2026年度の開成中学校算数を、大問1から大問4まで、小学生にも追いやすい言葉と正確な図で解説します。答えだけでなく、どこで方針を決め、どのように数え漏れや計算ミスを防ぐかまで整理しました。
試験全体の見方
速さとグラフ、数の性質、立体切断、図形の数え上げと、4題すべてで異なる力が求められました。計算量だけで押し切る試験ではなく、条件を図や式へ置き換えてから処理する力が重視されています。
理数館コメント
2026年度で差がついたところ
今年は、難しい公式を知っているかよりも、複雑な条件を小さく分けられるかで差がつきました。大問1では時刻、大問3では見方、大問4では数える順序を固定できた受験生ほど、後半まで答案をまとめやすい構成です。
典型的なミス
図を眺めたまま計算を始める、条件を一度に全部考える、見つけた順に数える、という進め方は危険です。何を固定するかを決め、途中結果を表や図に残すことが、失点を減らします。
合格する考え方
完答できない問題でも、折れ曲がる時刻、上から見た配置、内側の点ごとの個数など、確実に言えるところまで整理してください。開成算数では、その整理が次の小問の入口になります。
大問1 速さ・面積・グラフ
(1) 本文の折れ線グラフ
(2)(a) 2回:12.5秒後、17.5秒後 (b) 4回:35秒後、40秒後、50秒後、55秒後
(3) 2回:43 1/3秒後、46 2/3秒後
Eから横に何cmかで考える
正方形の一辺は30cmで、E・F・G・Hは各辺の真ん中の点です。Eを左端、Gを右端として、P・Q・R・SがEから横に何cmの位置にあるかを考えます。それぞれの距離を p, q, r, s cmとします。
直線PQ上では高さが30cmから0cmへ一定の割合で変わります。高さ15cmのEGに達する点Rは、PとQのちょうど中点です。したがって横位置も平均になり、
となります。PとQを個別に描く代わりに、この平均だけを描けばよいのです。
(1) ERのグラフ
折れ曲がる時刻だけを調べる
Pは秒速5cmで、HからDへ出発します。中点から頂点までは15cmなので最初の折り返しは3秒後。その後は一辺30cmを6秒で進むため、3, 9, 15, 21, 27秒…で折り返します。Qは秒速3cmでFからBへ出発し、最初は5秒後、その後は10秒ごとに5, 15, 25秒…で折り返します。
| t(秒) | 0 | 3 | 5 | 9 | 15 | 21 | 25 | 27 | 30 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| p | 15 | 30 | 20 | 0 | 30 | 0 | 20 | 30 | 15 |
| q | 15 | 6 | 0 | 12 | 30 | 12 | 0 | 6 | 15 |
| r=(p+q)/2 | 15 | 18 | 10 | 6 | 30 | 6 | 10 | 18 | 15 |
この9点を順に直線で結びます。たとえば0~3秒ではPが秒速5cmで右、Qが秒速3cmで左へ動くため、平均Rは右へ秒速 (5−3)÷2=1cm。3~5秒では両方が左へ進むので、Rは左へ秒速 (5+3)÷2=4cmです。この傾きの確認をすると、点の打ち間違いを発見できます。
(2) 三角形EPQの面積が300cm²
面積をERだけで表す
線分ERで△EPQを△EPRと△EQRに分けます。共通の底辺をERと見ると、PからEGまでの高さもQからEGまでの高さも15cmです。2つの面積を足して、
面積が300cm²となる条件は、15×ER=300、つまりER=20cmです。図2の赤い水平線との交点を読めば済みます。
(a) 0~30秒
ER=20となるのは、9~15秒の上り坂と15~21秒の下り坂です。
- 9~15秒ではERは6cmから毎秒4cmずつ増える。
9+(20−6)÷4=12.5秒 - 15~21秒ではERは30cmから毎秒4cmずつ減る。
15+(30−20)÷4=17.5秒
(b) 30~60秒
30秒後にはPもQも出発位置と左右反対の動きをするため、後半のグラフは前半を上下反転した形、すなわち r(t+30)=30−r(t) になります。後半でER=20となるのは、前半でER=10となった時刻に30秒を加えたときです。
前半でER=10となるのは5秒、10秒、20秒、25秒。したがって35秒、40秒、50秒、55秒です。
(3) 三角形PQSの面積が300cm²
今度は「SとRの間の長さ」が底辺
線分SRで△PQSを△PRSと△QRSに分けます。どちらも底辺をSRと見ると、高さは15cmです。したがって、
面積を300cm²にするには、SRの長さが300÷15=20cmになればよいとわかります。つまり、グラフではESとERの差が20cmになるところを探します。
SはEG上を秒速2cmで往復するので、0, 15, 30, 45, 60秒でのESは順に0, 30, 0, 30, 0cmです。ERのグラフと重ね、2本のグラフの上下の間が20cmになる場所を探します。
43 1/3秒後の計算
40秒時点ではER=20cm、ES=20cmで一致しています。40~45秒ではERは毎秒4cmずつ減り、ESは毎秒2cmずつ増えるので、2点間の差は毎秒6cmずつ広がります。差が20cmになるまで20÷6=3 1/3秒。したがって、40+3 1/3=43 1/3秒です。
46 2/3秒後の計算
45~50秒では、ERは0cmから毎秒4cmずつ増え、ESは30cmから毎秒2cmずつ減ります。差は毎秒6cmずつ縮みます。30cmの差を20cmにするには10÷6=1 2/3秒かかるので、45+1 2/3=46 2/3秒です。
検算と学習ポイント
(1) 折れ線の頂点、(2) 6つの時刻、(3) 2つの分数時刻がすべて公式解答と一致しました。さらに、それぞれの時刻でP・Q・R・Sの位置を計算し直し、面積が300cm²になることも確認しています。
- 動点は折り返し時刻を先に表にする。
- 中点との交点は平均になる。 本問最大の発見。
- 面積条件を距離条件へ変える。 300cm² ⇔ 20cm。
- 後半は周期と対称性を利用する。 すべてを最初から描き直さない。
理数館コメント|大問1
動く点を追い続けるのではなく、グラフが折れ曲がる時刻を先に決めることが勝負です。面積を「底辺×高さ÷2」のまま扱わず、ERの長さ1つで表すと、後半まで同じ考え方で進めます。
大問2 数字カードと分数
(1) 9876÷12(9876/12)
(2)(a) 9864÷12 + 75÷3
(2)(b) 1356÷97 + 24÷8
(1) 1つの分数を最も大きくする
分数を大きくするには、上の4けたを大きくし、下の2けたを小さくします。使える数字は1から9で、同じ数字は2回使えません。
作れる最小の2けたは12です。13以上を分母にすると、分子を最大の9876にしても、9876÷13は760より小さくなります。一方、分母を12にすれば800を超えられます。したがって、最大になる分母は12です。
1と2を使ったので、残りの3から9までの数字から大きい4個を選び、大きい順に並べます。分子は9876です。
(2)(a) 2つの分数の和を最も大きくする
まず、4けた÷2けたの分数を大きくしたいので、やはり分母12を使うのが有利です。ただし、(1)と同じ9876÷12にすると、残る数字は3・4・5です。2つ目を最大にしても54÷3=18なので、和は823+18=841です。
そこで、1つ目の分子から7を残し、代わりに4を入れて9864にします。残った3・5・7からは75÷3=25を作れます。
なぜこれが最大なのか
数字1を2つ目の分母に使うと、1つ目の分母は小さくても23です。この場合は、両方を大きめに見積もっても9876÷23+98より小さく、528を超えません。
数字1を1つ目の分母に使いながら12を作らない場合、1つ目の分母は13以上です。2つ目の分母は2以上なので、両方を大きめに見積もっても9876÷13+98÷2より小さく、809を超えません。数字1を分子に使う場合は、これよりさらに小さくなります。したがって、847を作るには1つ目の分母を12にしなければなりません。
分母12を決めたあと、2つ目の分母として3から9を順に調べると、最大は次のようになります。
| 2つ目の分母 | そのときの最大の入れ方 | 和 |
|---|---|---|
| 3 | 9864÷12 + 75÷3 | 847 |
| 4 | 9863÷12 + 75÷4 | 約840.67 |
| 5 | 9863÷12 + 74÷5 | 約836.72 |
| 6 | 9853÷12 + 74÷6 | 約833.42 |
| 7~9 | 同じように確認 | すべて831未満 |
(2)(b) 和が17より小さくなる1通り
2つの分数はどちらも正の数です。したがって、最初の4けた÷2けたも17より小さくなければいけません。
2けたの数は最大でも98なので、右側は98×17=1666です。よって4けたの数は1666より小さく、千の位は必ず1になります。
2けたの分母を大きくしていく
1つ目を小さくするには、4けたの分子を小さくし、2けたの分母を大きくします。分母の十の位を1から9まで分け、残った数字で2つ目もできるだけ小さくして調べます。
分母の十の位が9の場合も、残りの数字の置き方を小さい順に確認します。すると、17より小さくなるのは次の入れ方だけです。
24÷8=3なので、
97×17=1649です。1647は1649より2小さいので、この和は確かに17より小さくなります。
検算と学習ポイント
(1)、(2)(a)、(2)(b)の数字の入れ方はすべて公式解答と一致しました。さらに1から9がそれぞれ1回だけ使われていること、(2)(a)の和が847になること、(2)(b)が17より小さいことを計算し直して確認しています。
- 大きくしたい:分子を大きく、分母を小さくする。
- 小さくしたい:分子を小さく、分母を大きくする。
- 2つの和:片方だけでなく、数字を移したときの全体の増減を見る。
- 「1通り」を示す:分母の十の位などで分け、もれなく調べる。
理数館コメント|大問2
大きくしたい分数は、分子を大きく、分母を小さくするのが出発点です。ただし、数字を一度ずつしか使えない条件があるため、1つずつ決め打ちせず、交換したときに増えるか減るかを比べます。
大問3 立方体の切断と体積
(1) 図1の斜線部分
(2) 40cm³
まず、立方体の中身を整理する
黒い三角柱Xと白い三角柱Yを1個ずつ合わせると、底面が2cm×2cm、高さが8cmの四角い柱になります。この組を縦4列、横4列に並べると、8cm×8cm×8cmの立方体になります。
2cm×2cmの正方形16個は、それぞれ対角線で黒と白に分かれています。4個の黒い三角形が集まるところでは、対角線4cmのひし形ができます。そのため、上から見ると黒いひし形が4個並びます。
(1) 切り口に現れる黒い部分
切り口は正三角形ABC
辺ABは立方体の前の面にある正方形の対角線、辺BCは右の面の対角線、辺CAは上の面の対角線です。どれも1辺8cmの正方形の対角線なので、3辺の長さは同じです。したがって、切り口ABCは正三角形になります。
なぜ黒い部分が長方形になるのか
立方体の中で、黒と白の境目はすべて縦向きの平らな面です。その面を、ななめの切断面で切ると、切り口にはまっすぐな線が現れます。上から見た黒いひし形4個のうち、三角形ABCの真下にある部分を切り口へ移すと、黒い部分は3つの長方形になります。
(2) 立体Wにある黒い部分の体積
立体Wは、上から見て対角線ACよりD側
切断面は上の面と辺ACで交わります。点Dをふくむ立体Wは、上から見ると対角線ACよりD側にあります。黒いひし形と重ねると、Wに残る黒い部分は次の3か所です。
切断面から上の面までの厚さ
辺AC上では、切断面と上の面が重なるので厚さは0cmです。Dへ近づくほど厚くなり、Dでは8cmになります。切断面は平らなので、厚さは途中で急に変わらず、同じ割合で増えます。
| 黒い部分 | 上から見た面積 | 厚さの変化 | 平均の厚さ | 体積 |
|---|---|---|---|---|
| 左上 | 4cm² | 0cmから2cm | 1cm | 4cm³ |
| 右上 | 8cm² | 2cmから6cm | 4cm | 32cm³ |
| 右下 | 4cm² | 0cmから2cm | 1cm | 4cm³ |
検算と学習ポイント
(1)の3つの斜線部分は公式解答の位置と一致し、(2)の体積も公式解答の40cm³と一致しました。上から見た黒い部分を3つに分け、4cm³・32cm³・4cm³の合計として別に計算して確認しています。
- 立体を上から見る:黒い材料がどこにあるかを先に整理する。
- 切り口の形:同じ大きさの正方形の対角線3本なので正三角形。
- 切断後の体積:上から見た面積×平均の厚さ。
- 途中で切られる:元の三角柱の個数だけでは数えない。
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▶ 動画授業を見る(開成2026 大問3)理数館コメント|大問3
立体を頭の中だけで回すと見落としが起こります。上から見た図と切り口の正三角形に分け、黒い部分の面積と平均の厚さを組み合わせるのが、合格答案につながる整理です。
大問4 正六角形の頂点と三角形
同じ大きさの正六角形7個をすき間なく並べます。24個の頂点から3点を選び、4つの条件をすべて満たす三角形を、形ごとに数える問題です。
(1) 3cm²、12個
(2) (a) 5cm² (b) 3個 (c) 2個 (d) 30個
(3) 面積5cm²の形が48個、面積4cm²の形が60個
準備 先に4つの条件をふるいにかける
3点を選べば何でもよいわけではありません。次の順に調べると、数えなくてよい形を早く取り除けます。
- 3つの角が、すべて正六角形の頂点か。
- 三角形の辺が、もとの正六角形の辺と重なっていないか。
- 三角形の辺の途中に、ほかの頂点がないか。
- 三角形の内側にある頂点が、ちょうど1個か。
正六角形1個は、中心から6つの頂点へ線を引くと、同じ大きさの正三角形6個に分かれます。正六角形の面積が6cm²なので、小さい正三角形1個分の面積は1cm²です。以後は、この小さい正三角形が何個分あるかで面積を求めます。
(1) 正三角形A
面積
Aを格子の線にそって小さい三角形に分けると、面積1cm²の正三角形3個分です。
個数
Aの内側にある1点を先に決めます。内側の点になれる場所は2種類あり、それぞれ回転させると6か所ずつあります。どちらの場所でも、Aと同じ正三角形は1個ずつできます。
(2) 二等辺三角形B
(a) 面積
Bも同じものさしで分けて数えると、小さい正三角形5個分です。
(b)(c) PとQを内側にする個数
内側の点をPに固定し、Bと同じ形を回しながら置いて4条件を調べると3個残ります。Qに固定した場合は2個残ります。図では、同じ場所に重なる三角形を色分けしています。
(d) Bと同じ形の総数
Pと同じ位置関係の点は、図全体を60度ずつ回して6個あります。Qと同じ位置関係の点も6個あります。三角形の内側の点は必ず1個なので、同じ三角形を2回数える心配はありません。
18+12=30個
(3) AともBとも同じ形でない三角形
条件を満たす三角形を、3辺の長さの組で仲間分けします。すると全部で4種類です。正三角形A、二等辺三角形Bを除くと、残りは2種類だけです。
面積5cm²の別の形
P型の点を内側にすると6個、Q型の点を内側にすると2個できます。
面積4cm²の別の形
P型の点を内側にすると6個、Q型の点を内側にすると4個できます。
検算と学習ポイント
24個の頂点から3点を選ぶすべての組について、4条件を順に確認しました。残った150個を3辺の長さで分けると、12個・30個・48個・60個の4組になり、合計も150個に戻ります。面積と個数は公式解答とも一致します。
- 面積:正六角形の6分の1を1cm²として数える。
- 個数:三角形を先に探さず、内側に入る1点を先に決める。
- 合同:回す・ずらす・裏返すと重なるものは同じ形。
- 見落とし防止:辺の途中に別の頂点がないかを必ず確認する。
理数館コメント|大問4
見つけた順に三角形を数えると、もれと重なりが必ず起こります。内側の1点を固定し、形、向きの順に調べ、最後に6倍する方法なら、150個を4種類へ安全に分けられます。
開成中学校に向けた学習法
- 条件を1行ずつ図へ移す。 問題文を読み終えてから考え始めず、分かったことをその場で図に書き込みます。
- 変わるところだけを調べる。 速さなら折れ曲がる時刻、立体なら厚さが変わる境目を先に見つけます。
- 数え上げの順序を固定する。 基準となる点を決め、形、向きの順に確認します。
- 途中式を説明できる形にする。 自分が後から読み返して分かる答案は、採点者にも伝わる答案です。
答え一覧
| 大問 | 答え |
|---|---|
| 1 | (1) グラフ (2)(a) 2回:12.5秒後、17.5秒後 (b) 4回:35秒後、40秒後、50秒後、55秒後 (3) 2回:43と1/3秒後、46と2/3秒後 |
| 2 | (1) 9876/12 (2)(a) 9864/12+75/3 (b) 1356/97+24/8 |
| 3 | (1) 図示 (2) 40cm³ |
| 4 | (1) 3cm²・12個 (2) 5cm²・3個・2個・30個 (3) 5cm²・48個、4cm²・60個 |

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