問題
0、1、2、3、4、5の6枚のカードがあります。
この中から4枚を選び、並べて4けたの整数を作ります。
ただし、同じカードは2回以上使えません。
(1) 偶数は何個できますか。
(2) 3の倍数は何個できますか。
(3) 6の倍数は何個できますか。
通常解説
この問題の土台:4けたの整数は何個できるか
(1)〜(3)を考える前に、まず「そもそも4けたの整数は全部で何個できるのか」を確認しておきます。これは後の全部の問いの土台になる、とても大事な計算です。
4けたの整数は全部で300個できます。この「300個」という全体の数を頭の片すみに置いておくと、(1)〜(3)で出てくる答えが「多すぎないか・少なすぎないか」を自分で確かめる目安になります。
(1) 偶数は何個できますか
整数が偶数になるかどうかは、一の位だけで決まります。一の位が0、2、4のどれかであれば、その整数は必ず偶数になります。だから、まず一の位に何を置けるかで場合を分けて考えます。
ここで注意したいのは、一の位が0のときと、0以外(2か4)のときとでは、千の位に置けるカードの枚数が変わるという点です。これを混同しないように、2つの場合に分けて計算します。
千の位は5通り、百の位は残り4通り、十の位は残り3通り。
5 × 4 × 3 = 60(個)
一の位で1枚使ったあと、残りは5枚(その中に0が含まれている)。千の位は0を使えないので、残り5枚から0を除いた4通り。
百の位は、千の位で使った分を除いた残り4枚から4通り(このときは0を使ってよい)。
十の位は残り3枚から3通り。
一の位2通り × 千の位4通り × 百の位4通り × 十の位3通り = 2 × 4 × 4 × 3 = 96(個)
「一の位が0のとき」と「一の位が2か4のとき」は同時には起こらないので、足し算でつなげてよいということも確認しておきましょう。
(2) 3の倍数は何個できますか
3の倍数かどうかは、一の位だけでは判断できません。整数が3の倍数になるかどうかは、使っている数字をすべて足した合計(各位の数字の和)が3の倍数になっているかどうかで決まります。これは覚えるだけでなく、なぜそうなるかが気になる人もいると思いますが、中学受験では「使う数字の和が3の倍数なら、その数字をどんな順番に並べても3の倍数になる」というルールとして使えるようにしておけば大丈夫です。
つまりこの問題は、「並べ方」を考える前に、まず『6枚の中から4枚を選んだとき、その4枚の数字の和が3の倍数になる組み合わせはどれか』を探す問題に変わります。これが、この問題でいちばん大事な視点の転換です。
この言いかえによって、「4枚の組み合わせを全部調べる」という大変な作業が、「2枚の組み合わせを調べる」というだいぶ簡単な作業に変わります。
| 取り除く2枚 | 和 | 3の倍数か | 残る4枚 |
|---|---|---|---|
| 0, 3 | 3 | ○ | 1, 2, 4, 5 |
| 1, 2 | 3 | ○ | 0, 3, 4, 5 |
| 1, 5 | 6 | ○ | 0, 2, 3, 4 |
| 2, 4 | 6 | ○ | 0, 1, 3, 5 |
| 4, 5 | 9 | ○ | 0, 1, 2, 3 |
(他の2枚の組も確認すると、和が3の倍数にならないことがわかります。たとえば0と1の和は1、0と2の和は2で、どちらも3の倍数ではありません。)
これで、4枚の和が3の倍数になる「4枚の組み合わせ」が5パターン見つかりました。
| 4枚の組み合わせ | 0を含むか | 並べ方の数 |
|---|---|---|
| 0, 1, 2, 3 | 含む | 4×3×2×1 − 3×2×1 = 24 − 6 = 18個 |
| 0, 1, 3, 5 | 含む | 同様に 18個 |
| 0, 2, 3, 4 | 含む | 同様に 18個 |
| 0, 3, 4, 5 | 含む | 同様に 18個 |
| 1, 2, 4, 5 | 含まない | 4×3×2×1 = 24個 |
24 − 6 = 18(個)
(3) 6の倍数は何個できますか
6の倍数とは、「2の倍数(偶数)」であり、なおかつ「3の倍数」でもある数のことです。つまり、(1)と(2)の条件を同時に満たす整数を数える問題です。
すでに(2)で、3の倍数になる4枚の組み合わせを5パターン見つけてあります。6の倍数を数えるときは、この5パターンそれぞれについて、「一の位が偶数(0、2、4のどれか)になる並べ方は何個あるか」を数え直せばよいことになります。一から数え直すのではなく、(2)で作った土台に条件を足すという考え方が、ここでのポイントです。
| 4枚の組み合わせ | 含まれる偶数 | 偶数の枚数 |
|---|---|---|
| 0, 1, 2, 3 | 0, 2 | 2枚 |
| 0, 1, 3, 5 | 0 | 1枚 |
| 0, 2, 3, 4 | 0, 2, 4 | 3枚 |
| 0, 3, 4, 5 | 0, 4 | 2枚 |
| 1, 2, 4, 5 | 2, 4 | 2枚 |
ここで、(1)で確認した考え方がそのまま使えます。「一の位が0になるとき」と「一の位が0以外の偶数になるとき」とで、千の位の選べる枚数が変わるという点です。組み合わせごとに、0を含むかどうかにも注意しながら数えていきます。
一の位が2のとき:千の位は0を除く2枚(1,3)から選ぶ → 2×2×1 = 4通り
合計:6 + 4 = 10個
一の位が2のとき:千の位は0を除く2枚(3,4)から選ぶ → 2×2×1 = 4通り
一の位が4のとき:千の位は0を除く2枚(2,3)から選ぶ → 2×2×1 = 4通り
合計:6 + 4 + 4 = 14個
一の位が4のとき:千の位は0を除く2枚(3,5)から選ぶ → 2×2×1 = 4通り
合計:6 + 4 = 10個
一の位の選び方2通り(2か4) × 千の位3通り × 百の位2通り × 十の位1通り = 2×3×2×1 = 12個
初見での考え方
ここからは、「開成を受ける受験生が、この問題を初めて見た瞬間に頭の中で何を考えているか」を、実況のような形で見ていきます。解き方を覚えるのではなく、考える順番を体で覚えることが目標です。
なぜその方針を選ぶのか
なぜ「並べ方」より先に「組み合わせ」を決めるのか
もし組み合わせを決めずに、いきなり「千の位は何通り、百の位は何通り…」と並べ方から計算しようとすると、3の倍数になるかどうかの条件をどこに反映させればよいか分からなくなってしまいます。3の倍数は「並び順」では決まらず「使う数字の組」で決まる性質だからです。だから、性質が決まる単位(=組み合わせ)から先に整理するのが筋の通った順番になります。これは「何が原因で結果が決まるのか」を先に見極める、という考え方そのものです。
なぜ「4枚を選ぶ」を「2枚を除く」と言いかえると有効なのか
6枚の数字の合計15はすでに3の倍数です。3の倍数から3の倍数を引いても、答えはやはり3の倍数になります。この性質を使うと、「4枚の和を直接3の倍数にする組み合わせ」を探すかわりに、「2枚の和が3の倍数になる組み合わせ」を探せばよいことになります。2枚の組み合わせは数が少なく、和も小さいため、暗算でひとつひとつ確かめやすいのです。同じ答えにたどり着くにしても、調べる手間が小さいほうを選ぶというのが、試験本番での合理的な判断です。
なぜ計算だけでなく表で整理するのか
(2)(3)では、組み合わせが5パターンあり、さらに組み合わせごとに「0を含むかどうか」「偶数が何枚あるか」という条件が変わります。これを文章のまま頭の中だけで処理しようとすると、どの組み合わせを数え終えたか分からなくなったり、同じ組み合わせを2回数えてしまったりするミスが起こりやすくなります。表に整理することで、「まだ数えていない組み合わせはどれか」「今どの条件を確認しているか」が目に見える形になり、ミスが減ります。
なぜ「0を含む場合」と「含まない場合」で必ず場合分けするのか
千の位に0が使えないという制限は、0を含む組み合わせにしか影響しません。0を含まない組み合わせでは、4枚すべてがどの位にも自由に使えます。この違いを無視してすべての組み合わせに同じ計算式(4×3×2×1=24通り)を当てはめてしまうと、0を含む組み合わせで「0が先頭に来てしまう並べ方」まで数に入れてしまい、答えが多くなってしまいます。だから、0の有無で必ず計算の仕方を分ける必要があるのです。
なぜ(3)は(2)の結果を土台にして考えるのか
6の倍数は「3の倍数であり、かつ偶数でもある数」です。(2)ですでに3の倍数になる組み合わせをすべて見つけてあるなら、(3)で改めて0から組み合わせを探し直す必要はありません。すでにある条件(3の倍数)の上に、もう一つの条件(偶数)を重ねるだけで答えにたどり着けます。一つの問題の中で前の小問の結果を使えないか考える姿勢は、計算量を減らすだけでなく、ミスのもとになる「同じ作業のやり直し」を防ぐことにもつながります。
典型ミス
別解
(1)の別解:全体から「一の位が奇数になる場合」を引く
全体300個から、一の位が1,3,5(奇数)になる場合を引く方法もあります。一の位が奇数のとき、千の位には0を除く残り4枚から選ぶので4通り、百の位は残り4枚、十の位は残り3枚。一の位の選び方3通り×千の位4通り×百の位4通り×十の位3通りで、3×4×4×3=144個。300−144=156個。本解と同じ答えになりますが、「奇数のほうを数えて引く」という発想は、(1)単体ではどちらでも手間は同じくらいです。
(2)(3)の別解:組み合わせを先に分類してから処理する
本解と同じく「2枚を除く」という考え方を使いますが、除く2枚を「0を含むかどうか」で先に分けてから探す方法もあります。0を含む除き方(0と3)と、0を含まない除き方(1,2/1,5/2,4/4,5)に分けて整理すると、残る4枚に0が含まれるかどうかをその場で判断しやすくなります。整理の順番を変えただけで、計算の中身は本解と同じです。
本番でおすすめの解法
本解で紹介した「合計15から2枚を除く」という考え方が、もっともミスが少なく、時間も短くてすみます。理由は、調べる組み合わせの数が2枚分(15通り)で済み、和も最大で9程度までしか出てこないため、暗算で確実に判定できるからです。4枚の組み合わせを直接探そうとすると、和の確認だけでも数字が大きくなり、見落としが増えます。
速い解法・ミスしにくい解法
(3)では、(2)で作った「3の倍数になる5つの組み合わせ」の表に、そのまま「偶数が何枚あるか」の列を1つ追加するだけで作業が進みます。新しく表を作り直すのではなく、同じ表に列を足していくという進め方が、もっとも速く、もっとも書き間違いが少ない方法です。
開成で差がつくポイント
この問題から学ぶべきこと
この問題の本質
「全部を直接数える」のではなく、「性質を使って数える範囲を絞り込む」という考え方が、この問題全体を貫くテーマです。3の倍数の判定(各位の和)という整数の知識を、場合の数の問題の中でどう活用するかが問われています。
他の問題への応用
「6枚から4枚を選ぶ」を「6枚から2枚を除く」と言いかえたように、選ぶ枚数が多いときは「選ばない方を考える」という発想は、他の組み合わせの問題でも広く使えます。また、小問同士のつながりを意識して、前の小問の結果を次の小問の材料にするという姿勢も、多くの場合の数の問題で応用できます。
今後どう活かすか
初めて見る問題に出会ったときは、すぐに数えはじめるのではなく、「この問題はどの性質を使えば数える範囲を絞れるか」を最初の数十秒で考える習慣をつけましょう。そして、複数の条件が重なる問題では、先に解いた小問の結果を次の小問にそのまま活かせないか、毎回確認する癖をつけることが大切です。
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