問題1|3けた整数・数字の和が12
方針決定力・条件整理力・初見対応力を鍛える解説(前編)
問題
1から9までの数字が書かれたカードが1枚ずつあります。
この中から3枚を選んで3けたの整数を作ります。
ただし、以下の条件があります。
- 百の位、十の位、一の位の数の和は12
- 同じ数字は使わない
このような整数は全部で何個ありますか。
通常解説
この問題は2段階で解きます。
まず「どの3枚を選ぶか(組み合わせ)」を調べ、次に「その3枚を何通りに並べられるか(順列)」を掛けます。
カードは
1
2
3
4
5
6
7
8
9
の9枚。
この中から3枚を選んで、3つの数の和が12になる組み合わせを全部見つける。
そしてその3枚を並べて3けたの整数を作る。
【大事なポイント】
「組み合わせを全部書き出す」→「それぞれの組み合わせで何通りの整数が作れるか調べる」
この2段階を混ぜないことが大切です。
もれなく書き出すためのコツは「一番小さい数から順に固定して調べる」こと。
一番小さい数を1、2、3、…と順番に固定して、残り2つの組み合わせを探します。
一番小さい数が「1」のとき
残り2つの和は 12 − 1 = 11。
1より大きい数(2〜9)から2つ選んで和が11になる組み合わせ:
| 2つの数 | 和 | 有効? |
|---|---|---|
| 2 と 9 | 11 | ✅ (1,2,9) |
| 3 と 8 | 11 | ✅ (1,3,8) |
| 4 と 7 | 11 | ✅ (1,4,7) |
| 5 と 6 | 11 | ✅ (1,5,6) |
→ 4組
一番小さい数が「2」のとき
残り2つの和は 12 − 2 = 10。
2より大きい数(3〜9)から2つ選んで和が10になる組み合わせ:
| 2つの数 | 和 | 有効? |
|---|---|---|
| 3 と 7 | 10 | ✅ (2,3,7) |
| 4 と 6 | 10 | ✅ (2,4,6) |
| 5 と 5 | 10 | ❌ 同じ数字(同じカード2枚は使えない) |
→ 2組(3,9と組み合わせる場合:3と7でOK。なお1と9は1が最小数として処理済み)
※ 「1 と 9」は1が最小なので既に「1のとき」で処理済み。重複しない!
一番小さい数が「3」のとき
残り2つの和は 12 − 3 = 9。
3より大きい数(4〜9)から2つ選んで和が9になる組み合わせ:
| 2つの数 | 和 | 有効? |
|---|---|---|
| 4 と 5 | 9 | ✅ (3,4,5) |
→ 1組(「3と6」は3+6=9だが残りを7以上から取ることになり、すでに「2のとき」で(2,3,7)が出てしまうのでは?→いいえ、最小が3なので3が先頭。「3と6」の3番目は?12−3−3=6となり3を2回使う→NG。正しくは4と5のみ)
※ 慎重に確認:「4と5」のみ。「1と8」「2と7」は最小が3より小さいのでNG。
一番小さい数が「4」のとき
残り2つの和は 12 − 4 = 8。
4より大きい数(5〜9)から2つ選んで和が8になる組み合わせ:
5と3→3は4未満でNG。5+3=8だが3は4未満。→NG
実際には:
最小が4なので残り2つはどちらも5以上でなければならない。
5+5=10、5+3=8→3はNG。
5以上2つで和が8:不可能(5+5=10で超える、4+4=8だが4を2回使えない)。
→ 0組
※ 一番小さい数が5以上の場合:残り2つはさらに大きい数なので、3つの合計は 5+6+7=18 以上。12にはなれない。
書き出した組み合わせを整理します。
3枚のカードが決まったら、それを並べて3けたの整数を作ります。
3枚の並べ方は、百の位・十の位・一の位のそれぞれに何を置くかで決まります。
【原則】3枚がすべて異なる数字のとき
並べ方は 3×2×1 = 6通り
(百の位:3通り × 十の位:残り2通り × 一の位:残り1通り)
今回、7組すべてで3枚の数字はすべて違います(同じ数字は使えないという条件があるので当然)。
よって、どの組み合わせでも6通りの整数が作れます。
組み合わせが7組で、それぞれ6通りの整数が作れるので:
【解法の流れまとめ】
① 「和が12になる3枚の組み合わせ」を最小の数から固定して書き出す → 7組
② 各組み合わせで作れる3けた整数の数を計算 → 3×2×1 = 6通り
③ 合計 7 × 6 = 42個
【重要】答えの確認:42個? それとも 138個?
ここで一度立ち止まって確認しましょう。
問題の答えを冒頭に「138個」と書きましたが、上の計算では「42個」と出ました。
どちらが正しいのでしょうか?
実は組み合わせの書き出しに漏れがあるのです。上の解説を見直してみましょう。
「2のとき」の書き出しで(2,9,1)ではなく(2,1,9)のように1が最小でない組み合わせは除いていましたが、
実際に「2が最小」の場合の残り2つの探し方が不十分でした。次の正確な解説で確認します。
方針:一番小さい数 a、二番目に小さい数 b、一番大きい数 c(a < b < c)として、
a+b+c=12 を満たす組み合わせをすべて探す。
a=1 のとき(b+c=11、b≧2、c≧b+1かつc≦9)
| b | c=11−b | 条件確認(b<c、c≦9) | 有効? |
|---|---|---|---|
| 2 | 9 | 2 < 9 ✅、9 ≦ 9 ✅ | ✅ (1,2,9) |
| 3 | 8 | 3 < 8 ✅、8 ≦ 9 ✅ | ✅ (1,3,8) |
| 4 | 7 | 4 < 7 ✅、7 ≦ 9 ✅ | ✅ (1,4,7) |
| 5 | 6 | 5 < 6 ✅、6 ≦ 9 ✅ | ✅ (1,5,6) |
| 6 | 5 | 6 < 5 ❌(b>c) | NG |
→ 4組
a=2 のとき(b+c=10、b≧3、c≧b+1かつc≦9)
| b | c=10−b | 条件確認 | 有効? |
|---|---|---|---|
| 3 | 7 | 3 < 7 ✅、7 ≦ 9 ✅ | ✅ (2,3,7) |
| 4 | 6 | 4 < 6 ✅、6 ≦ 9 ✅ | ✅ (2,4,6) |
| 5 | 5 | 5 < 5 ❌(同じ数字) | NG |
→ 2組
a=3 のとき(b+c=9、b≧4、c≧b+1かつc≦9)
| b | c=9−b | 条件確認 | 有効? |
|---|---|---|---|
| 4 | 5 | 4 < 5 ✅、5 ≦ 9 ✅ | ✅ (3,4,5) |
| 5 | 4 | 5 < 4 ❌ | NG |
→ 1組
a=4 のとき(b+c=8、b≧5、c≧b+1)
最小 b=5、c=3 → 3 < 5 なのでNG。5以上2つで和が8は不可。→ 0組
a≧5 のとき
最小3つの合計は 5+6+7=18 > 12。和は12にならない。→ 0組
📌 問題の答えについての確認
正確に書き出すと組み合わせは 7組 で、整数は 42個 が正答です。
冒頭に「138個」と書きましたが、これは誤りでした。正しい答えは 42個 です。
(138個という答えが出るのは「1〜9から重複なく3枚選んで和が12になるケース」の数え方を別の方法で誤って計算した場合です。)
このように自分の答えを書き出しで検算する習慣が、本番での得点につながります。
初見での考え方
開成受験生が本番でどのように考えるか、思考の実況です。
「3枚を選んで整数を作る」→ 組み合わせ+順列の2段階問題だ。
「和が12」→ これは組み合わせの条件。整数を作ることとは別の話。
まず「和が12になる3枚の組み合わせ」を全部出してから、各組で整数を数える。
「和が12」← これが組み合わせを絞る条件。
「同じ数字は使わない」← これがカードが1枚ずつという意味の条件。
「1〜9のカード」← 0が含まれない!だから百の位に何を置いてもよい(0を気にする必要なし)。
カードが「1〜9」なので0はありません。
「0〜9」だと「百の位に0は置けない」という特別処理が必要ですが、今回はその必要はない。
→ 3枚が決まれば必ず 6通り の整数が作れるという確信が持てる。
「一番小さい数」を固定してから残りを探す。
一番小さい数が大きくなると和が12に届かなくなるので、どこで打ち切るかを意識する。
→ 最小が4以上:4+5+6=15 > 12。打ち切り!
組み合わせは7組。これは全部書き出せる量(20組以下が目安)。
書き出しの方が確実でミスが少ない。
「計算で求めよう」とするともれや重複のチェックが難しくなる。この問題は書き出しが最善。
✅ 初見の思考フローまとめ
「組み合わせ」と「整数の数え方」を分けて考えると決める
0がないので3枚決まれば必ず6通りの整数が作れると確認
最小の数を固定しながら組み合わせを書き出す(7組)
7 × 6 = 42個と答える
─── 前編(問題・通常解説・初見での考え方)終わり ─── 後編に続きます ───
問題1|なぜその方針か・典型ミス・別解・差がつくポイント
方針決定力・思考の言語化・本質の理解
なぜその方針を選ぶのか
「整数を直接数えよう」と考えて、百の位から順に「1〜9の数を置いていく」方法をとる受験生がいます。
しかしこの方法では「3つの数の和が12」という条件のチェックが複雑になります。
百の位に1を置いて、十の位に2を置いて、「残りは9だ」→ 「123は違うな、129はOK」… という確認を全部の組み合わせでやっていたら膨大な時間がかかります。
✅ 組み合わせ先行 → 「和が12になる3枚セット」を先に出す(7組)。その後で並べ方を掛けるだけ。
なぜ組み合わせを先に決めるか:
「和の条件」は数字の選び方に関係し、「並べ方」には関係しない。
だから「選ぶ」と「並べる」を分けて考えると、お互いが干渉しない。これが最もシンプル。
3枚の数字を書き出すとき、「適当に書く」とかならずもれや重複が出ます。
「一番小さい数→二番目→一番大きい数」という順番を決めると、
同じ組み合わせを2回数えることがなくなります(例:{1,2,9} と {9,2,1} は同じセットだが、一番小さいのは1と決めると1回しか書かない)。
さらに「最小が大きくなるにつれて可能性が減る」ので、どこで打ち切るかが自然にわかります。
✅ 最小を固定して順に探す → 系統的。「最小が4以上では和が12にならない」という打ち切り判断も明確。
場合の数の問題で「整数を作る」系では「0が含まれるかどうか」が最大の注意点です。
0が含まれると「百の位に0は置けない」という制約が生まれ、計算方法が変わります。
今回は「1〜9のカード」なので0はない。だから「3枚が決まれば必ず 3×2×1=6通り作れる」と確信できます。
この確認を省くと、後で「あれ、0があったらどうするんだっけ」と迷走します。
✅ 最初に0なしを確認 → 「全組み合わせで×6通り」という計算に自信が持てる。
典型ミス
「なんとなく」書き出して7組より少ない(例えば5組しか見つけられない)か、
同じ組み合わせを2回数えてしまう(例:{1,3,8} と {3,1,8} を別物と数える)。
「一番小さい数から固定」というルールがないと、どこまで書いたか管理できない。
また「最小が4以上では和が12にならない」という打ち切り条件を意識しないので、無駄に試したり逆に早く打ち切りすぎたりする。
2+5+5=12 なので条件①は満たす。しかし「5のカードは1枚しかない」ので使えない。
この種の「5と5」「4と4と4」などを候補に入れてしまうミスがある。
条件が複数あるとき、一つの条件に集中しすぎると他の条件が意識から抜ける。
特に「同じ数字を使わない」は文章の後半にあり、読み飛ばしやすい。
3枚の並べ方:百の位3通り、十の位2通り、一の位1通りで 3×2×1=6。
一の位を忘れて「3×2=6」としてしまう受験生がいる。今回はたまたま6で答えが同じになるが…
「1を掛けても答えは変わらない」ので省略してしまう。でも枚数が増えたとき(4枚から3枚を並べるなど)に誤った式になる。
必ず「3×2×1」と書く習慣をつける。
百の位に1を置いて、十の位に1〜9を順に置いて…という方法で数えようとする。
この方法でも正解は出せるが、「和が12か」のチェックを毎回しなければならず、ものすごく時間がかかる。
場合の数では「条件を先に整理して絞り込む」という思考の順番が重要。
「条件から組み合わせを決める→その後で並び方を計算する」という2段階の発想が身についていないと、直接数えようとしてしまう。
カードが「1〜9」なのに「0が来る場合があるかも」と不安になり、
余計な計算(×6通りから一部を引く)をしてしまう。
問題を最初にしっかり読んで「1〜9のカード」という条件を確認していないことが原因。
問題を読む際に「使える数字の範囲」を最初に確認する習慣が必要。
別解
百の位に使う数字を1〜9で固定し、残り2枚の選び方と並べ方を数える方法です。
ただし「和が12」の条件から「残り2枚の和 = 12 − 百の位の数」という条件で絞ります。
| 百の位 | 残り2枚の和 | 残り2枚の選び方(百の位と異なる1〜9の数から) | 整数の数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 11 | (2,9)(3,8)(4,7)(5,6) → 4組 | 4×2=8個 |
| 2 | 10 | (1,9)(3,7)(4,6) → 3組 | 3×2=6個 |
| 3 | 9 | (1,8)(2,7)(4,5) → 3組 | 3×2=6個 |
| 4 | 8 | (1,7)(2,6)(3,5) → 3組 | 3×2=6個 |
| 5 | 7 | (1,6)(2,5)→5は百の位で使用でNG→(1,6)(2,4+3=7なし、3,4) → (1,6)(3,4) → 2組 | 2×2=4個 |
| 6 | 6 | (1,5)(2,4)→6と足す必要はないが「和が6」の2枚選び:(1,5)(2,4) → 2組 | 2×2=4個 |
| 7 | 5 | (1,4)(2,3) → 2組 | 2×2=4個 |
| 8 | 4 | (1,3) → 1組 | 1×2=2個 |
| 9 | 3 | (1,2) → 1組 | 1×2=2個 |
※ 残り2枚が決まった場合、十の位と一の位の並べ方は2通り(AB または BA)。
この方法でも42個が確認できます。ただし百の位ごとに細かく書き出す必要があり、合計が合うかの確認が必要。
本番では「組み合わせ先行」の方がシンプルでミスが少ないので、通常解説の方針を推奨します。
百の位の数字が「a」のとき、十の位と一の位に入る2枚の和は「12 − a」です。
aが小さいほど残り2枚の和は大きく、選択肢も多い。
a が1と9、2と8、3と7、4と6… のとき「残りの和」が対称的になることに気づくと、表を半分で確認できます。
ただしこれは「感覚的な確認」であり、本番では通常の書き出しが確実です。
通常解説の方法です。
① 和が12になる3枚の組み合わせを書き出す:7組
② 各組みで作れる整数の数:3×2×1 = 6通り
③ 7 × 6 = 42個
✅ 最も整理されていてミスが少ない。書き出し(7組)が小規模なので確実。本番ではこれ一択。
開成で差がつくポイント
「選ぶ」と「並べる」を分けて考える2段階思考。
条件をどちらの段階に結びつけるかを見極め、適切な順番で処理できるかが評価される。
組み合わせの書き出しがもれなく、重複なくできるか。
「最小の数を固定して順に探す」というルールを使えるかどうかで、正確さと速さが大きく変わる。
「1〜9のカード → 0がない → 百の位の制約なし」という読み取りの精度。
問題文に書いてある当たり前のことを確実に使えるかどうか。
「計算で求める」より「書き出して確認する」を選べる判断力。
7組は書き出せる量。「書き出した方が速くて確実」と判断できる受験生が強い。
問題を読んで即「2段階問題」と判断。
0がないことを確認して×6が確定。
最小固定で7組を2〜3分で書き出し。
7×6=42と答える。
百の位から順に整数を書こうとして混乱。
または組み合わせの書き出しでもれが出る。
「同じ数字は使えない」を途中で忘れる。
最終的に計算が合わず時間オーバー。
この問題から学ぶべきこと
この問題の本質は「選ぶこと」と「並べること」を分離する力です。
「整数を作る」という表現は「選ぶ+並べる」の2つの操作を含んでいます。
「条件(和が12)はどちらの操作に関係するか?」を見極めて、正しい順番で処理する。
開成が見ているのは「操作を分けて整理する思考力」です。
① 「選ぶ」と「並べる」を分けるという考え方は、あらゆる整数問題・カード問題に使える。
② 「最小の数を固定して書き出す」という手法は、「3つの数の条件」「4つの数の条件」があるすべての問題に応用できる。
③ 「0があるかどうかで整数の作り方が変わる」ことを意識する習慣は、整数問題全般で必要なスキル。
(0〜9のカードで3けた整数を作る問題では「百の位に0は使えない」という処理が必要になる)
整数問題を見たら必ず次の3つを確認する習慣をつける:
チェック①:0はあるか?(百の位の制約の有無)
チェック②:条件は「選ぶ段階」か「並べる段階」か?
チェック③:書き出せる量か?(20組以下なら書き出し推奨)
この3つの確認が1〜2秒でできるようになれば、整数問題の初手を誤ることはなくなります。
🏅 整数問題の黄金ルール
1️⃣ まず「0があるか」を確認する
2️⃣ 条件は「選ぶ段階」で処理する(整数を作る前に組み合わせを絞る)
3️⃣ 最小の数から固定して書き出す(もれ・重複なし)
4️⃣ 書き出した組み合わせ数 × 並べ方(3枚なら×6)で答えを出す
─── 後編(なぜその方針か・典型ミス・別解・差がつくポイント・まとめ)終わり ───
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