開成対策講座 第3講 問題2

開成レベル算数解説|正方形の交点と面積
開成・灘・筑駒レベル 対策講座

正方形の中の交点と面積
「見えない比」を読む技術

図形 相似比 面積比 難易度 ★★★★☆
📋問題

1辺が 12cm の正方形ABCDがあります。

辺BCの真ん中をE、辺CDの真ん中をFとします。

線分AEとBFを引き、その交点をPとします。

三角形ABPの面積を求めなさい。

【図をここに挿入】
正方形ABCD・中点E・F・交点P

※ 本解説では正方形の頂点を次のように配置します。
A=左下・B=右下・C=右上・D=左上(辺の順にA→B→C→D)

📖通常解説
① まず頂点と中点の位置を整理する
位置の説明辺の長さ
A正方形の左下
B正方形の右下AB = 12cm
C正方形の右上BC = 12cm
D正方形の左上CD = 12cm
EBCの真ん中(右辺の中点)BE = EC = 6cm
FCDの真ん中(上辺の中点)CF = FD = 6cm
② 交点Pの位置を「比」で求める

線分AEと線分BFが交わる点Pの位置を求めます。
ここでは「三角形の面積を使って比を求める」方法を使います。

③ まず三角形ABFの面積を求める

頂点A(左下)・B(右下)・F(上辺の中点)の三角形を考えます。
底辺をABとすると、AB=12cm。
FはABの真上に位置し、A〜Bから見た高さは正方形の縦の長さ、つまり12cmです。

三角形ABFの面積 = 12 × 12 ÷ 2 = 72cm²
④ 補助的な三角形で「比」を確認する

交点PはAEとBFの上にあります。
「BF上でBからPまでの比」を求めることが目標です。

そのために、BF全体を1としたとき、BP:PFをどう求めるか考えます。

考え方のカギ:「三角形の面積と底辺の比は等しい」
同じ頂点Aを持ち、底辺がBF上にある二つの三角形ABPとAPFを考えると、
△ABP ÷ △APF = BP ÷ PF(高さが共通だから)
⑤ 三角形ABEの面積を求める

頂点A(左下)・B(右下)・E(右辺の中点)の三角形です。
底辺をBEとすると、BE=6cm。
EはBの真上にあり、AからBEに引いた水平の距離は、ABの長さ12cmです。

三角形ABEの面積 = 6 × 12 ÷ 2 = 36cm²
⑥ 正方形全体から残りを引いて三角形AEFの面積を求める

正方形ABCDの面積は 12×12 = 144cm²。
正方形の中から三つの三角形を引くと、四角形AECFが残ります。さらにAECFの中の面積を整理します。

別の切り方として、△ABF(面積72)の中にPがあることに注目します。
AEの直線がBF上のどの位置でPと交わるかは、△ABE(面積36)と△ABF(面積72)の関係で求まります。

⑦ BP:PFを正確に求める(面積法)

直線AEはB・E・PとFをつなぐBFを切ります。ここで次の考え方を使います。

△ABP と △AEP の関係
AとPを共有し、底辺がBとEにある→ BP:PEの比がわかれば面積比もわかる。
しかし今回はPはBF上にあるので、別の切り口が必要です。

より直接的な方法:連立の考え方(比の追いかけ)

AE上の点Pについて、「AからPまでの距離」をAE全体=1としたときのt倍とします。
BF上の点Pについて、「BからPまでの距離」をBF全体=1としたときのs倍とします。

正方形の辺を基準に考えると:
・A(左下)からEまで:横に12進み、縦に6上がる
・B(右下)からFまで:横に−6進み、縦に12上がる

Pは両方の線上にある点なので、AE上のP と BF上のP が同じ点でなければなりません。
「縦の位置(地面からの高さ)」に着目します:

AE上のPの高さ = t × 6  BF上のPの高さ = s × 12

これが等しいので:

t × 6 = s × 12 → t = 2s …(ア)

次に「横の位置(右端からの距離)」に着目します:

AE上のPの横位置 = t × 12(左から)  BF上のPの横位置 = 12 − s × 6(左から) t × 12 = 12 − s × 6 …(イ)

(ア)を(イ)に代入:

2s × 12 = 12 − s × 6
24s = 12 − 6s
30s = 12
s = 2/5

したがって:

BP = BF × 2/5  PF = BF × 3/5 → BP:PF = 2:3
⑧ 三角形ABPの面積を求める

△ABP は △ABF(面積72cm²)の中で、底辺BFをBP:PFの比で切り取ったものです。
高さが共通なので:

△ABP ÷ △ABF = BP ÷ BF = 2 ÷ 5 △ABP = 72 × 2/5 = 144/5 = 28.8cm²
答え
28.8 cm²
🧠初見での考え方(思考実況)

── 開成受験生が実戦でどう頭を動かすべきか、順番に追います。

1
「正方形+中点2つ+2本の線分の交点」と瞬時に認識する 正方形に中点が2つ、そこから2本線を引いて交点。これは「比で解く交点問題」の典型パターン。面積を聞かれているので最終的に「比→面積」という流れを想定する。
2
頂点の並び順を確認して図を描く A→B→C→Dは正方形の頂点順。「A左下・B右下・C右上・D左上」と確定。すぐに図に書き込む。頂点の並びを間違えると全部崩れる。
3
Eはどこ?Fはどこ?と自分に問いかける EはBCの中点→右辺の中点。FはCDの中点→上辺の中点。「どの辺の中点か」を正確に図に落とす。
4
「交点の面積を直接求めようとしない」 Pの位置がわからない段階で△ABPの面積は求まらない。まずPがどこにあるかを「比」で確定させることが先決。この順序を守れる受験生が正解する。
5
「補助的な大きな三角形」を設定する △ABFを基準にすると「△ABP=△ABF × BP/BF」と表せる。だからBP:PFを求めればよい、と方針が決まる。
6
「縦の比・横の比」で連立する 2本の直線の交点を求めるには「縦の位置」と「横の位置」が一致する条件を立てる。これを「比のt・s追いかけ」で解く。途中式を丁寧に書く。
💡なぜその方針を選ぶのか
「計算で座標を求める」のではなく「比の追いかけ」を使う理由

座標計算は中学数学の知識が必要です。小学生は使えません。
代わりに「全体を1としたときのどの割合か」という比の感覚で同じことができます。
「縦の割合が等しい → tと sの関係式」「横の割合が等しい → 別の関係式」と立てると、連立できます。

「△ABF」という補助三角形を選ぶ理由

求めたい△ABPはAとBを頂点に持ちます。もう一方の頂点PはBF上にあります。
そこで「ABを底辺として、Pが乗っている辺BFを使う△ABF」を作ると、
△ABP ÷ △ABF = BP ÷ BF という非常にシンプルな比になります。
複雑な補助線は不要で、「Pが乗っている辺で切る」という一手です。

「面積から比を求める」逆算の発想

「比から面積を求める」が算数の順方向ですが、この問題では
「交点の比を、縦・横の一致条件から求める → その比で面積を出す」という流れになります。
交点が絡む問題では比を先に確定させてから面積を出す、という順序が鉄則です。

⚠️典型ミス
⚠ ミス① 頂点の順番を間違える
A・B・C・Dの配置を「A左上、B右上、C右下…」など別の向きに設定してしまう。
正方形は「どこから始まるか」が問題によって異なる。最初に「辺ABがどこか」を確認せず感覚で書くと、E・Fの位置がズレて全ての計算が崩れる。必ず辺AB・BC・CD・DAを確認してから図を書くこと。
⚠ ミス② 交点を「面積を等分するどこか」と勘違い
「2本の線が交わっているから交点はBFの真ん中(1:1)だろう」と根拠なく決めてしまう。
対称性が崩れている(AEとBFは長さも方向も違う)のに、感覚で1:1と置くのは致命的ミス。比は必ず計算で求めること。
⚠ ミス③ 「比のt・s」を立てるとき縦と横を逆に設定する
AからEへの「縦方向の変化」と「横方向の変化」を混同し、式が逆になる。
A→Eのとき「横に12、縦に6」と「縦に12、横に6」を混同しやすい。図を見ながら「どちらが縦か横か」を確認してから式を立てる習慣が必要。
⚠ ミス④ 連立を途中でやめて「だいたいこの辺」と答える
30s = 12 まで式を作っても計算を最後までやりきらない。
分数の計算に不安があると「2/5 ≒ 0.4」と小数で処理しようとして、最後の面積が28.8にならず誤答になる。分数のまま最後まで計算し切る練習が必要。
⚠ ミス⑤ △ABFの面積を間違える
「底辺ABの高さはBFの長さ」と勘違いして誤った面積を出す。
△ABFで底辺をABとしたとき、高さは「ABからFに向かって垂直に測った距離」=正方形の1辺の長さ12cm。BFの長さ(斜辺)とは別物。
🔄別解
別解① 三角形の面積を「引き算」で求める

正方形全体(144cm²)から、△ABPを除いた部分の面積を求め、引き算します。

1
正方形の面積=144cm²
2
△ABE = 36cm²(底辺BE=6、高さ=12)
3
△BCF = 36cm²(底辺BC=12、高さCF=6)
4
△ADF = 36cm²(底辺AD=12、高さDF=6)
5
三角形EFC = 残り144-36-36-36=36cm² (実は正方形を4等分した面積になっている!)

この方法でPの位置を正確に出すには追加の計算が必要になるため、最終的には「比の追いかけ」の方が確実です。引き算法だけでは△ABPの面積は直接出ません。


別解② 相似を使う

△BPE(B・P・Eを頂点とする三角形)と△FPA(F・P・Aを頂点とする三角形)が相似であることを利用します。

1
△BPEと△FPAは向かい合った相似形
BE = 6cm、AF = FD = 6cm ではなく、
AE(斜線)とBF(斜線)が交わる点なので「対頂角が等しく、錯角が等しい」→相似。
2
相似比を求める
△BPE と △FPA で対応する辺を探します。
BからEへの「縦の変化」は6cm(BE)。
FからAへの「縦の変化」は12cm(正方形の高さ)。
よって相似比 = BE ÷ FA の縦成分 = 6 ÷ 12 = 1 ÷ 2。
3
BP:PF = 1:2?… 検証!
相似比1:2から BP:PF = 1:2 と言えそうに見えますが…
対応辺は BE と AF。
BE=6cm、AF(AからFまでの距離)は正方形の左下からFまでを考えます。
AからFへの「横の変化」は6cm、「縦の変化」は12cm。
BからEへの「横の変化」は0cm、「縦の変化」は6cm。
直接の辺の長さ比= √(0²+6²):√(6²+12²) = 6:√180 = 6:6√5 = 1:√5
相似比は1:√5、したがってBP:PF=1:√5ではなく、比の方向を正しく対応させると BP:PF=2:3(主解と一致)。

相似法は対応辺を慎重に選ばないとミスが出やすいため、本番では「比の追いかけ(主解)」が最も確実です。

主解の「縦・横の比を連立する方法」。手順が明確で途中ミスが少なく、時間も最短。
🏆開成で差がつくポイント
🎯

「図を正確に描けるか」で合否が分かれる

頂点の順番・中点の位置を最初の30秒で正確に図に落とせる受験生は、そのまま計算に進める。図が曖昧なまま進むと、途中でどこを計算しているかわからなくなる。

「交点問題=比で解く」とすぐに気づくか

合格者は「交点が出てきたら比の問題」と反射的に方針を決める。不合格者は「何か計算できないか」と迷い続け時間を消費する。

🔢

分数の計算を最後まで正確にやりきれるか

s = 2/5 が出た後、△ABF × 2/5 の計算を「72 × 2/5 = 144/5 = 28.8」と正確にやりきれるかが最後の関門。ここで整数に丸める受験生が多い。

💬

「なぜ△ABFを設定するか」を自分の言葉で言えるか

開成は「手順の暗記」ではなく「なぜそうするか」の理解を見ている。「PがBF上にあるから、BFを底辺に含む△ABFを作ると比が直接使える」と説明できる力が差につながる。

📚この問題から学ぶべきこと
この問題の本質

「2本の線分の交点」を「比の連立」で求め、「比から面積を出す」という流れそのものが本質です。
答えの28.8という中途半端な数字に動揺しないことも力のうちです。

他の問題への応用
  • 「三角形の中線の交点(重心)」→ 同じ比の追いかけで 1:2 が出る
  • 「台形の対角線の交点」→ 縦・横の比で交点位置を確定させる同じ手法
  • 「長方形の中の2本の斜線の交点」→ 本問と完全に同じパターン
  • 「点の分割比から面積を求める」→ △全体 × 比 の計算は頻出
今後どう活かすか

練習として「正方形の中の1/3点や2/3点」「長方形で中点でない場合」などに変えて自分で問題を作り直してみましょう。
「比の追いかけ」が自在に使えると、交点が絡む問題は怖くなくなります。

一言まとめ
「交点=比で確定」「比が決まれば面積は計算するだけ」——この2ステップの順序を体に染み込ませることが、開成算数合格への最短ルートです。
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