開成対策講座 第2講 問題2

速さ・時間・道のりの比|開成レベル算数解説
開成・灘・筑駒レベル|中学受験算数 完全解説

速さ×時間=道のり を「比のかけ算」で処理する
──比を揃えてかけるだけ、の思考訓練

速さ・時間・道のり 比の複合計算 比の統一 開成頻出
📋問題

AさんとBさんが同じ道を歩きます。

Aさんが家から駅まで行く時間と、Bさんが駅から家まで行く時間の比は 3:4 です。

また、Aさんの速さとBさんの速さの比は 4:3 です。

  • 条件① : A の時間:B の時間 = 3:4
  • 条件② : A の速さ:B の速さ = 4:3
  • 求めるもの : A の道のり:B の道のり
📘通常解説

【前提】速さ・時間・道のりの関係をおさえる

道のり = 速さ × 時間

この公式を「比のかけ算」にそのまま使うのが本問の核心です
比でもこの公式は成り立つ 速さが「4の割合」、時間が「3の割合」であれば、道のりは「4×3=12の割合」になります。
実際の数値がわからなくても、比どうしをかけ算すれば道のりの比が求まるのが本問の急所です。
ただし「かけ算する前に比の基準を揃える必要がある」というのが唯一の落とし穴です。

【STEP1】与えられた比を整理する

Aさん Bさん
速さの比(条件②) 4 3
時間の比(条件①) 3 4
道のりの比(求めるもの)

【STEP2】道のりの比を「速さ × 時間」で求める

1
Aさんの道のりを比で表す

A の速さの比:4 、 A の時間の比:3

A の道のり(比)= 4 × 3 = 12
2
Bさんの道のりを比で表す

B の速さの比:3 、 B の時間の比:4

B の道のり(比)= 3 × 4 = 12
3
A と B の道のりの比をまとめる
A の道のり:B の道のり = 12:12 = 1:1
この結果の意味を言語で確認する AとBは「同じ道」を歩いています。「同じ道」であれば家から駅までの距離は一定のはず。
答えが 1:1 =「同じ距離」になったのは、問題設定として当然の結果とも言えます。
「答えが出た後に問題文に照らして確かめる」習慣が、開成では特に重要です。
AさんBさん
速さの比 4 3
時間の比 3 4
道のりの比(速さ×時間) 12 12
答え
A の道のり:B の道のり = 1:1
速さと時間の比がちょうど逆になっているため等しくなる
🎯初見での考え方(実況形式)
🔍 問題を見た瞬間の反応

「速さの比」と「時間の比」が与えられ、「道のりの比」を求める。
これを見た瞬間に 「道のり = 速さ × 時間」を比のまま適用する 問題だと気づく。
計算する前に「何の比が与えられ、何の比を求めるか」を整理することが第一手。

📌 どの条件が重要か?読み取りの注意点

「同じ道を歩く」 → AとBの道のりは本来同じはず。答えのチェックに使える重要な一文。
時間の比 3:4 → 誰の時間が長いか(B が長い)を確認。
速さの比 4:3 → 誰が速いか(A が速い)を確認。
比の順序(誰が先か)を取り違えると答えが完全に変わるため、「A:B」の順を徹底管理する。

🗂 整理の方法:表を作る

速さ・時間・道のりの3行、A・Bの2列の表を即座に書く。
与えられた比を埋め、空欄(道のり)をかけ算で求める。
表の作成が思考の整理そのものになっているのが速さ問題の特徴。

⚡ 比をそのままかけてよい理由

「速さの比が 4:3、時間の比が 3:4」は、両方とも A:B の順で統一されている
基準が同じなので、そのままかけ算して道のりの比を出せる。
もし「速さは A:B で、時間は B:A の順」で書かれていたら、順序を揃えてからかける必要がある。
この確認を怠るのが最大のミスポイント。

🏷 どの単元として見るか

「速さの比の複合計算」 として認識する。
比の単元+速さの単元が融合した問題で、どちらも単独では解けない。
「道のり=速さ×時間」を比に適用する、という思考の橋渡しができるかどうかを問う問題。

🧭なぜその方針を選ぶのか
方針評価コメント
比をそのままかける(採用) ◎最適 2つの比をかけ算するだけ。計算量ゼロで答えが出る。
具体的な数値を仮定して計算 △可 できるが、仮の数値設定に迷うと時間をロスする。別解で後述。
公式に数を代入して計算 実際の速さも時間も与えられていないため、そもそも数値がない。
なぜ「計算ではなく比で見る」のか この問題は実際の速さも時間も与えられていません。与えられているのは「割合の関係」だけです。
「道のり=速さ×時間」という公式は、比でも成立するという性質があります。
そのため、比どうしをかければ道のりの比が直接出ます。
「実数化しないと計算できない」という思い込みを捨てることが、この問題の方針決定の核心です。
なぜ表を書くのか 「速さの比」「時間の比」「道のりの比」という3つの量の関係を頭の中だけで管理すると、
どの比が誰のものかを取り違えるリスクが高まります。
表に書くことで「行(量の種類)× 列(人物)」の二次元管理ができ、ミスが激減します。
速さ問題で表を即座に書く習慣は、開成・筑駒レベルの必須スキルです。
⚠️典型ミス
⚠️ ミス① 比の順序(誰が先か)を取り違える
「時間の比は B:A = 3:4 で書いてあった」と勘違いし、
A の時間を 4、B の時間を 3 として計算してしまう。
→ A の道のり:B の道のり = 4×4:3×3 = 16:9 という誤答が出る。
比は「誰:誰の順で書くか」で全く意味が変わる。問題文を読んだ直後に「A:B の順で統一して書き直す」作業を必ずやる。表の見出しに「A」「B」と明記する習慣が防止策。
⚠️ ミス② 比をそのままかけずに足してしまう
道のりの比を「速さの比+時間の比」と考え、
A:B = (4+3):(3+4) = 7:7 = 1:1 と出す。
偶然答えは合うが、根拠が完全に間違っている。
「道のり=速さ×時間」はかけ算であって足し算ではない。偶然合うケースもあるため気づきにくい典型的な危険ミス。「なぜ1:1なのか」を必ず説明できるようにしておくこと。
⚠️ ミス③ 「同じ道」という条件を無視して答えを疑わない
1:1 という答えが出たとき、「AとBで道のりが同じなのは変では?」と不安になり、計算し直してしまう。
「同じ道を歩く」という問題文の一文が、まさに「AとBの道のりは同じ」ことを示している。問題文の確認を答案後に行う習慣があれば、むしろ1:1 は「正しい」と確信できる。
⚠️ ミス④ 比をかける前に「基準が揃っているか」を確認しない
今回は偶然 A:B の順で両方揃っていたが、問題によっては「速さは A:B、時間は B:A」という形で与えられる。そのまま計算すると誤答になる。
「比のかけ算」は基準(誰:誰の順)が揃っていることが大前提。問題を読んだ直後に「比はすべて A:B の順か?」を確認する習慣を今から徹底する。
🔄別解
🔷 別解:具体的な数値を仮定して計算する方法

仮定:A の速さを毎分 4 m、B の速さを毎分 3 m とおく(速さの比 4:3 に合わせる)

A の時間を求める
時間の比が A:B = 3:4 なので、A の時間を 3、B の時間を 4 と仮定する。

道のりを計算
A の道のり = 4(速さ)× 3(時間)= 12
B の道のり = 3(速さ)× 4(時間)= 12

道のりの比
A:B = 12:12 = 1:1

🔷 別解②:「逆比」の観点から直感的に解く(上級者向け)

速さの比が 4:3 のとき、同じ道のりを進むなら時間の比は逆比の 3:4 になります。
本問では時間の比がまさに 3:4 = 速さの逆比になっています。
これは「AとBが同じ距離を進んだ」ことを直接示しています。
→ 道のりの比は 1:1

※「速さと時間は逆比になる(道のりが等しい場合)」という命題を理解していれば、
計算なしで瞬時に答えを出せます。

🏆 本番でおすすめの解法・ミスしにくい解法

速い解法・本番おすすめ:別解②(逆比の観点)
「速さの比が4:3、時間の比が3:4 → 逆比になっている → 道のりは等しい → 1:1」
を瞬時に判断できれば最速。ただし根拠を説明できなければ部分点も危うい。

ミスしにくい解法:メイン解法(表を作ってかけ算)
表に書いて速さ×時間を各人で計算する手順は確実。検算も容易。
「なぜ1:1か」を答案に一言添えると完璧です。

🏅開成で差がつくポイント
🎓 この問題で本当に見られている力

「道のり=速さ×時間」という公式を比の世界で使いこなす力が問われています。公式を「数値の計算道具」としか見ていない受験生と、「比でも適用できる普遍的な関係式」として理解している受験生の差が直接出る問題です。

📊 どこで差がつくか

最大の差は2点。①比の順序管理(A:Bで揃っているか確認するか)、②答えの妥当性検証(「同じ道」という条件から1:1が正しいと確信できるか)。どちらも「丁寧さ」ではなく「思考の習慣」の問題です。

✅ 合格者はどう整理するか

合格者は問題文を読んだ直後に表を描き、A:Bの順で比を並べ、かけ算の列を空欄にして埋めるという処理を自動的に行います。「逆比になっている」ことにも気づき、答えを瞬時に予測してから計算で確認します。

❌ 不合格者はどこで止まるか

多くは「実際の速さや時間がわからないから計算できない」と思考が止まるパターン、または比の順序を取り違えて 16:9 などの誤答を出すパターンです。「比のまま計算できる」という発想の転換ができないことが根本原因です。

🔑 開成特有の思考ポイント

開成はしばしば「答えが意外にシンプル(1:1)」な問題を出します。これは受験生が「答えが綺麗すぎる、ミスかも」と疑って計算し直す時間のロスを誘う罠でもあります。問題文の「同じ道を歩く」から1:1が必然だと論理的に確信できる力、これが開成が求める思考力です。

💡この問題から学ぶべきこと

【本質】 この問題の本質は「公式は比でも成り立つ」という認識の転換です。 「道のり=速さ×時間」は実数でも比でも成り立ちます。この普遍性を理解すれば、 実際の数値がなくても答えを出せます。さらに「速さと時間の比が逆比 → 道のり一定」という 逆比の応用まで見えると、一問を多角的に捉える力が育ちます。

【他問題への応用】 ・「仕事量=作業速度×時間」でも同じ構造の問題が出る(仕事算)
・「食塩の量=濃度×食塩水の量」でも同様に比で処理できる(食塩水)
・「面積=底辺×高さ」の比版も同じ(面積比問題)
すべて「かけ算の公式は比でも成り立つ」という一つの原理から派生します。

【今後どう活かすか】 速さ・仕事算・食塩水など、「かけ算の公式」が絡む問題を見たら、まず「比のまま計算できないか?」と問いかける習慣をつけましょう。 実数化しようとして迷子になるより、比のまま処理できれば計算量が大幅に減ります。 また、比を扱うときは必ず「A:Bの順で揃っているか」を確認する癖を今すぐつけること。これだけで本番のミスが激減します。

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