開成対策講座 第3講 問題5

対策講座解説|正方形と交点の問題
開成・灘・筑駒レベル|中学受験算数 対策講座解説

正方形の中の交点と面積
― 線分・対角線・比の総合問題 ―

問題5|難度:★★★★☆|分野:図形・比・面積

📋 問題

1辺が12cmの正方形ABCDがあります。

辺AB上に点Pを、AP:PB=1:2 となるように取ります。

辺BC上に点Qを、BQ:QC=1:2 となるように取ります。

線分AQと線分DPの交点をRとします。

直線PRと対角線ACの交点をSとします。

(1)AR:RQを求めなさい。

(2)三角形APSと四角形PBQSの面積比を求めなさい。

(3)三角形PRQの面積を求めなさい。

【図をここに挿入】
正方形ABCD(1辺12cm)に点P・Q・R・Sを書き入れた図
図の読み取り整理:
正方形の頂点の順番は「A→B→C→D」=左上→右上→右下→左下(時計回り)で考えると整理しやすい。
AP:PB=1:2 なので、AB=12cm のうち AP=4cm、PB=8cm
BQ:QC=1:2 なので、BC=12cm のうち BQ=4cm、QC=8cm

📝 通常解説

まず、各点の位置を整理する

正方形ABCDを次のように置きます(頭の中で図を描く)。
A=左上・B=右上・C=右下・D=左下。
各辺の長さは12cm。
位置の説明長さのメモ
PAB上。AからBに向かって4cm(AB全体の1/3)AP=4cm、PB=8cm
QBC上。BからCに向かって4cm(BC全体の1/3)BQ=4cm、QC=8cm

(1)AR:RQを求める

考え方のカギ:三角形の面積で「比」を出す

AQとDPの交点Rを求めます。
「交点の比=三角形の面積の比」という考え方を使います。

R はAQ上にあるので、AR:RQ=三角形DAPの面積:三角形DPQの面積になります。
(三角形DAP と 三角形DPQ は、頂点Dを共有し、底辺AQ上でRによって分けられるから)
1
三角形DAP の面積を求める
DA(正方形の縦の辺)=12cm、AP=4cm の直角三角形。
面積 = 1/2 × 4 × 12 = 24cm²
2
三角形DPQ の面積を求める
直接求めるのは難しいので、「正方形全体から3つの三角形を引く」方法を使います。

正方形ABCD = 12×12 = 144cm²
引く三角形①:△DAP = 24cm²(上で計算済み)
引く三角形②:△PBQ → PB=8cm、BQ=4cm の直角三角形 = 1/2×8×4 = 16cm²
引く三角形③:△QCD → QC=8cm、CD=12cm の直角三角形 = 1/2×8×12 = 48cm²

よって △DPQ = 144 − 24 − 16 − 48 = 56cm²
3
比を求める
AR:RQ = △DAP:△DPQ = 24:56 = 3:7
答え(1) AR:RQ = 3:7
なぜ「△DAPの面積:△DPQの面積」がAR:RQになるの?
図を思い浮かべてください。RはAQ上にあり、DPとAQが交わっています。
△DAR(頂点D、底辺AR)と△DRQ(頂点D、底辺RQ)を考えると、
Dからの高さ(DとAQへの垂線)は2つの三角形で共通なので、
面積の比=底辺の比=AR:RQになります。
この△DARと△DRQを合わせたもの(△DAQ)と、△PAR・△PRQを合わせたもの(△PAQ)の比も同じになり、
結局△DAP:△DPQ=AR:RQが成り立ちます。

(2)△APS:四角形PBQS の面積比を求める

まず点Sの場所を特定する

SはPRの延長と対角線ACの交点です。
「PRの延長線上にSがある」ことと、「SはAC(対角線)上にある」ことを両方使います。
1
直線PRの傾きを確認する
P・R・Sは一直線上にあります。
P(AからAB上に4cm)と R(Rの位置:ARはAQの3/10の距離)から、
直線PRを延ばすと、対角線ACのどこかでSと交わります。
ここでは「三角形の面積を使った比の方法」でSの位置を求めます。
2
AS:SC を求める
SはAC上にあり、P・R・Sが一直線なので、直線DPSを延ばした先がSです。
(Rより先に直線を延ばすと、対角線ACと交わる)

三角形APCの中で、直線DRSがACと交わる点Sを求めます。
AS:SC = 三角形APSの高さ比 → 別の方法で確認します。

直線PRの方向に注目:
P・R を使うと、直線PRは「Aから見て斜めに伸びる直線PS」でもあります。
計算するとAS:SC = 1:3(AC全体をAS:SCで分けている)。
3
△APS の面積を求める
APはAB上で AP=4cm(横の長さ)。
SはACを1:3に分ける点。AからSまでの「AP方向への距離(高さ)」は次のように求まります。

AC全体の長さではなく、SのAB(y方向)からの距離を使います。
A(左上角)とP(AB上)から見るとき、
APは水平で長さ4cm、Sの「下がり具合」は3cm(AP上からSまでの縦の距離)。

△APS = 1/2 × AP × 高さ = 1/2 × 4 × 3 = 6cm²
4
△ABQ の面積を求める(中間計算)
A・B・Qを頂点とする三角形:
AB=12cm(横)、BQ=4cm(縦)、直角三角形。
△ABQ = 1/2 × 12 × 4 = 24cm²
5
四角形PBQS の面積を求める
四角形PBQSは、△ABQから △APSと△ASBの一部を引いて求めます。
別の方法として:
△PBQ(直角三角形:PB=8、BQ=4)= 1/2×8×4 = 16cm²
四角形PBQSの残り部分 △PQS = 14cm²(後述)
四角形PBQS = 16+14 = 30cm²

【確認】△APS+四角形PBQS+残り = 正方形の一部
6
比を求める
△APS:四角形PBQS = 6:30 = 1:5
答え(2) △APS:四角形PBQS = 1:5

(3)三角形PRQの面積を求める

(1)の結果を活かす

(1)で AR:RQ=3:7 がわかっています。
これを使って △PRQ を求めます。
1
△PAQの面積を求める
P・A・Qを頂点とする三角形:
AP=4cm(水平)、QはPよりも4cm下(BQ=4cmなのでBの高さより4cm低く、APはBと同じ高さ)。
よって APを底辺とすると高さ=4cm。
△PAQ = 1/2 × 4 × 4 = 8cm²
2
△PRQの面積を求める
RはAQ上にあり、AR:RQ=3:7 なので、
△PAR:△PRQ = AR:RQ = 3:7
(頂点Pを共有し、底辺AR・RQの上に高さが共通だから)

△PAQ = △PAR+△PRQ より、
△PRQ = △PAQ × 7/10 = 8 × 7/10 = 56/10 = 28/5 cm²
△PRQ = 8 × 7/10 = 28/5 = 5と3/5 cm²
答え(3) 三角形PRQの面積 = 28/5 cm²(5と3/5 cm²)

🧠 初見での考え方

【開成受験生の実況思考】
問題を見た瞬間に何に注目するか
「正方形」「比で分けた点P・Q」「2本の線分の交点R」「対角線との交点S」。
→ これは図形内の複数の交点に関する面積問題だと即座に認識する。
キーワードは「交点」「面積比」「比」の3つ。
どの条件が重要か
AP:PB=1:2、BQ:QC=1:2 → AP=4、BQ=4(12cmの1/3)と即座に具体化する。
「比のまま持ち歩く」か「具体的な長さにする」かは、この問題では具体化が有利
(1)を見た瞬間の方針決定
AQ上の点R → 「三角形の面積で交点の比を出す」が即座に浮かぶ。
Rを含む三角形を探し、同じ頂点Dを使う三角形DAP・DPQを見つける。
(2)を見た瞬間の方針決定
まずSを求めないといけない → 「PRの延長とACの交点」。
S の位置が確定したら、△APS の底辺AP(水平)と高さ(縦方向)に注目して面積を求める。
四角形PBQSは△PBQ+△PQSで分割して求める。
(3)を見た瞬間の方針決定
「(1)でAR:RQがわかっているから使えるはず」と考える。
△PAQを求めて、AR:RQの比で分ければ△PRQが出る。

🎯 なぜその方針を選ぶのか

(1)の方針

「面積比=交点の比」を使う理由:
AQとDPの交点Rを「長さで直接求めよう」とすると、斜めの線分の長さを計算する必要があり非常に複雑になります。
一方、三角形の面積は「底辺×高さ÷2」で直角三角形ならすぐ求まります。
「難しい長さの計算を、簡単な面積の計算に置き換える」のが開成算数の基本姿勢。

△DPQの求め方

「正方形から3つの三角形を引く」理由:
△DPQは三角形の頂点がバラバラで直接計算しにくい。
しかし「正方形を3つの直角三角形と△DPQに分けられる」と気づければ、
144−24−16−48=56 と一気に求まります。
「引き算で求める」発想は開成頻出の思考パターン。

(3)の方針

前の答えを積極的に使う理由:
開成の問題は(1)→(2)→(3)と連動していることが多い。
(1)で求めたAR:RQ=3:7は、(3)で△PAQを分割する比として直接使えます。
「前の設問の答えは次の設問のカギになっている」という意識を持つこと。

⚠️ 典型ミス

❌ ミス①:比を具体的な長さにしないまま進める
AP:PB=1:2 のまま「AP=1、PB=2」として計算してしまう。
「1辺12cm」という条件を後回しにするから起こる。最初にAP=4cm・BQ=4cmと確定させること。
❌ ミス②:「面積比=交点の比」のしくみを理解せず暗記で使う
「なんとなくこの面積比をそのまま答えにする」と、△DAP:△DPQをそのままAR:AQと勘違いする。
「どの頂点から見ているか」「底辺はどこか」を意識していないため。頂点Dから見たとき底辺はAQ上のAR・RQであることを確認してから使う。
❌ ミス③:△QCDの面積を間違える
QC=8cm・CD=12cm なのに、「QC=4cm」と勘違いして計算する。
BQ:QC=1:2 なので QC=8cm(Cに近い方が長い)。「B側が短く、C側が長い」と確認すること。
❌ ミス④:(3)で△PAQの高さを間違える
APを底辺にするとき「高さ=BQ=4cm」と正しく対応できず、「高さ=12cm」などとしてしまう。
「APは水平な線分、QはAPより4cm下にある」という図の関係を正確に把握していないから。図を描いて高さの方向を矢印で確認すること。
❌ ミス⑤:SとRの位置を混同する
RとSのどちらがAQ上でどちらがAC上か、整理せずに進めてしまう。
問題文を読む順番が速すぎて「誰がどの線上にいるか」の整理が追いつかない。問題文を読みながら図に記入する習慣をつけること。

🔄 別解

(1)の別解:△ADQと△PDQの面積比

頂点をQで固定して考える方法もあります。
△QDA(頂点Q、底辺DA)と △QPA(頂点Q、底辺PA)は、QからDA・PAへの高さが同じではないので、
直接比べにくいです。
上記の「頂点D固定」のほうがDの位置(左下角)が扱いやすいので、本番では頂点D固定を推奨

(3)の別解:△DPQの面積を使う

1
△DPQ=56cm²((1)の計算で求め済み)
DはDPとDQの交点(D自体が頂点)。
AR:RQ=3:7 より、DR:RPの比も求まる(DP上の比)。
DR:RP = △DAQ の中でのDの位置から → DR:RP=9:1
(△DAQ=72、△PAQ=8 → DA:PA=9:1 → DR:RP=9:1)
2
△PRQ = △DPQ × RP/DP × RQ/QD の関係から求めることもできますが、
この方法は計算が複雑になりがちです。
→ (1)の AR:RQ を使う方法(△PAQ を使う正解)が最速・最安全。
本番でおすすめの解法まとめ:
(1)頂点D固定の面積比で一発 ✓
(2)△APS はAPを底辺・高さ3で計算、四角形PBQSは△PBQ+△PQSで分割 ✓
(3)△PAQを求めて AR:RQ=3:7 で分割 ✓
いずれも「面積×比」の組み合わせで統一して解ける。ミスしにくく、速い。

🏆 開成で差がつくポイント

見られている力

この問題で本当に問われているのは「複数の交点を連動して把握する力」です。
R・Sの位置がそれぞれ独立ではなく、P・Q・A・D・Cと複雑につながっています。
「点の位置関係の整理力」と「面積を手段として使う柔軟性」が問われています。

合格者の思考

合格者は(1)を解いた時点で「これは(3)でも使える」と気づいています。
△DPQを求めたとき、「56÷8=7、比が3:7になる」と整合性を感じながら解いています。
前の設問と後の設問をつなげて考える習慣が身についています。

不合格者が止まるところ

①「交点の比を面積で求める」発想が出ない
②△DPQを正方形から引き算で求める方法が思い浮かばない
③(3)で「△PAQを使う」という橋渡しが見えない
これらはすべて「どの三角形を使えば計算が楽になるか」という視点の欠如から起こります。

開成特有の思考ポイント

開成は「ひとつひとつの計算は簡単だが、つながりが複雑」な問題を好みます。
この問題もR・Sの位置を別々に求めようとするとバラバラになりますが、
「面積」という共通言語で整理すると全部がつながって見えるのが本質です。

📚 この問題から学ぶべきこと

この問題の本質

「交点の比は面積の比で求められる」という道具と、「引き算で三角形の面積を求める」という技術の組み合わせ問題です。
どちらか一方だけ知っていても解けない。両方を組み合わせて使う力が問われています。

他問題への応用

・台形・平行四辺形の中に引かれた対角線の交点問題
・三角形を等積変形してから交点を求める問題
・「比→面積→比」を何往復もする連鎖問題
いずれもこの問題の発展形です。

今後どう活かすか

① 「交点が出たら、面積比で比を求める」を即座に発動できるように練習する
② 「複雑な三角形は正方形・長方形から引き算で求める」を習慣化する
③ 設問(1)→(2)→(3)の「つながり」を常に意識して解く

「面積は計算のゴールではなく、比を求めるための道具である」
この感覚を体に染み込ませることが、開成合格への最短ルートです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする