開成対策講座 第4講 問題4

対策講座:正方形を並べたときの周の長さ
開成・灘・筑駒レベル 算数対策講座

正方形を規則的に並べたときの
周りの長さを求める問題

📋 問題

問題4

正方形を次の規則で並べます。

1段目:1個 2段目:3個 3段目:5個 4段目:7個 ……

このように奇数個ずつ横に並べていきます。

できた図形の周りの長さを、20段目まで作ったときについて求めなさい。

ただし、正方形1個の1辺は1cmです。

📖 通常解説

まず図形の形を頭に描こう

1段目に1個、2段目に3個、3段目に5個……と積み上げると、どんな形になるでしょうか? 真ん中が一番高く、左右対称の「階段ピラミッド(山型)」になります。

【図をここに挿入】
20段の階段ピラミッド(正面図)
1段目(頂上)が一番狭く、20段目(底)が一番広い山型の図形

各段の正方形の個数と横幅を整理する

n段目の正方形の個数は「2n − 1 個」です。

段(上から) 個数 横幅(cm)
1段目1個1 cm
2段目3個3 cm
3段目5個5 cm
20段目39個39 cm

1段ずつ下がるたびに、左右それぞれ1cmずつ広がります。 つまり、1段下がると横幅が2cm増えます。


周りの長さを「上・左・下・右」の4つに分けて考える

周りの長さは、「外側の線の合計」です。内側の線はカウントしません。 図形の輪郭を上・左側面・下・右側面の4つに分けて考えると整理しやすいです。

【図をここに挿入】
周りの線を色分けした図
上辺(赤)・左の段差(青)・下辺(赤)・右の段差(青)
  • 上辺(頂上の辺)

    一番上の段(1段目)には正方形が1個あります。その上の辺は 1 cm です。

  • 下辺(底辺)

    一番下の段(20段目)には正方形が39個あります。その下の辺は 39 cm です。

  • 左側の線

    左の側面を上から見ると、「縦に下がる線」と「横に飛び出す線」が交互に並んでいます。
    ・縦の線:1段ぶん下がるたびに1cmずつ。20段あるので 20 cm
    ・横の線:段が下がるたびに左へ1cmずつ飛び出します。1段目→2段目、2段目→3段目…で19か所 → 19 cm
    左側合計:20 + 19 = 39 cm

  • 右側の線

    右側も左側と全く同じ形です(左右対称)。
    右側合計:20 + 19 = 39 cm

合計する

周りの長さ = 上辺 + 左側 + 下辺 + 右側 = 1 + 39 + 39 + 39 = 118 cm
答え:118 cm

🧠 初見での考え方(思考実況)

開成受験生が本番でこの問題を見たとき、頭の中でどう考えるかを実況形式で説明します。

  • 1
    「奇数個ずつ横に並べる」→ 図形の形を即座にイメージする

    1, 3, 5, 7…と並ぶ奇数は、「2n−1」という式になります。 この形は左右対称の山型(階段ピラミッド)です。 まずこの形を頭に描く。描けない人は小さい段数(3〜4段)で実際に描いてみる。

  • 2
    「周りの長さ」→ 外周の線を数える問題だと認識する

    面積ではなく「周り」を聞いています。内側の線は一切関係ない。 外側の輪郭だけを追えばいいと切り替える。

  • 3
    「縦の線」と「横の線」を分けて数える方針を立てる

    周りの線は全部「縦か横か」のどちらかです。 複雑に見えても、縦の合計・横の合計をそれぞれ出して足すだけ。 「左右対称」に注目して、左側だけ計算して2倍にすると楽です。

  • 4
    小さい場合(3〜4段)で確認してから20段に適用する

    3段で計算:上辺1 + 左(3+2) + 下辺5 + 右(3+2) = 1 + 5 + 5 + 5 = 16cm。 自分で図を描いて数えて一致するかチェック。合っていれば20段に適用する。

💡 なぜその方針を選ぶのか

「縦と横に分けて数える」のはなぜか?

この図形の輪郭は、全部「縦の線(上下方向)」か「横の線(左右方向)」かのどちらかです。 斜め線は一本もありません。
だから縦の合計と横の合計を別々に求めて足すだけで答えが出ます。 これは「長方形や階段形の周の長さ」でよく使う整理の仕方です。

「左右対称」を使うのはなぜか?

この図形は完全に左右対称です。左側の線と右側の線は全く同じ長さになります。 だから、片側だけ計算して2倍にすれば計算がシンプルになります。 計算ミスも減ります。

「横に飛び出す線の数」はなぜ19か所か?

段と段の「継ぎ目」の数は、(段の数 − 1)か所です。 20段あるなら、継ぎ目は 20 − 1 = 19か所。 その一か所一か所で左に1cm、右に1cm飛び出すので、 左19cm・右19cmの横線が生まれます。

「計算で数式を出す」より「図形を分割して数える」方が有効なのはなぜか?

この問題で複雑な数式(等差数列の和など)を使おうとすると、 どこからどこまでの線を数えているのかが分からなくなってミスします。 図形を「上・左・下・右」の4パーツに分割してパーツごとに根拠を持って数える方が、 ミスがなく、見直しもしやすいです。

⚠️ 典型ミス

❌ ミス① 内側の線も数えてしまう

正方形同士が接している辺(内側の境界線)まで周りの長さに含めてしまう。

「正方形が n 個あるから辺は n×4 本」という発想で全部の辺を数えてしまう。外側の輪郭だけを数えるという意識が薄い。
❌ ミス② 段差の横線を数え忘れる

縦の線(20cm + 20cm)と上下の辺(1cm + 39cm)だけ足して、段と段の間の「飛び出し横線」を忘れる。

図形を描かずに考えると、段差のジグザグ部分が頭から抜け落ちやすい。「縦の線と横の線」を意識できていないため。
❌ ミス③ 段差の横線の数を20か所と数える

19か所のはずが、20か所として計算してしまう(20cm と答えてしまう)。

段の数と「段と段の間の継ぎ目の数」が1ずれることに気づかない。「20段あれば継ぎ目は19か所」というのを実際に小さな場合で確認していないため。
❌ ミス④ 20段目の横幅を40cmと間違える

20段目の個数を「2×20 = 40個」と計算してしまう。

「n段目 = 2n−1個」の「−1」を忘れる。1段目が1個(2×1−1=1)であることを確認してから使えばミスを防げる。
❌ ミス⑤ 図を描かずに計算だけで進める

問題文の説明だけ読んで図を描かず、イメージが曖昧なまま計算に入ってしまう。

「どんな形なのか」が分からないまま進むため、どの辺を数えているのか自分でも把握できなくなる。3〜4段の簡単な図を描くだけで問題の構造が一気に見える。

🔄 別解

別解:「縦の合計」と「横の合計」に完全分割して解く

【別解の考え方】縦と横を完全に分けて合計する

外周の全ての線は「縦か横」のどちらかです。

縦の線の合計:

外周の縦の線は、左側面と右側面だけです。 どちらも20段分の高さなので、縦の線の合計 = 20 + 20 = 40 cm

横の線の合計:

外周の横の線は、上辺・下辺・段差の飛び出し部分の合計です。 実はこの「横の線の合計」が面白い考え方で求められます。

図形を真上から見たとき、全ての横線を「上」か「下」かに分類します。

・「上向きの横線の合計」 = 底辺の長さ = 39 cm

・「下向きの横線の合計」 = 底辺の長さ = 39 cm

なぜ?……上から下まで何段下がっても、最終的に横線の「右に伸びた分の合計」と「左に縮んだ分の合計」は同じになるからです。

横の合計 = 39 × 2 = 78 cm
周り = 縦合計 + 横合計 = 40 + 78 = 118 cm

【スピード解法】長方形に置き換えて考える

この図形を「ぴったり包む長方形」を考えます。 横幅:39 cm、縦の高さ:20 cm の長方形です。

凸凹した階段の周りの長さ = 包む長方形の周りの長さ+上辺と底辺の調整

実は、階段型の周りの長さ = 包む長方形の周りになります!

その理由:段差によって「飛び出す横線」と「引っ込む横線」は必ず同じ長さになるので、 最終的に長方形の辺と同じ長さになります。

長方形の周り = (39 + 20)× 2 = 59 × 2 = 118 cm

本番おすすめ この「包む長方形」の発想は、他の問題でも使える強力な考え方です。 ただし、図形の左右対称・上下の形をきちんと確認してから使うこと。

まとめ:各解法の特徴

通常解法(4つに分割):根拠が明確でミスに気づきやすい。確実に得点したいなら最初の選択肢。
縦横分割解法:整理が好きな子向け。計算がシンプルになる。
長方形置き換え:速いが、理由を理解していないと使えない。理解した上で使えば最速。

🏆 開成で差がつくポイント

この問題で本当に見られている力

「図形の形をすぐにイメージできるか」「複雑な見た目を整理して単純化できるか」という力が試されています。計算そのものは難しくありません。方針を立てる速さと正確さが勝負を分けます。

合格者がやること

① まず3〜4段の簡単な図を描いて形を確認する。② 「縦と横に分ける」または「長方形に置き換える」方針を30秒以内に決める。③ 計算は最後まで根拠を確認しながら進める。

不合格者が止まるポイント

「20段すべての辺を一つずつ数えようとする」「どこからどこまでが外周か分からなくなる」「段差の横線を計算に入れ忘れる」——これらは全て図を描かないこと・整理せずに計算に入ることが原因です。

開成特有の思考ポイント

長方形に置き換えられる」という発想は、開成がよく問う「見た目の複雑さを崩して本質を見る力」そのものです。この問題では凸凹した輪郭が、実は長方形の周りと同じ長さになるという「美しい気づき」があります。この気づきを自分でできた子が、開成の本番で圧倒的に速く解けます。

📚 この問題から学ぶべきこと

この問題の本質
  • 「複雑な凸凹図形の周りの長さ」は、縦と横に分けると必ずシンプルになるという法則があります。
  • 「包む長方形と同じ周り」という考え方は、今後もあらゆる問題で使える強力な武器です。
  • 「n段目 = 2n−1個」という奇数の式も、今後の数列問題に直結します。
他の問題への応用
  • 同じ発想が使える問題:L字型・コの字型・凸凹した図形の周の長さ。いずれも「縦横分割」か「包む長方形」で解ける。
  • 規則性・数列との組み合わせ:「n段目のときの周りの長さを式で表せ」という発展問題にもそのまま対応できます(4n + 2 という式になります)。
  • 面積問題との違いを意識する:周の長さと面積は全く別物。問題文をしっかり読んで「周り」か「面積」かを確認する習慣をつけましょう。
今後どう活かすか
  • 凸凹した図形を見たらすぐ「縦と横に分けよう」「長方形で包もう」と考える習慣をつける。
  • 周りの長さの問題では、必ず小さい段数で図を描いて確認してから一般の段数に拡張する。
  • 「なぜそうなるのか」まで説明できるようにしておくと、応用問題でも崩れない。
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