開成対策講座 第3講 問題3

開成レベル算数解説|三角形の交点と面積比
開成・灘・筑駒レベル 対策講座

三角形の2本のセビアンと交点
「3つの面積の連立」で解く技術

図形 面積比 比の連立 難易度 ★★★★★
📋問題

三角形ABCがあります。

辺BC上に点Pを、BP:PC=1:2 となるように取ります。

辺AC上に点Qを、AQ:QC=3:1 となるように取ります。

線分APとBQの交点をRとします。

三角形ABRと三角形PQRの面積比を求めなさい。

【図をここに挿入】
△ABC・点P(BC上)・点Q(AC上)・交点R
📖通常解説
① 方針を決める:交点Rを「3つの面積」で表す

まず△ABCの全体の面積を S とおきます。
次に、交点Rが△ABCの中を3つの三角形に分けることに気づきます。

大切な考え方:R を含む「3分割」
交点R は△ABCの内部にあるので、次の3つの三角形にぴったり分割されます。
△ABR + △BCR + △CAR = △ABC(全体)
これを使って面積を式で表します。

それぞれの面積に名前をつけます。

△ABR
x
△BCR
y
△CAR
z
x + y + z = S …(式0)
② 条件①「RはAP上にある」から式を作る

線分APは頂点Aから辺BC上の点Pへの直線です。
R はこの線分AP の上にあります。

ここで、「底辺が同じなら面積の比=高さの比」という考え方を使います。

考え方のポイント①
底辺をAB(辺AB)に固定して考えます。
△ABRの「高さ」はABから点Rまでの距離。
△ABPの「高さ」はABから点Pまでの距離。
R はAP上にあるので、AR:RP =(AからRまで):(RからPまで) の比で高さが決まります。
よって:△ABR ÷ △ABP = AR ÷ AP

同じように、底辺をBC(辺BC)に固定して考えます。
RはAP上にあるので、BCからの高さは次のようになります。

考え方のポイント②
△BCRの「高さ」= BCから点Rまでの距離。
△BCAの「高さ」= BCから点Aまでの距離。
R は線分AP上にあるので、
(BCからRまでの高さ):(BCからAまでの高さ)= RP:AP
(RはPに近い分だけ高さが低い)
よって:△BCR ÷ △BCA = RP ÷ AP

これと①を合わせると:

△ABR ÷ △ABP = AR ÷ AP → x ÷ (S ÷ 3) = AR ÷ AP △BCR ÷ S = RP ÷ AP → y ÷ S = RP ÷ AP

AR÷APとRP÷APを足すと必ず1になります(全体だから)。
よって:

x ÷ (S ÷ 3) + y ÷ S = 1 3x ÷ S + y ÷ S = 1 3x + y = S …(式1)
③ 条件②「RはBQ上にある」から式を作る

同じ考え方で、今度は「RはBQ上にある」ことを使います。
BQは頂点BからAC上の点Qへの直線です。

考え方のポイント③
底辺をAB(辺AB)に固定:
△ABR ÷ △ABQ = BR ÷ BQ(高さ比)

底辺をAC(辺AC)に固定:
RはBQ上なので(ACからRまでの高さ)÷(ACからBまでの高さ)= RQ÷BQ
△ACR ÷ S = RQ ÷ BQ

まず△ABQの面積を求めます。
△ABQとQCBはACを底辺として考えると、AQ:QC=3:1なので:

△ABQ ÷ △QCB = AQ ÷ QC = 3 ÷ 1 △ABQ = S × 3 ÷ (3+1) = 3S ÷ 4

これを使うと:

x ÷ (3S ÷ 4) + z ÷ S = 1 (BR÷BQ と RQ÷BQ を足すと1) 4x ÷ (3S) + z ÷ S = 1 4x ÷ 3 + z = S → 4x + 3z = 3S …(式2)
④ 式を連立して解く

3つの式を整理します。

式0:x + y + z = S
式1:3x + y = S
式2:4x + 3z = 3S

式0から式1を引きます:

(式0)−(式1):z − 2x = 0 → z = 2x …(A)

(A)を式2に代入:

4x + 3×2x = 3S
4x + 6x = 3S
10x = 3S
x = 3S ÷ 10

続いて y と z も求めます:

z = 2x = 6S ÷ 10 = 3S ÷ 5
式1より:y = S − 3x = S − 9S ÷ 10 = S ÷ 10

確認:

x + y + z = 3S/10 + S/10 + 6S/10 = 10S/10 = S ✓
△ABR = x
3S/10
△BCR = y
S/10
△CAR = z
3S/5
⑤ △PQRの面積を求める

残るは△PQRの面積です。P、Q、Rの3点を頂点とする三角形を、
すでに求めた面積から引き算で求めます。

まず△PCQの面積を求めます。
PはBC上(PC=BC×2/3)、QはAC上(QC=AC×1/4)、C は頂点です。

△PCQの面積の求め方
△PCQとCBAは頂点Cを共有し、
底辺PCはBCの2/3、底辺QCはACの1/4。
「角C」が共通なので:
△PCQ ÷ △BCA = (PC÷BC) × (QC÷AC) = 2/3 × 1/4 = 1/6
△PCQ = S ÷ 6

次に、四角形PCRQ(頂点がP・C・R・Qの四角形)の面積を求めます。
△BCRとBRQをもとに:

△BCQの面積を求めます。
BQはBからQへ、RはBQ上にあります。

△BCQと△ABQは底辺BQを共有 → △BCQ ÷ △ABQ = CのBQ方向距離 ÷ AのBQ方向距離

もっとシンプルに:△BCQはAQ:QC=3:1より

△BCQ = S − △ABQ = S − 3S/4 = S/4

RはBQ上にあり、△BCR(=y=S/10)を使うと:

△CRQ = △BCQ − △BCR = S/4 − S/10 = 5S/20 − 2S/20 = 3S/20

また、RはAP上にあり、△CAR(=z=3S/5)を使うと:

△AQR = △ABQ − △ABR = 3S/4 − 3S/10 = 15S/20 − 6S/20 = 9S/20

検証:△AQR + △CRQ = 9S/20 + 3S/20 = 12S/20 = 3S/5 = z = △CAR ✓

続いて△BPR(Rは△ABP内にある):

△ABP = S × BP/BC = S/3
△BPR = △ABP − △ABR = S/3 − 3S/10 = 10S/30 − 9S/30 = S/30

四角形PCRQの面積:

四角形PCRQ = S − △ABR − △BPR − △AQR
= S − 3S/10 − S/30 − 9S/20

通分(分母60):

= 60S/60 − 18S/60 − 2S/60 − 27S/60 = 13S/60

四角形PCRQを対角線PQで△PQRと△PCQに分割すると:

△PQR = 四角形PCRQ − △PCQ = 13S/60 − S/6 = 13S/60 − 10S/60 = 3S/60 = S/20
⑥ 面積比を求める
△ABR = 3S/10 = 6S/20
△PQR = S/20
△ABR ÷ △PQR = 6S/20 ÷ S/20 = 6 ÷ 1
答え(面積比)
△ABR : △PQR = 6 : 1
🧠初見での考え方(思考実況)

── 開成受験生が実戦でどう頭を動かすべきか、順番に追います。

1
「三角形の中に2本の線分と交点」→ 面積比の問題と認識する 比が与えられ、交点が出てきたら「面積を文字でおいて連立する」という方針が頭に浮かぶ。これが開成レベルの受験生の第一反応。
2
「R が △ABC を 3 つに分けている」ことを図に書く 交点R を中心に△ABR・△BCR・△CAR の3分割を図に書き込む。これが「x・y・z」の枠組みを決める第一手。
3
「RはAP上」という条件を面積の式に変換する 「RはAP上」は「BCを底辺にしたときの高さの比」と「ABを底辺にしたときの高さの比」の2つを与えてくれる。それが式1につながる。
4
「RはBQ上」という条件でもう一つ式を作る 同じ手順でABを底辺、ACを底辺にした場合を考えて式2を立てる。3つの式で3つの未知数x,y,zが解ける。
5
△PQRは「4領域の引き算」で求める APとBQの2本の直線が△ABCを4つの領域(△ABR・△BPR・△AQR・四角形PCRQ)に分ける。△PQRは四角形PCRQから△PCQを引けば出る。
💡なぜその方針を選ぶのか
「Rの座標を直接出そうとする」のがなぜ苦しいか

交点を直接求めようとすると、2本の直線の方程式を立てて連立する必要があります。
これは中学以上の数学の知識が必要で、小学生には使えません。
一方、「面積をx・y・zでおく」方法は、比と足し算だけで解けます。

「R が直線上にある → 高さの比 → 面積の比」という変換が核心

この問題で一番大切な技術は、「点が直線上にある」という条件を「面積の比」に翻訳することです。
「高さが同じなら底辺の比=面積の比」という小学生の知識で全て解けます。
この翻訳ができると、交点問題の9割は同じ方法で解けるようになります。

「△PCQを求めるときに頂点Cの角を使う」理由

△PCQはPもQもCも△ABCの頂点・辺の上にある特殊な三角形です。
頂点Cは共通で、PC÷BCとQC÷ACの積=△PCQ÷△ABC という「2辺と夾角(はさむ角)が同じ三角形の面積比」の性質を使います。
これは「底辺の比×底辺の比=面積の比(角が共通)」という考え方で、正確に覚えておく価値があります。

⚠️典型ミス
⚠ ミス① 「交点R を最初から座標で求めようとする」
「APとBQの式を立てれば交点が出るはず」と考え、A・B・Cを具体的な座標に置いてしまう。これ自体は間違いではないが、小学生レベルの方法を忘れてパニックになる。
座標法は計算が煩雑で、ミスが起きやすい。面積法の方が確実で速い。座標はあくまで検算用に使うべき。
⚠ ミス② x, y, z の「どれが△ABR でどれが△BCR か」を混乱する
文字をつけた後、式の途中でx とz を取り違えて計算する。
図に「x・y・z」を直接書き込む習慣がない受験生に多い。文字を置いたら必ず図に書き込み、常に図を見ながら式を立てること。
⚠ ミス③ 「△ABP=S÷3」で止まって△BCRとの関係を作れない
「△ABP=S/3 はわかったが、次に何をするかわからない」と止まる。
△ABPの面積を出しただけでは交点Rの位置はわからない。「R がAP上 → BCを底辺にした高さの比 → y/S = RP/AP」という変換ステップを知らないと詰まる。この「条件を高さの比に変換する」技術が本問の核心。
⚠ ミス④ 「△PCQの面積の求め方」を間違える
△PCQで、PCとQCの比を直接かけてしまう(2/3 × 1/4 = 1/6 と出るのはたまたま正しい場合もあるが理由を説明できない)。
「2辺と夾角が共通な三角形の面積比=2辺の比の積」という原理を理解していないと、類題でミスする。「角Cが共通」「PC/BC」「QC/AC」という3つの要素を確認してから計算する習慣を持つこと。
⚠ ミス⑤ 「四角形PCRQと△PQRを混同する」
四角形PCRQの面積を求めてそのまま△PQRの答えにしてしまう。
△PQRは四角形PCRQの一部。「P・C・R・Q の4点が作る四角形」を「△PCQ+△PQR」に分けることを忘れる。図を正確に描いていれば防げるミス。
⚠ ミス⑥ 分数の通分ミス(分母60を忘れる)
S/10・S/30・S/20などが混在する計算で通分を誤り、四角形PCRQの面積が出ない。
複数の分母(10・20・30・60)が出てくる計算では、LCMを先に求めてから全部その分母に統一する。「足し算・引き算は必ず通分してから」を徹底すること。
🔄別解
別解① AR:RPを直接求めてから△ABRと△PQRを計算する

x=3S/10 が求まったら、AR÷AP も計算できます。

△ABR ÷ △ABP = AR ÷ AP
(3S/10) ÷ (S/3) = AR ÷ AP
9/10 = AR ÷ AP → AR:AP = 9:10 → AR:RP = 9:1

同様に BR:RQ も求めます:

△ABR ÷ △ABQ = BR ÷ BQ
(3S/10) ÷ (3S/4) = BR ÷ BQ
12/30 = BR ÷ BQ = 2/5 → BR:RQ = 2:3

AR:RP=9:1、BR:RQ=2:3 が判明しました。
ここから△PQRを「△APB から各部分を引く」方法でも求められます。


別解② △ABCを「比のかけ算」で一気に分割する(上級者向け)

面積比の「星型パターン」と呼ばれる整理法を使います。
交点R の△ABCに対する重さを比で表すと:

面積座標(重心座標)の考え方
R を「A・B・Cから見た重さ」の比で表すと A:B:C = 1:3:6(計10)。
△ABR = S × 3/10(Cの重さ3、全体10)、
△BCR = S × 1/10(Aの重さ1)、
△CAR = S × 6/10(Bの重さ6)。
この考え方は中学受験上級者が速く解くために使います。
主解の「x・y・z の連立」。手順が明確で、どんな三角形の交点問題にも同じ形で使える。時間も正確さもこれが最強。
🏆開成で差がつくポイント
🎯

「条件を面積の式に翻訳する」技術があるか

「RがAP上にある」という位置条件を「高さの比=面積の比」に翻訳できるかどうかが最初の関門。この技術を持っているかどうかで合否が分かれる。

「3分割の枠組み」を瞬時に設定できるか

合格者は問題を見た瞬間に「x+y+z=S」の枠組みを設定し、そこに条件を当てはめていく。不合格者は「どこから手をつければいいかわからない」と止まる。

🔢

△PQRを「引き算で求める」発想があるか

△PQRをゼロから面積公式で求めようとすると行き詰まる。「大きな領域から小さな部分を引く」という引き算の発想が、開成算数で頻繁に求められる思考パターン。

💬

「2辺と夾角が共通な三角形の面積比」を知っているか

△PCQ=S/6 の計算をスムーズにできるかが後半の分水嶺。この「角Cが共通・2辺の比の積=面積比」の性質は、図形の類題で何度も出てくる必須知識。

📚この問題から学ぶべきこと
この問題の本質

「交点の面積比」は暗算で解けるものではありません。
①3分割の設定 → ②条件の翻訳(高さ比=面積比)→ ③連立 → ④引き算で残りの面積 という4ステップの組み立てが本質です。
答えの「6:1」という整数比が出ることで、計算が正しかったことを確認できます。

他の問題への応用
  • 「三角形内の2本のセビアン交点の面積比」→ 完全に同じ手法(BP:PC や AQ:QC が変わるだけ)
  • 「チェバの定理の証明」→ x, y, z の連立が、実はチェバの定理そのものを導いている
  • 「四角形内の対角線の交点」→ 同じ「分割して比を連立する」発想が使える
  • 「台形の面積比問題」→「角が共通な三角形の面積比=2辺の比の積」が頻出
今後どう活かすか

この問題が解けたら、BP:PCとAQ:QCの比をいろいろ変えて自分で問題を作ってみましょう。
例えば BP:PC=1:1、AQ:QC=1:1 にすると△ABR:△PQRはどうなるか?
(答えは 2:1 になります。中線の場合の特殊ケース)
このような「比を変えたらどう変わるか」を試す習慣が、開成算数の本番で初見問題に対応できる力を育てます。

一言まとめ
「交点=3分割してx・y・z でおく」「条件=高さの比に翻訳して式にする」「残りの面積=引き算で求める」
——この3技術を組み合わせれば、三角形の交点問題は必ず解けます。
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