開成対策講座 第1講 問題3

3けたの整数・条件付き | 開成レベル算数解説
開成・灘・筑駒レベル 算数専門解説

3けた整数の条件付き場合の数
「偶数」×「百の位 > 十の位」の完全攻略

問題3 場合の数 数の並べ方 難易度:標準〜発展
📋問題

1、2、3、4、5 の5枚のカードがあります。

この中から3枚を並べて3けたの整数を作ります。

ただし、以下の条件があります:

  • 条件①:3けたの整数は偶数
  • 条件②:百の位 > 十の位

このような整数は全部で何個ありますか。

📖通常解説
【前提整理】2つの条件を確認する
条件① 偶数 → 一の位が偶数(2か4) 1〜5の中で偶数は 2 と 4 の2種類。一の位はこの2択しかない。
条件② 百の位 > 十の位 → 上2桁の大小関係を管理する 百の位と十の位に置かれる2枚のカードについて、百の位の数が大きくなければならない。
【方針】一の位を先に固定して場合分けする
なぜ「一の位から先」に決めるのか? 偶数条件は「一の位が2か4」という強い制約。ここを固定することで残りの4枚から2枚を百の位・十の位に選ぶだけになる。制約の強い場所から固定するのが場合の数の鉄則。
【場合分け①】一の位が「2」のとき
1
百の位・十の位に使えるカードを確認する
一の位に2を使うので、残りは 1・3・4・5 の4枚。
この4枚の中から2枚を選んで百の位と十の位に置く。
2
「百の位 > 十の位」になる組み合わせを数える
4枚から2枚を選ぶ組み合わせは全部で 4×3÷2 = 6通り。
どの2枚を選んでも、大きい方を百の位・小さい方を十の位に置けば条件②を満たせる。
つまり「選んだ2枚の組み合わせ」の数がそのまま答えになる(並べ方は1通りに決まるので)。
選ぶ2枚百の位十の位一の位整数
{1,3}312312
{1,4}412412
{1,5}512512
{3,4}432432
{3,5}532532
{4,5}542542
一の位が2のとき → 6個
【場合分け②】一の位が「4」のとき
3
百の位・十の位に使えるカードを確認する
一の位に4を使うので、残りは 1・2・3・5 の4枚。
同じく4枚から2枚を選んで百の位と十の位に置く。
4
「百の位 > 十の位」になる組み合わせを数える
4枚から2枚の組み合わせは同じく 4×3÷2 = 6通り。
大きい方を百の位に置けばすべて条件を満たす。
選ぶ2枚百の位十の位一の位整数
{1,2}214214
{1,3}314314
{1,5}514514
{2,3}324324
{2,5}524524
{3,5}534534
一の位が4のとき → 6個
【最終計算】合計する
6(一の位が2)+ 6(一の位が4)
12個
答え 12個
🧠初見での考え方

── 開成受験生が実戦でどう考えるべきか、思考実況形式で解説 ──

⏱ 問題を見た瞬間(0〜5秒)
「5枚から3枚・3けた整数・偶数・百の位>十の位」
場合の数+2条件だと即認識。
→ 2条件が「位置の制約」と「大小の制約」の異種なので、位置の制約(偶数=一の位固定)を先に処理し、残りで大小条件を適用する流れが見える。
① 問題を見た瞬間に何に注目するか
  • 「偶数」という言葉 →「一の位が偶数」に即翻訳。1〜5で偶数は2と4のみ。選択肢が2つだと分かった瞬間に場合分け2択が確定する
  • 「百の位 > 十の位」 → これは「並べ方」ではなく「選んだ2枚の大小関係」の条件。組み合わせで考えると数えやすいと気づく
  • カードはすべて異なる数字(1〜5)→ 重複なし。同じ数字を複数回使うケースを心配しなくてよい
② どの条件が重要か・どこを整理すべきか
条件影響する位選択肢の数処理のしやすさ
偶数(一の位が偶数)一の位のみ2択(2か4)★★★ 最も制約が強い
百の位 > 十の位百の位・十の位組み合わせに依存★★ 組み合わせ思考で整理可

→ 制約が強い「一の位から先に固定」するのが正解への最短ルート。

③ 何を固定するか
  • 一の位を最初に固定(2か4の2択)。これで「残り4枚から百・十の位を2枚選ぶ」問題に帰着する
  • 百の位と十の位は「2枚の組み合わせ」として考える。大きい方が自動的に百の位に来るので、並べ方ではなく組み合わせで数えれば重複なしで正確に数えられる
④ なぜ「組み合わせ(C)」で考えるのか
「百の位 > 十の位」の条件があるとき: 2枚の数字が決まれば「どちらが百の位でどちらが十の位か」は自動的に決まる(大きい方が百の位)。
つまり「2枚を並べる(順列)」ではなく「2枚を選ぶ(組み合わせ)」として数えれば、過不足なくちょうど1通りずつ対応する。
大小条件は「組み合わせに帰着できる」というパターン認識が重要
⑤ どの単元として見るか
  • 単元:場合の数(順列・組み合わせの融合)+ 場合分け
  • 「一の位 → 組み合わせ(百・十の位)」という2段階の分けて考える思考が軸
  • 「大小条件 → 組み合わせに帰着」というパターンを知っているかどうかが差を生む
🎯なぜその方針を選ぶのか
① 「一の位から固定する」理由
逆に「百の位から先に決める」とどうなるか? 百の位に置けるのは1〜5の5択。しかし「偶数」条件は一の位に関係するため、百の位を決めた時点ではまだ偶数かどうか分からない。結局一の位の選択まで辿り着いてから「偶数かどうか」の判定が必要になり、場合分けが後ろ倒しになって整理しにくい。
制約の強い場所(一の位=2択)を先に固定すれば、残りの問題がシンプルになる
② 「百の位・十の位を組み合わせで数える」理由
「百の位 > 十の位」があるとき、順列(並べ方)で数えたらどうなるか? 4枚から2枚を並べる順列は 4×3 = 12通り。これには「百の位<十の位」のパターン(条件違反)も半分含まれている。
「大きい数>小さい数」の組み合わせは全体の半分なので 12 ÷ 2 = 6通りとも計算できるが、「なぜ半分か」の説明が別途必要になる。
最初から「組み合わせ = 2枚を選ぶだけ」で考えれば、大小関係は自動的に1通りに決まり、説明が自然でミスが減る
③ 「なぜ場合分けが2択(2と4)だけで済むのか」
  • 1〜5の5枚のうち偶数は 2・4 の2枚のみ。奇数(1・3・5)は一の位に置けない
  • この「偶数が2枚しかない」という事実が、場合分けを2ケースに絞る決定的な根拠
  • もし「1〜9」等の範囲なら偶数が4枚以上になるため、場合分けの数が変わる。カードの範囲を正確に把握することが重要
④ 「なぜ両ケースとも6通りで同じになるのか」
対称性の観察: 一の位が2のとき残りは{1,3,4,5}の4枚。
一の位が4のとき残りは{1,2,3,5}の4枚。
どちらも「4枚から2枚の組み合わせ」であり、4C2 = 6通り。
一の位のカードが違っても「4枚から2枚を組み合わせる」という構造は同じ。合計は 6×2 = 12通りと素早く求められる。
⚠️典型ミス
❌ ミス① 「偶数 = 2で割り切れる」の理解が一の位の条件に変換できない
「偶数の3けた整数を作れ」という指示に対し、「3けた全体が2で割れるか」を確認しようとして、何から始めればいいか分からなくなる。
▶ なぜ起こるか
整数が偶数かどうかは「一の位だけで決まる」という知識が定着していない。「偶数」という言葉を見たとき即座に「一の位が0・2・4・6・8のどれか」と翻訳できるかどうかが分かれ目。この変換が自動化されていないと初手で迷う。
❌ ミス② 「百の位 > 十の位」を無視して順列で数え、答えを過剰にする
条件②を見落として「4枚から2枚を並べる=4×3=12通り(×2 = 24通り)」と計算してしまう。
▶ なぜ起こるか
問題文を最後まで丁寧に読まず、条件②を見落とすか、「後で確認しよう」と思ったまま忘れる。問題を解き始める前に「条件をすべてリストアップする」習慣がないために発生する。
❌ ミス③ 「百の位 > 十の位」を順列で数えて「÷2」するが、÷2の根拠が曖昧
4枚から2枚を並べる12通りを「百の位>十の位は半分だから6通り」と処理するが、「なぜ半分か」を説明できず、テスト本番で確信が持てない。
▶ なぜ起こるか
「4枚の中に同じ数字がないから、どの2枚を選んでも必ず大小が決まり、大きい方が百の位になるケースとなるケースは1対1で対応する」という論理を明確に理解していない。感覚で÷2しているだけなので応用が利かない。
❌ ミス④ 「偶数カードを百の位・十の位に使うケース」を見落とす
「偶数(2・4)は一の位専用」と思い込み、例えば「百の位に2・十の位に1・一の位に4(=214)」のようなケースを正しくカウントに入れる。
※これは正しく数えられるべきパターン。しかしたまに「一の位以外の偶数は使えない」と混同するミスが起こる。
▶ なぜ起こるか
「偶数条件 = 一の位が偶数」は正しいが、「百の位や十の位には偶数のカードを使ってはいけない」という誤った制約を自分で追加してしまう。一の位を固定したあとの残り4枚は何でも使えることを意識できていない。
❌ ミス⑤ 全列挙しようとして数え漏れ・重複が起きる
表を書かずに「えーっと…312, 412, 512…」と頭の中だけで列挙しようとして、抜けや重複が生じる。
▶ なぜ起こるか
「組み合わせの公式で数える」方針を取らず、全部書き出そうとすること自体は悪くないが、規則的に書く方法(一の位で固定 → 百・十の位の組み合わせを小さい順に列挙)を持っていないと漏れが出る。書き出すなら「縦に固定・横に変化」の表形式が必須。
💡別解
⭐ 本番おすすめ・最速・ミスしにくい解法
別解① 「順列 ÷ 2」で求める(速い方法)

百の位・十の位の2枚について「順列(大小無視)」で数えてから、大小条件で半分に絞る考え方。

一の位を2(or4)に固定 → 残り4枚から2枚を並べる = 4×3 = 12通り
このうち「百の位 > 十の位」は半分 → 12 ÷ 2 = 6通り
一の位2のとき6通り、4のとき6通り → 合計 6+6 = 12個

✔ 速いが「÷2の根拠」を正確に言えることが必要。「カード番号が全部異なるので大小は必ず決まり、大きい方が百の位になるパターンと小さい方が百の位になるパターンは1対1で対応する」という説明が必須。

別解② 「百の位の数字」で場合分けする(別軸の整理)

百の位に置ける数字は「百の位 > 十の位」があるので2以上(十の位が1以上なら百の位は2〜5のどれか)。百の位の値で場合分けし、偶数条件を後から当てはめる別アプローチ。

百の位十の位の選択肢十の位の数一の位の偶数個数
2百の位より小さい:1のみ1通り残り{3,4,5}→偶数は4のみ1
31,2の2択2通り残り{偶数}→各2通りで偶数あり2×2=4
41,2,3の3択3通り残り{偶数}→各で偶数あり3×?
51,2,3,4の4択4通り残り{偶数}→各で偶数あり4×?

⚠️ この方法は「一の位に使える偶数が残っているか」の確認が各ケースで必要になり、表が複雑になる。初手の方針としては推奨しない。本番では「一の位固定 → 組み合わせ」の主解法が最もシンプル。

解法比較
解法速さミスのしにくさ本番推奨度
一の位固定 → 組み合わせ(主解法)★★★★★★◎ 第一推奨
順列 ÷ 2(別解①)★★★★★(根拠の説明必要)○ 根拠を言える人向け
百の位で場合分け(別解②)★(複雑・漏れリスク大)△ 非推奨
🏆開成で差がつくポイント
合格者 本当に見られている力:「条件の翻訳力」と「最初の固定の判断」

「偶数 → 一の位が2か4」という翻訳を0.5秒で終わらせ、「最も制約の強い位置から固定する」という方針を即決できる。
さらに「百の位 > 十の位 → 組み合わせに帰着できる」という変換も即座に行える。この2つの変換が自動化されているかどうかが合否を分ける。

不合格者 止まるポイント:「どこから手をつければいいか」で迷う

2つの条件が同時に出てきたとき、「どちらの条件を先に処理すべきか」の判断基準がない。
または「偶数」という言葉から「一の位に注目する」変換ができず、問題全体を漠然と眺めたまま時間を浪費する。

差がつく核心 「大小条件 = 組み合わせ」のパターン認識

「百の位 > 十の位」という大小条件が出たとき、「2枚の順番は大小で自動決定される → 組み合わせで数えれば足りる」という変換が自動的に出てくるかどうか。
これは暗記ではなく、「組み合わせとは何か」を本質的に理解しているかどうかの問いかけ。

開成特有の思考ポイント
  • 「条件を位の制約に翻訳する」力が問われている ── 偶数/奇数・3の倍数・各位の合計など、数の性質を「位の条件」に変換するスキルは頻出
  • 「場合分けの軸はどれにすべきか」の設計力 ── 一の位・百の位・条件の種類、どの軸で場合分けするかで計算量が10倍変わることがある
  • 答えが小さい(12個)ため、列挙で検算できる問題。計算後に「本当に12個あるか」を5個だけ確認する習慣が本番ミス防止になる
📚この問題から学ぶべきこと
🔑 この問題の本質

この問題の本質は「条件を位の制約に翻訳し、処理しやすい順に固定していく」ことです。

2つの条件が一見複雑に見えても、
①「制約が強い位(一の位)から固定する」
②「大小条件は組み合わせに帰着する」
という2つのパターンを持っていれば、瞬時に12通りという答えに到達できます。

「どの公式を使うか」ではなく「どの順序で条件を処理するかを設計できるか」が開成の求める力です。

他問題への応用
  • 「奇数の3けた整数を作れ」:一の位が奇数(1・3・5の3択)に変わるだけで同じ枠組みが使える
  • 「3の倍数の3けた整数を作れ」:一の位では判定できず「各位の和が3の倍数」という条件に変わる → 枠組みは同じだが場合分けが増える。今回のパターンが土台になる
  • 「百の位 < 十の位 < 一の位」(昇順):3桁すべてに大小条件がつく場合も「3枚の組み合わせを選べば並べ方は1通り」という同じ論理で処理できる
  • 「AB>CDとなる4桁整数」等の上位問題:大小条件を組み合わせに帰着するパターンが発展問題にそのまま現れる
今後どう活かすか
  • 「偶数/奇数/倍数」が条件に出たら、即座に「一の位の条件」に翻訳する癖をつける
  • 複数条件が出たら「どの条件が最も場所を絞るか?」を最初に問う習慣をつける
  • 「大小関係の条件 → 組み合わせで数える」を反射的に出せるよう練習する
  • 答えが小さいとき(〜20個程度)は列挙による検算を必ずセットで行う
📌 一行でまとめると: 「偶数条件 = 一の位固定」「大小条件 = 組み合わせに帰着」——この2つの変換を自動化することが、この問題類型を完全攻略する鍵。
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