条件を満たすか」を確認するという2段階思考
- 「○点から等距離の点を探す」問題では常に「垂直二等分線」を使う
- 正三角形・長方形・正六角形など対称性の高い図形では「1パーツを調べて全体に拡張」する手法を使う
- 「ちょうど○個」「ちょうど○本」という条件が出たら、まず意味を確定させ、全パターンを場合分けで確認する習慣をつける
- 距離が等しくなる点を「連続的に動かして大小の変化を追う」アプローチも強力な道具として身につける
辺AB・辺BC・辺CD・辺DAの各中点の計4点
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