【2026年度】桜蔭中学校 算数 入試問題 過去問解説|全問完全解説・独立検算つき
2026年度(令和8年度)桜蔭中学校の算数入試問題を、大問Ⅰ〜Ⅳすべて、小問1つひとつまで完全解説します。すべての解説は、既存の解答や外部資料に頼らず、問題文と公式解答だけから独立に解き直し、Pythonによる数値検算とあわせて二重に確認したうえで作成しています。計算問題から、整数の性質、立体図形、場合の数、複雑な回転体の体積まで、桜蔭算数の出題傾向と対策のヒントもあわせてご紹介します。
桜蔭中学校対策、独学で伸び悩んでいませんか?
理数館では、桜蔭をはじめとする難関中学の算数指導に特化した個別指導を行っています。まずは無料体験授業で、お子さまに合った学習法を見つけませんか。
試験全体の見方・大問ごとの難易度
2026年度の桜蔭中学校算数は、例年どおり大問4題構成で、計算・数の性質(大問Ⅰ)、立体図形と場合の数(大問Ⅱ)、規則性・数の性質(大問Ⅲ)、回転体の体積(大問Ⅳ)という組み合わせでした。桜蔭算数に共通する特徴として、「答えを直接求める」のではなく「まず規則や関係性を見つけ、それを使って効率よく計算する」という思考のステップが一貫して要求されています。単純な計算力だけでなく、問題文の条件を正確に数式へ翻訳する読解力、調べる範囲を絞り込む工夫、複雑な図形を正確に読み取る観察力まで、総合的な算数力が試される構成です。
| 大問 | テーマ | 小問数 | 難易度の目安 | 差がつくポイント |
|---|---|---|---|---|
| Ⅰ | 計算・数の性質 | 6(ア〜カ) | 基礎〜やや難 | (1)は正確な処理速度、(2)(3)は規則性の発見と場合分け |
| Ⅱ | 立体図形・場合の数 | 7([A]3問+[B]2問+テープ箇所数など) | やや難〜難 | [A]は関係性の発見と応用、[B](2)は直感に反する気づきが必要 |
| Ⅲ | IC運賃・切符運賃の規則性 | 2(複数の答えを含む) | 難 | 複雑な計算ルールの正確な読み取りと、損失ゼロという視点への転換 |
| Ⅳ | 回転体の体積 | 5(ア〜オ) | 最難関 | 複雑な図形の構造把握、軸による半径の違い、円すい台の処理 |
時間配分の面では、大問Ⅰで着実に得点し、大問Ⅱ[A]のように「規則を見つければ後の小問に応用できる」構成の問題で時間を稼ぎ、大問Ⅲ・大問Ⅳの難問にどれだけ時間を残せるかが合否の分かれ目になったと考えられます。特に大問Ⅳは、桜蔭算数の中でも屈指の難問で、図形の構造を正確に読み取れないと(1)のア・イ(比較的解きやすい部分)にも影響が及ぶため、慎重な図の読み取りが求められます。
大問Ⅰ 計算・数の性質
大問I(1) 計算問題
8.75-{437×2.2-(8.2-314)}÷8821 = ア
方針:帯分数はすぐに仮分数へ、小数はすぐに分数へ直し、内側の( )・{ }から順番に1つずつ処理して、最後まで分数のまま計算を通す。
桜蔭中学校の計算問題は、小数と分数(それも帯分数)が同じ式の中に混ざって出てくるのが特徴です。ここで「小数のまま計算しよう」「分数のまま計算しよう」と場当たり的に進めると、途中で桁がずれたり約分を見落としたりしやすくなります。今回は、登場した瞬間に帯分数→仮分数、小数→分数と統一してから計算を進めます。
| 手順 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| ①( )の中 | 8.2-314 = 8.2-3.25 | 9920(=4.95) |
| ②掛け算 | 437×2.2 = 317×115 | 34135 |
| ③{ }の中 | 34135-9920(分母140で通分) | 671140 |
| ④割り算 | 671140÷17621 = 671140×21176 | 183320 |
| ⑤最後の引き算 | 8.75-183320 = 2800320-183320 | 2617320 = 857320 |
④の約分について:671=11×61、176=16×11、140=20×7、21=3×7 とすべて素因数に分けると、11と7が上下で1つずつ約分でき、671140×21176 は 61×320×16 = 183320 まで簡単になります。大きな数のまま約分先を探すより、素因数分解してから共通因数を消す方が確実です。
答え:ア=857320
- 検算:概算(小数)で答えの見当をつけておくと、桁のミスにすぐ気づけます。437≈4.43、8821≈8.38として概算すると、8.75-{4.43×2.2-4.95}÷8.38 ≈ 8.75-0.572 ≈ 8.178。実際の答え857320=8.178125と一致し、計算に大きな誤りがないことを確認できます。
- 学習ポイント①:帯分数はその場で仮分数に直す。「437」のまま掛け算・割り算をしようとすると計算が複雑になり、ミスの元になります。
- 学習ポイント②:小数と分数が混ざったら、早い段階でどちらかに統一する。この問題ではすべて分数にそろえるのが計算しやすい方針でした。
- 学習ポイント③:約分は素因数分解してから行うと確実。671や176のような大きい数の約分は、目分量で探すより11×61、16×11のように分解してから共通因数を消すほうがミスが少ない。
大問I(2)① 3人席と2人席の列数の差
図1のように3人席と2人席がたくさん並んでいます。3人席には必ず3人座り,2人席には必ず2人座ります。例えば3人席を2列,2人席を1列使用すると8人が座れます。47人が座るとき,使用する3人席の列数と2人席の列数の差が1番小さくなるのは,3人席を イ 列,2人席を ウ 列使用するときです。
方針:3人席の列数をa列、2人席の列数をb列とおき、3×a+2×b=47を満たす整数の組をすべて書き出す。そのうえで、aとbがどう連動して変化するかの規則を見つけると、差が最小になる組を確実に見つけられる。
3人席a列、2人席b列とすると、座る人数の式は 3×a+2×b=47 です。47は奇数で、2×bはいつも偶数なので、3×aは奇数でなければなりません。3×aが奇数になるのはaが奇数のときだけなので、aは1, 3, 5, 7, …と奇数の値だけを考えればよいとわかります。
そこで、aを1から順に奇数で当てはめて、そのつどbを求めます。
| 3人席 a列 | 2人席 b列(=(47-3a)÷2) | 合計人数 | 差 |a-b| |
|---|---|---|---|
| 1 | 22 | 47 | 21 |
| 3 | 19 | 47 | 16 |
| 5 | 16 | 47 | 11 |
| 7 | 13 | 47 | 6 |
| 9 | 10 | 47 | 1 |
| 11 | 7 | 47 | 4 |
| 13 | 4 | 47 | 9 |
| 15 | 1 | 47 | 14 |
この表を見ると、aが2増えるたびにbはちょうど3減っています。これは、3人席を2列増やすと6人分(3人×2列)増えるので、その6人分を2人席3列(2人×3列=6人)分減らせば、合計人数47人がぴったり保たれるからです。
aが2増え、bが3減るということは、「a-b」の値はそのたびに 2-(-3)=5 だけ増えることになります。表のa-bの値を順に見ると、-21→-16→-11→-6→-1→4→9→14 のように、たしかに5ずつ規則正しく増えています。この並びの中で0に一番近いのは-1(a=9, b=10のとき)で、次は4(a=11, b=7のとき)です。-1と4を比べると、絶対値が小さい(0に近い)のは-1のほうなので、差が最小になるのはa=9列, b=10列のときだとわかります。
答え:イ=9(3人席9列)、ウ=10(2人席10列)
- 検算①:3×9+2×10=27+20=47人で、たしかに47人ちょうどになる。差は10-9=1で、確認できる組の中で最小。
- 検算②:差がちょうど0になる可能性がないかも確認しておくと安心です。もしa=bなら、3a+2a=5a=47となりますが、47÷5=9.4は整数にならないため、差が0になる組み合わせは存在しません。したがって、差1が実現できる中での最小値だと自信を持って言えます。
- 学習ポイント①:合計人数の式(3a+2b=47)を作ったら、まず「奇数・偶数」に注目してaの取りうる値を絞り込むと、書き出す個数を減らせて計算ミスも防げます。
- 学習ポイント②:一つの文字(ここではa)を2ずつ増やしたとき、もう一つの文字(b)がどう変化するかという「連動のルール」を見つけると、全部を書き出さなくても規則から答えの見当をつけられるようになります。
- 学習ポイント③:「差が最小」を聞かれたときは、差が0になれる可能性がないかを先に確認する習慣をつけると、書き出した候補の中の最小値が本当の最小値かどうかを自信を持って判断できます。
大問I(2)② どんな人数でも3人席・7人席だけで座れる最小の人数
図2のように3人席と7人席がたくさん並んでいます。a人,(a+1)人,(a+2)人,(a+3)人,(a+4)人,……が座るときは常に,3人席には必ず3人,7人席には必ず7人座るようにできます。aにあてはまる最も小さい数は エ です。ただし エ は14以上の数とし,エ 人のうちの13人はすでに,3人席を2列,7人席を1列使用して座っています。
方針:まず、問題文がヒントとして示す「13人(=3人席2列+7人席1列)」を固定の土台と考える。人数がa人,a+1人,…と1人ずつ増えていくとき、その増えた分(人数-13)を3人席・7人席の”追加の列”だけで過不足なく座らせられるかどうかを、1から順に整理する。
まず、3人席と7人席の追加の列だけで作れる人数(3×○+7×△の形で表せる人数)を、0人から順に調べます。3人席を使わない・7人席を使わない場合も含めて考えます。
| 追加人数 | 3人席○列+7人席△列で作れるか | 作り方の例 |
|---|---|---|
| 1人 | 作れない | ― |
| 2人 | 作れない | ― |
| 3人 | 作れる | 3人席1列 |
| 4人 | 作れない | ― |
| 5人 | 作れない | ― |
| 6人 | 作れる | 3人席2列 |
| 7人 | 作れる | 7人席1列 |
| 8人 | 作れない | ― |
| 9人 | 作れる | 3人席3列 |
| 10人 | 作れる | 3人席1列+7人席1列 |
| 11人 | 作れない | ― |
| 12人 | 作れる | 3人席4列 |
| 13人 | 作れる | 3人席2列+7人席1列 |
| 14人 | 作れる | 7人席2列 |
この表からわかる大事なポイントは2つあります。1つ目は、11人までの間で「作れない人数」が1, 2, 4, 5, 8, 11の6通りあり、11人が、これより後は絶対に出てこない最後の「作れない人数」だということです。2つ目は、12人・13人・14人という3つ連続した人数がすべて作れるということです。3つ連続で作れれば、そこから先は3人席を1列ずつ増やす(3人ずつ増やす)だけで、15人(=12+3)、16人(=13+3)、17人(=14+3)、18人(=15+3)……と、12人以降のすべての人数を必ず作れます。つまり、追加人数が12人以上であれば、どんな人数であっても3人席・7人席の追加の列だけで必ず座れることが保証されます。
ここで、全体の人数をnとすると、追加人数は「n-13」です。上の議論から、n-13が12以上のとき、つまりn が25以上のとき、nは必ず3人席・7人席(+固定の13人)で座れます。一方、n-13=11のとき(n=24のとき)は、11人が「作れない人数」なので座れません。
問題は「a人,a+1人,a+2人,……が座るときは常に」座れる、という条件なので、aから先はずっと途切れずに座れる必要があります。n=24(追加人数11人)はどうしても座れないので、aを24以下にすることはできません。n=25(追加人数12人)からは、25人,26人,27人,……とずっと途切れずに座れます。したがって、条件を満たす最も小さいaは25です。
答え:エ=25
- 検算①:n=24のとき、24-13=11人を3人席・7人席の列だけで作れるか総当たりで確認すると、3×0+7×0=0~3×8+7×0=24の範囲で7の倍数を引いた余りが3の倍数になる組が存在せず、たしかに作れない。よってエ=24は不適で、エ=25が最小という結論と矛盾しない。
- 検算②:n=25以降の追加人数(12, 13, 14, 15, …)がすべて3×○+7×△で作れることを、Pythonで全列挙して確認済み(12=3×4、13=3×2+7、14=7×2、15=3×5、…と、以降すべて作れる)。
- 学習ポイント①:「3人席と7人席のように2種類の数の組み合わせで作れない一番大きい数」は、2つの数(ここでは3と7)が1以外に共通の約数を持たない(互いに素である)とき、必ずある一定の人数より先はすべて作れるようになる、という性質を利用しています。今回は11人が最後の「作れない人数」でした。
- 学習ポイント②:「3つ連続する人数がすべて作れたら、そこから3ずつ足していけば、その先はすべて作れる」という考え方を使うと、無限に続く人数すべてを1つずつ確かめなくても、有限個(12人・13人・14人の3つ)を確かめるだけで先の見通しが立てられます。
- 学習ポイント③:問題文中の「13人はすでに3人席2列、7人席1列を使用」というヒントは、固定の土台部分(13人)と、増減する追加部分(n-13人)を分けて考えるための重要な手がかりです。ヒントの数値をそのまま使うのではなく、それが何を意味しているのかを読み取ることが大切です。
大問I(3)① AとBが等しくなる日付け
①日付けを8桁の数で表し,それの左から奇数番目の数の和をA,偶数番目の数の和をBとします。例えば2026年2月1日は20260201と表され,A=2+2+0+0=4,B=0+6+2+1=9です。2026年の日付けのうち,AとBが等しくなる日付けをすべて書き並べると オ となります。
方針:8桁のうち「2026」の4桁は1年を通して変わらないので、まずその部分だけでAとBにどれだけ足されるかを計算する。残りは月(2桁)と日(2桁)だけなので、月・日それぞれの十の位・一の位の差に置きかえて、条件を簡単な式にしてから調べる。
8桁の数「2026MMDD」(MM=月の2桁、DD=日の2桁)について、左から1,3,5,7番目(奇数番目)が「2」「2」「Mの十の位」「Dの十の位」、左から2,4,6,8番目(偶数番目)が「0」「6」「Mの一の位」「Dの一の位」になります。
| 桁の位置 | 1(奇) | 2(偶) | 3(奇) | 4(偶) | 5(奇) | 6(偶) | 7(奇) | 8(偶) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 数字 | 2 | 0 | 2 | 6 | Mの十の位 | Mの一の位 | Dの十の位 | Dの一の位 |
したがって、A=2+2+(Mの十の位)+(Dの十の位)=4+(Mの十の位)+(Dの十の位)、B=0+6+(Mの一の位)+(Dの一の位)=6+(Mの一の位)+(Dの一の位)です。A=Bとなる条件は、
(Mの十の位-Mの一の位)+(Dの十の位-Dの一の位)=2
という、月と日それぞれの「十の位-一の位」の和が2になる、というシンプルな式に整理できます。ここで、日にちは1日〜31日なので、Dの十の位は0〜3、Dの一の位は0〜9の範囲しかとらず、(Dの十の位-Dの一の位)は最大でも3-0=3までしかなりません。この上限を頭に入れておくと、後の絞り込みが速くなります。
まず月ごとに(Mの十の位-Mの一の位)を計算し、必要な(Dの十の位-Dの一の位)の値を求めます。
| 月 | Mの十の位-一の位 | 必要なDの十の位-一の位 | あてはまる日 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 0-1=-1 | 3 | 30日 |
| 2月 | 0-2=-2 | 4 | なし(上限3を超える) |
| 3月 | 0-3=-3 | 5 | なし |
| 4月 | 0-4=-4 | 6 | なし |
| 5月 | 0-5=-5 | 7 | なし |
| 6月 | 0-6=-6 | 8 | なし |
| 7月 | 0-7=-7 | 9 | なし |
| 8月 | 0-8=-8 | 10 | なし |
| 9月 | 0-9=-9 | 11 | なし |
| 10月 | 1-0=1 | 1 | 10日,21日 |
| 11月 | 1-1=0 | 2 | 20日 |
| 12月 | 1-2=-1 | 3 | 30日 |
2月〜9月は、必要な(Dの十の位-Dの一の位)が4以上になってしまい、日にちの上限3を超えるので、どんな日でも条件を満たせません。ここで一気に8か月分を除外できるのがこの解き方の強みです。残った1月・10月・11月・12月について、実際に日を絞り込みます。
例えば10月は、必要な差が1なので、Dの十の位-Dの一の位=1となる日を探します。十の位0〜3のそれぞれについて一の位を求めると、十の位1→一の位0(10日)、十の位2→一の位1(21日)が10月31日以内におさまり、十の位3→一の位2(32日)は10月に存在しないので除外します。同じように1月・11月・12月も、十の位の範囲とその月の最大日数の両方を確認しながら日を決めます。
答え:オ=1月30日,10月10日,10月21日,11月20日,12月30日
- 検算①:5つの日付けすべてを実際に8桁表示に直し、奇数番目・偶数番目の桁を1つずつ書き出してA・Bを計算し直した。1月30日=20260130(奇数番目2,2,0,3→A=7/偶数番目0,6,1,0→B=7)、10月10日=20261010(奇数番目2,2,1,1→A=6/偶数番目0,6,0,0→B=6)、10月21日=20261021(奇数番目2,2,1,2→A=7/偶数番目0,6,0,1→B=7)、11月20日=20261120(奇数番目2,2,1,2→A=7/偶数番目0,6,1,0→B=7)、12月30日=20261230(奇数番目2,2,1,3→A=8/偶数番目0,6,2,0→B=8)と、5つとも実際にA=Bが成立することを確認した。
- 検算②:Pythonで2026年1月1日から12月31日までの365日すべてを8桁表示にし、奇数番目・偶数番目の和を1日ずつ計算して照合したところ、A=Bとなる日はちょうど5つで、手計算で求めた5つの日付け(1月30日,10月10日,10月21日,11月20日,12月30日)と完全に一致した。
- 学習ポイント①:「2026」のように変化しない部分は先にまとめて計算し、変化する部分(月・日)だけの式に整理すると、調べる範囲がぐっと小さくなります。
- 学習ポイント②:十の位・一の位に分けて考えると、日にちの範囲(1〜31)から「十の位-一の位の最大値は3」という上限が見えてきます。この上限を先に押さえておくと、明らかに条件を満たせない月をまとめて除外でき、書き出す手間を大幅に減らせます。
- 学習ポイント③:全部の月を同じやり方(表にする)で機械的に調べることで、見落としや数え間違いを防げます。1つずつ場当たり的に計算するより、表にして規則的に処理するほうがミスが少なくなります。
大問I(3)② CとDが等しくなる日付けの個数
②日付けを年と月日に分け、それぞれ4桁の数で表します。ただし千の位が0になるときは3桁の数と考えます。この2つの数の和は4桁の数で表され,それの左から奇数番目の数の和をC,偶数番目の数の和をDとします。例えば2026年2月1日は2026+201=2227なので C=2+2=4,D=2+7=9です。2026年の日付けのうち,CとDが等しくなる日付けは全部で カ 個あります。
方針:和=2026+(月×100+日)の下2桁は、必ず「26+日」になり、日は31以下なので繰り上がりが千・百の位まで届かないことに気づく。すると千の位・百の位は月ごとに固定され、十の位・一の位だけが日によって変わることになるので、調べる範囲を大きく減らせる。
和=2026+100×月+日 を考えます。2026の下2桁は「26」、100×月は下2桁に影響しないので、和の下2桁は必ず「26+日」の下2桁と同じになります。日は最大でも31なので、26+日は最大でも57にしかならず、100を超えることはありません。つまり、和の千の位・百の位は、日によって変わらず、月だけで決まるということです。
そこで、まず月ごとに千の位・百の位を求め、C=(千の位)+(十の位)、D=(百の位)+(一の位)の関係から、「C=Dになるために、一の位-十の位がいくつであればよいか」という目標の値(これをTとします)を計算します。
| 月 | 2026+100×月 | 千の位 | 百の位 | 目標T=千の位-百の位 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 2126 | 2 | 1 | 1 |
| 2月 | 2226 | 2 | 2 | 0 |
| 3月 | 2326 | 2 | 3 | -1 |
| 4月 | 2426 | 2 | 4 | -2 |
| 5月 | 2526 | 2 | 5 | -3 |
| 6月 | 2626 | 2 | 6 | -4 |
| 7月 | 2726 | 2 | 7 | -5 |
| 8月 | 2826 | 2 | 8 | -6 |
| 9月 | 2926 | 2 | 9 | -7 |
| 10月 | 3026 | 3 | 0 | 3 |
| 11月 | 3126 | 3 | 1 | 2 |
| 12月 | 3226 | 3 | 2 | 1 |
次に、「26+日」の一の位-十の位がいくつになるかを、日が1〜31のときについて1つの表にまとめます(この表はどの月でも共通に使えます)。
| 26+日 | 十の位 | 一の位 | 一の位-十の位 |
|---|---|---|---|
| 27〜29 (日1〜3) | 2 | 7〜9 | 5, 6, 7 |
| 30〜39 (日4〜13) | 3 | 0〜9 | -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6 |
| 40〜49 (日14〜23) | 4 | 0〜9 | -4, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, 4, 5 |
| 50〜57 (日24〜31) | 5 | 0〜7 | -5, -4, -3, -2, -1, 0, 1, 2 |
この共通表を使い、各月の目標Tにあてはまる日を、その月の日数の範囲内で数えます。
| 月 | 目標T | あてはまる日 | 個数 |
|---|---|---|---|
| 1月(31日まで) | 1 | 8日, 19日, 30日 | 3 |
| 2月(28日まで) | 0 | 7日, 18日 | 2 |
| 3月(31日まで) | -1 | 6日, 17日, 28日 | 3 |
| 4月(30日まで) | -2 | 5日, 16日, 27日 | 3 |
| 5月(31日まで) | -3 | 4日, 15日, 26日 | 3 |
| 6月(30日まで) | -4 | 14日, 25日 | 2 |
| 7月(31日まで) | -5 | 24日 | 1 |
| 8月(31日まで) | -6 | なし(表に-6は出てこない) | 0 |
| 9月(30日まで) | -7 | なし(表に-7は出てこない) | 0 |
| 10月(31日まで) | 3 | 10日, 21日 | 2 |
| 11月(30日まで) | 2 | 9日, 20日 | 2 |
| 12月(31日まで) | 1 | 8日, 19日, 30日 | 3 |
共通表を見ると、一の位-十の位の値は最小でも-5までしか出てきません(50〜57の範囲で最小-5)。そのため、目標Tが-6や-7になる8月・9月には、あてはまる日が1つも存在しないとすぐに判断できます。
最後に、各月の個数をすべて足すと、3+2+3+3+3+2+1+0+0+2+2+3=24個です。
答え:カ=24個
- 検算①:問題文の例(2026年2月1日)で確認すると、2026+201=2227、C=2+2=4、D=2+7=9で、C≠Dなので2月1日はカに含まれない。実際、上の表でも2月1日(日1)はTの対象になっていないことと一致する。
- 検算②:Pythonで2026年1月1日から12月31日までの365日すべてについて、2026+(月×100+日)を計算し、C・Dを求めて一致する日を数えたところ、ちょうど24件となり、手計算による月ごとの積み上げ(3+2+3+3+3+2+1+0+0+2+2+3=24)と完全に一致した。
- 学習ポイント①:足し算の繰り上がりが特定の桁より先に及ばないことに気づけると(今回は千・百の位に繰り上がりが届かない)、変化する部分だけに注目して計算量を大きく減らせます。
- 学習ポイント②:「一の位-十の位」のような共通の対応表を1つ作っておけば、月ごとに同じ表を使い回せるので、12か月分をゼロから計算し直す必要がなくなります。
- 学習ポイント③:答えが出ない月(8月・9月)を「全部の日を試して見つからなかった」のではなく、「目標の値が表の範囲外だから存在しない」と説明できると、答えの個数に自信を持てます。
理数館コメント:大問I全体をふりかえって
大問Iは、(1)の計算問題から(2)(3)の整数・数の性質の問題まで、性格の異なる6つの空欄(ア〜カ)で構成されていました。難易度には差があり、(1)は「小数と分数が混ざった複雑な四則計算を、ミスなく最後まで処理しきる力」を、(2)(3)は「条件を数式に置きかえ、規則性を見つけて効率よく調べる力」を試す問題でした。桜蔭中学校らしく、単純な計算力だけでなく、問題文の条件を正確に数式へ翻訳する読解力と、調べる範囲をいかに絞り込むかという工夫の両方が求められる大問だったといえます。
(1)は帯分数と小数が混在する計算で、桁数も大きく、素直に計算するだけでも時間がかかります。ここで差がつくのは、帯分数をすぐ仮分数に、小数をすぐ分数に統一するという「最初の一手」を素早く選べるかどうかです。焦って場当たり的に計算を進めると、想像以上に時間を失ってしまいます。
(2)①②は、一見素朴な「席の数」の問題ですが、①は不定方程式(3a+2b=47)の整数解を規則的に絞り込む力、②はさらに難しく「どんな人数でも常に座れる最小の人数」というフロベニウス数(互いに素な2つの数で作れない最大の数)の考え方が背景にある発展的な問題でした。特に②は、「13人はすでに座っている」というヒントの意味を正しく読み取れるかどうかが最初の関門であり、桜蔭らしい高い読解力を要求する良問です。
(3)①②は日付けの数字を使った規則性の問題で、8桁・4桁それぞれの表し方の違いに注意しながら、変化しない部分(年の「2026」)とその年による繰り上がりの有無を見抜くことが鍵でした。特に②は、和の下2桁だけが日によって変化し、千・百の位は繰り上がらないという性質に気づけるかどうかで、解答時間が大きく変わります。
大問I全体の学習ポイント:
- 複雑な計算は、いきなり計算を始めず「どの形(分数か小数か)に統一するか」を先に決めてから着手すると、ミスも時間も減らせます。
- 「差が最小」「常に成り立つ」のような条件が出てきたら、まず具体的な例をいくつか書き出し、そこから規則(変化のしかた)を見つける、という手順を習慣化しましょう。
- 桁数の大きい数の計算では、「どの桁までが変化し、どの桁が変化しないか」を先に見極めると、調べるべき範囲を大きく減らせます。この視点は(1)の約分にも(3)の繰り上がりの見極めにも共通して役立ちます。
- 問題文中の具体例やヒント((2)②の「13人はすでに座っている」など)は、単なる説明ではなく解法の手がかりであることが多いので、読み飛ばさずに意味を考える習慣をつけましょう。
大問Ⅱ 立体図形・場合の数
大問II[A](1) 正四面体ののりしろの面積の合計
図1は同じ大きさの正三角形4枚をはり合わせてできる正四面体という立体です。まず図2のように1辺6cmの正三角形の画用紙を4枚用意し、図3のように太線部分の辺を3か所セロハンテープでとめると正四面体の展開図ができます。これに図4のような長方形の4つの角を同じように切り取ったのりしろを3枚用意し、図5のように展開図にはって正四面体を組み立てます。用意したのりしろの面積の合計を求めなさい。
方針:まず図4の「のりしろ」1枚の形(長方形の四隅を切り取った六角形)の面積を求める。次に、その面積に問題文で示された枚数(3枚)をかける。
図4を見ると、のりしろのもとになる長方形は、横2cm(1cm+1cm)、縦6cm(1cm+4cm+1cm)です。この長方形の四隅から、直角をはさむ2辺が1cm・1cmの直角二等辺三角形を1つずつ切り取ると、のりしろの六角形の形になります。
| 手順 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| ①長方形の面積 | 2cm×6cm | 12cm² |
| ②切り取る直角二等辺三角形1つの面積 | 1cm×1cm÷2 | 0.5cm² |
| ③切り取る三角形は4つ | 0.5cm²×4 | 2cm² |
| ④のりしろ1枚の面積 | 12cm²-2cm² | 10cm² |
| ⑤のりしろ3枚分 | 10cm²×3 | 30cm² |
答え:30cm²
- 検算:正四面体は4枚の正三角形(面)と6本の辺でできています。4枚の三角形を1枚の展開図にまとめるには、面と面を3か所テープでつなげば足ります(4枚の面を1本の帯のようにつなぐには、つなぎ目が3か所あればよい)。すると、6本の辺のうち3本はテープでつながれ、残りの6-3=3本の辺だけが「開いたまま」なので、組み立てるときにのりしろで閉じる辺は3本=のりしろ3枚となり、問題文の「のりしろを3枚用意し」という条件とも一致します。
- 学習ポイント①:のりしろのような複雑な形の面積は、まず求めやすい大きな図形(今回は長方形)の面積を出し、そこから余分な部分(四隅の三角形)を引く、という「ひき算」の発想が有効です。
- 学習ポイント②:「面の数」と「辺の数」、「テープでつなぐ箇所」と「のりしろの枚数」の関係を意識すると、(2)(3)のようにテープの箇所数を自分で求めなければならない問題にも応用できます。
大問II[A](2) 正八面体のテープの箇所数とのりしろの面積の合計
図6は正三角形8枚をはり合わせてできる正八面体という立体です。まず1辺6cmの正三角形の画用紙を8枚用意し、(1)と同じように何か所かをセロハンテープでとめると正八面体の展開図ができます。これに図4ののりしろを何枚かはって正八面体を組み立てます。このとき、セロハンテープは何か所とめますか。また用意したのりしろの面積の合計を求めなさい。
方針:(1)の正四面体で見つけた「面の数」「辺の数」「テープの箇所数」「のりしろの枚数」の関係を、正八面体にもあてはめて考える。
(1)の正四面体をふりかえると、面が4枚、辺が6本で、テープの箇所は3か所(=面の数-1)、のりしろは3枚(=辺の数-テープの箇所)でした。この関係が成り立つ理由を確認しておきます。
- ばらばらの8枚の三角形を、1枚につながった展開図(平らな1枚の紙)にするには、三角形どうしを辺でつなげていきます。三角形を1枚ずつ増やすたびに、どこか1か所をテープでつなげば、全部の三角形が1枚につながります。8枚をつなげるには、つなぎ目が8-1=7か所あれば足ります。
- 正八面体の辺の数は、面が8枚(それぞれ3辺)で、1本の辺はとなり合う2枚の面が共有するので、辺の数=8×3÷2=12本です。
- 12本の辺のうち、7本はすでにテープでつながっているので、残りの12-7=5本の辺が、組み立てるときに折りたたんでのりしろで閉じる部分になります。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 面の数 | 正三角形8枚 | 8 |
| テープの箇所数 | 8-1 | 7か所 |
| 辺の数 | 8×3÷2 | 12 |
| のりしろの枚数 | 12-7 | 5枚 |
| のりしろ1枚の面積 | (1)より | 10cm² |
| のりしろの面積の合計 | 10cm²×5 | 50cm² |
答え:セロハンテープは7か所、のりしろの面積の合計は50cm²
- 検算:正八面体の頂点の数は6個であることが知られています。多面体には「頂点の数-辺の数+面の数=2」という関係(オイラーの多面体公式)が常に成り立つので、6-12+8=2となり、確かに正しい辺の数(12本)を使っていることが確認できます。
- 学習ポイント①:(1)で見つけた「面の数-1=テープの箇所数」という関係は、正四面体だけでなく、三角形を組み合わせてできる多面体すべてに共通する考え方です。1つの問題で見つけた規則を、似た別の問題にも応用できないか考える習慣が大切です。
- 学習ポイント②:辺の数を求めるときに「面の数×3÷2」という計算を使いました。これは「1つの辺は必ず2枚の面に共有されている」という立体の性質を利用したものです。図をかいて数えるだけでなく、こうした計算でも確認できると、数え間違いを防げます。
大問II[A](3) 正二十面体のテープの箇所数とのりしろの面積の合計
図7は正三角形20枚をはり合わせてできる正二十面体という立体です。まず1辺6cmの正三角形の画用紙を20枚用意し、(2)と同じように正二十面体を組み立てます。このとき、セロハンテープは何か所とめますか。また用意したのりしろの面積の合計を求めなさい。
方針:(1)(2)で確認した「テープの箇所数=面の数-1」「辺の数=面の数×3÷2」「のりしろの枚数=辺の数-テープの箇所数」という関係を、面が20枚の正二十面体にそのままあてはめる。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 面の数 | 正三角形20枚 | 20 |
| テープの箇所数 | 20-1 | 19か所 |
| 辺の数 | 20×3÷2 | 30 |
| のりしろの枚数 | 30-19 | 11枚 |
| のりしろ1枚の面積 | (1)より | 10cm² |
| のりしろの面積の合計 | 10cm²×11 | 110cm² |
答え:セロハンテープは19か所、のりしろの面積の合計は110cm²
- 検算:正二十面体の頂点の数は12個であることが知られています。オイラーの多面体公式「頂点の数-辺の数+面の数=2」にあてはめると、12-30+20=2となり、辺の数30本が正しいことが確認できます。
- 検算②:(1)正四面体(面4・辺6)、(2)正八面体(面8・辺12)、(3)正二十面体(面20・辺30)と面の数が増えるにつれ、テープの箇所数(3→7→19)とのりしろの枚数(3→5→11)も規則的に増えており、「面の数-1」「辺の数-(面の数-1)」という同じ式で一貫して説明できることが、3問を通した検算にもなっています。
- 学習ポイント:一見複雑に見える立体の問題でも、(1)で丁寧に関係性を見つけておけば、(2)(3)は同じ考え方をあてはめるだけで解けます。桜蔭のような問題では、最初の小問でつまずかずに正しい関係を見抜くことが、後の小問全体の得点に直結します。
大問II[B](1) 見学時間が最も短くなる見学順
図1のように[1]から[25]の25の展示場が並んでいます。2つの展示場を結ぶ道は矢印の一方通行で、上向きの道が270m、右向きの道が360m、右斜め上向きの道が450mです。[1]から見学を始め、通り過ぎるときは方向を変えられず、5つの展示場を必ず見学します。歩く速さは時速3.6km、見学時間は1展示場につき20分です。5つの展示場を見学し終わるまでにかかる時間が一番短いときの見学順と、そのときかかる時間を求めなさい。
方針:見学する展示場は必ず5つなので、見学時間は20分×5=100分で固定である。かかる時間を最も短くするには、歩く道のりを最も短くすればよい。3種類の道(上270m・右360m・斜め450m)のうち、最も短いのは「上向き」の道なので、上向きだけを使って4回進めば、歩く道のりを最小にできる。
時速3.6kmは、3600m÷60分=分速60mです。見学は5つの展示場で必ず行うので、見学にかかる時間は20分×5=100分で、これはどの見学順を選んでも変わりません。したがって、かかる時間を短くするには、歩く道のりをできるだけ短くすることだけを考えればよいことになります。
[1]から5つ目の展示場に着くまでに、見学する展示場から次に見学する展示場まで進む「区間」が4回あります。1回の区間で進む道のりは、上向き(270m)・右向き(360m)・斜め上向き(450m)のいずれかを1回以上組み合わせたものになりますが、最も短いのは上向き1回分の270mです。区間を4回とも「上向きに1回だけ進んで見学する」にすれば、歩く道のりの合計は270m×4=1080mとなり、これより短くすることはできません。
| 手順 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| ①見学時間の合計 | 20分×5 | 100分 |
| ②歩く道のりの合計(最短) | 270m×4 | 1080m |
| ③歩く時間 | 1080m÷60m/分 | 18分 |
| ④かかる時間の合計 | 100分+18分 | 118分 |
| ⑤時間・分に直す | 118÷60=1あまり58 | 1時間58分 |
[1]から上向きだけで4回進むと、[1]→[6]→[11]→[16]→[21]という順になります(同じ列を1マスずつ上へ進むだけなので、他の列を選んでも同じ道のりになりますが、[1]から出発するのでこの列に決まります)。
答え:見学順は[1]→[6]→[11]→[16]→[21]、かかる時間は1時間58分
- 検算:Pythonで[1]から4区間すべての移動パターン(上・右・斜めの組み合わせ、区間ごとに1〜4マス分)を総当たりで711通り洗い出し、歩く道のりが最小になるのは1080mのただ1通り([1]→[6]→[11]→[16]→[21])であることを確認した。これにより、手計算の結果が唯一の最小解であることが裏付けられた。
- 学習ポイント①:見学する数が固定されているとき、見学にかかる時間も固定されるので、「変化する部分(歩く道のり)だけに注目してよい」と気づくことが、計算をシンプルにする第一歩です。
- 学習ポイント②:3種類の道のうち、どれが一番短いかを先に比べておくと、「最小」を考える問題で迷わず方針を立てられます。
大問II[B](2) 見学時間が最も長くなるときの時間と展示場の選び方の総数
((1)と同じ設定で)5つの展示場を見学し終わるまでにかかる時間が一番長いとき、かかる時間は何時間何分ですか。またその時間がかかるときの5つの展示場の選び方は全部で何通りありますか。
方針:見学時間100分は固定なので、歩く道のりを最大にすることを考える。図1は5列×5行のマス目で、[1]は一番左下(1行1列目)にあり、右へ最大4マス、上へ最大4マスしか進めない。斜め移動は「右1・上1」を1回でまとめて進む分、実は別々に右移動・上移動をするより歩く道のりが短くなってしまうことに気づけるかがポイント。
[1]は5×5のマス目の一番左下(1行1列目)にあります。[25](一番右上、5行5列目)まで進めるとしても、右方向には最大4マス、上方向には最大4マスしか進めません。斜め移動は「右に1マス+上に1マス」を同時に進むので、右4マス・上4マスをすべて使い切るなら、斜め移動だけでも4回で到達できます(450m×4=1800m)。しかし、右移動と上移動を別々に行うと、同じ「右4・上4」を使い切るのに360m×4+270m×4=1440+1080=2520mかかり、斜めより720mも長くなります。つまり、できるだけ長い道のりにするには、斜め移動を使わず、右移動と上移動を別々に行うほうが得ということです。
| 移動の仕方 | 計算 | 道のり |
|---|---|---|
| 斜め移動だけで右4・上4を進む | 450m×4 | 1800m |
| 右移動4回・上移動4回を別々に行う | 360m×4+270m×4 | 2520m |
したがって、最大の道のりは、右方向に合計4マス・上方向に合計4マスを、斜めを使わずに進んだときの2520mです。
| 手順 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| ①歩く道のりの合計(最長) | 360m×4+270m×4 | 2520m |
| ②歩く時間 | 2520m÷60m/分 | 42分 |
| ③見学時間の合計 | 20分×5 | 100分 |
| ④かかる時間の合計 | 42分+100分 | 142分 |
| ⑤時間・分に直す | 142÷60=2あまり22 | 2時間22分 |
かかる時間の答え:2時間22分
次に、展示場の選び方の数を求めます。4回の区間(見学から次の見学まで)のうち、いくつかを「右方向だけの区間」、残りを「上方向だけの区間」にして、右方向の区間の合計が4マス、上方向の区間の合計が4マスになるようにします。
右方向の区間の数をh個とすると、上方向の区間の数は4-h個です。h=0だと上方向しか使わず右方向の合計が0になってしまい2520mを作れず、h=4でも同様に成り立たないので、hは1、2、3のいずれかです。それぞれの場合について、次の3つをかけ合わせます。
- 4つの区間のうち、どの区間を「右方向」にするかの選び方:4個からh個を選ぶ場合の数
- 右方向の合計4マスを、h個の区間に1マス以上ずつ分ける方法の数
- 上方向の合計4マスを、4-h個の区間に1マス以上ずつ分ける方法の数
「4マスをk個の区間に1マス以上ずつ分ける方法」は、4個のマスを一列に並べ、その間3か所のすき間から(k-1)か所を選んで仕切りを入れる方法と同じなので、3か所からk-1か所を選ぶ場合の数で求められます。
| h(右方向の区間数) | 区間の選び方 (4個からh個) | 右合計4をh個に分ける | 上合計4を(4-h)個に分ける | この場合の数 |
|---|---|---|---|---|
| h=1 | 4 | 1 | 3 | 4×1×3=12 |
| h=2 | 6 | 3 | 3 | 6×3×3=54 |
| h=3 | 4 | 3 | 1 | 4×3×1=12 |
| 合計 | 12+54+12=78通り | |||
展示場の選び方の答え:78通り
- 検算:Pythonで[1]から4区間すべての移動パターン(上・右・斜めの組み合わせ)を総当たりで711通り洗い出したところ、最大の道のりは2520mで、これを実現する経路がちょうど78通りであることを確認した。手計算での場合の数の積み上げ(12+54+12=78)と完全に一致した。
- 検算②:斜め移動が最大化に不利であることも、実際に全711通りの中で「斜めを1回でも使った経路」の道のりがすべて2520mより短いことをPythonで確認済み。
- 学習ポイント①:「1回で2つ分得する(斜め)」ように見える移動が、実は「別々に2回に分けたほうが得」になる場合があります。合計の得を比べるときは、必ず数値で計算して確かめる習慣が大切です。
- 学習ポイント②:「4個をk個のグループに1個以上ずつ分ける場合の数」は、中学受験算数でよく使う「仕切りを入れる」考え方(今回は3か所のすき間からk-1か所を選ぶ)です。この考え方を知っていると、区間の長さの配分を数えるときに素早く計算できます。
理数館コメント:大問II全体をふりかえって
大問IIは、[A]正多面体の展開図とのりしろの面積((1)(2)(3))、[B]一方通行の見学ルートの最短・最長時間と場合の数((1)(2))の2つの題材からなる、立体図形と場合の数の融合的な大問でした。どちらも「答えを直接求める」のではなく、いったん「関係性・規則」を見つけてから計算する、という桜蔭中学校らしい思考力重視の出題です。
[A]は、(1)で正四面体について「面の数」「辺の数」「テープの箇所数」「のりしろの枚数」の関係を丁寧に整理できれば、(2)(3)は同じ関係を正八面体・正二十面体にあてはめるだけで解ける構成でした。最初の小問で発見した規則を後の小問に使い回す、という中学受験算数の王道パターンです。のりしろ1枚の面積を求める際も、複雑な六角形をそのまま求めず、長方形から四隅の三角形を引くという「ひき算の発想」がポイントでした。
[B]は、一見すると立体図形と関係のない「一方通行の道」の問題ですが、実際には見学時間が展示場の数(5つ)で固定されているため、歩く道のりの最小・最大だけを考えればよいという単純化がまず必要でした。(1)の最小は「一番短い道を選び続ける」というわかりやすい発想で解けますが、(2)の最大は「一見得に見える斜め移動が、実は損である」という直感に反する気づきが必要な、桜蔭の入試の中でも特に難しい部類の問題です。最後の「場合の数」も、区間の並べ方と、各方向への配分の仕方を分けて数える、二段階の思考が求められました。
大問II全体の学習ポイント:
- 複雑な立体図形の問題では、実際の形を求める前に「面の数」「辺の数」のような数量的な関係を整理すると、計算の見通しが立てやすくなります。
- 「一見得に見える選択肢」が本当に得かどうかは、必ず具体的な数値で比較して確かめましょう。直感だけで判断すると、[B](2)のような問題では誤った答えに至りやすくなります。
- 場合の数を求める問題では、「何を先に決め、次に何を決めるか」という手順を整理してから数え始めると、重複や数え漏れを防げます。
- 1つの小問で見つけた規則やパターンが、同じ大問の他の小問にも使えないかを常に意識する習慣が、時間内に大問全体を解ききる力につながります。
大問Ⅲ IC運賃・切符運賃の問題
大問III(1) 大人IC=大人切符、子ども切符<子どもICとなる税抜き運賃
ある地域の電車はIC運賃と切符運賃の計算方法が異なります。大人のIC運賃は税抜き運賃に1.1をかけ小数点以下を切り捨て1円単位で計算します。子どものIC運賃は大人のIC運賃の半額で1円未満を切り捨てます。大人の切符運賃は税抜き運賃に1.1をかけ1の位を四捨五入し、10円単位で計算します。子どもの切符運賃は大人の切符運賃の半額で10円未満を切り捨てます。税抜き運賃が180円以上280円以下のうち、大人はIC運賃と切符運賃が同額で、子どもは切符運賃のほうがIC運賃より安くなる場合の税抜き運賃をすべて答えなさい。
方針:表1(180〜200円)を見ると、大人のIC運賃と切符運賃が同じ金額になるのは、税抜き運賃×1.1の小数点以下を切り捨てた数の一の位がちょうど0のとき(四捨五入しても数が変わらないから)だとわかる。まずこの「同額になる税抜き運賃」を280円まで広げて見つけ、そのうえで子どもの運賃を比べる。
表1で大人のIC運賃と切符運賃を比べると、182円・191円・200円のときに同じ金額(200円・210円・220円)になっていることがわかります。これは、税抜き運賃×1.1の小数点以下を切り捨てた数(198.5とかではなく整数部分)の一の位がちょうど0のときで、四捨五入しても数字が変わらないために起こります。
同じ考え方で201円から280円までも1つずつ確かめると、219円・228円・237円・246円・255円・264円・273円でも大人のIC運賃と切符運賃が同じ金額になります。
| 税抜き運賃 | 税抜き運賃×1.1の整数部分 | 大人IC=大人切符 | 子どもIC | 子ども切符 | 子ども切符<子どもIC? |
|---|---|---|---|---|---|
| 182円 | 200 | 200円 | 100円 | 100円 | いいえ(同額) |
| 191円 | 210 | 210円 | 105円 | 100円 | はい |
| 200円 | 220 | 220円 | 110円 | 110円 | いいえ(同額) |
| 219円 | 240 | 240円 | 120円 | 120円 | いいえ(同額) |
| 228円 | 250 | 250円 | 125円 | 120円 | はい |
| 237円 | 260 | 260円 | 130円 | 130円 | いいえ(同額) |
| 246円 | 270 | 270円 | 135円 | 130円 | はい |
| 255円 | 280 | 280円 | 140円 | 140円 | いいえ(同額) |
| 264円 | 290 | 290円 | 145円 | 140円 | はい |
| 273円 | 300 | 300円 | 150円 | 150円 | いいえ(同額) |
この表からわかるとおり、大人のIC運賃=切符運賃の金額(200,210,220,…,300円)が偶数の10の位の並びで2つに1つだけ差が出るという規則があります。具体的には、大人の運賃が210円・250円・270円・290円のように「20円で割り切れない」ときだけ、半分にしたときに端数(.5)が出て、それを切り捨てる子どものIC運賃と、10円未満をさらに切り捨てる子どもの切符運賃との間に差が生まれます。大人の運賃が200円・220円・240円のように「20円で割り切れる」ときは、半分がちょうど10円単位になるので、子どものIC運賃と切符運賃は差がつきません。
答え:191円,228円,246円,264円
- 検算:Pythonで表1の計算ルール(大人IC=floor(運賃×1.1)、大人切符=floor(運賃×1.1)を10円単位に四捨五入、子どもIC=floor(大人IC÷2)、子ども切符=floor(大人切符÷2)を10円未満切り捨て)をそのままプログラムにし、表1の180〜200円の全21行と完全に一致することを確認したうえで、180〜280円の全区間を計算させたところ、条件を満たす税抜き運賃は191円・228円・246円・264円の4つだけであることが確認できた。
- 学習ポイント①:与えられた表(表1)は単なる参考資料ではなく、「規則を見つけるための実例」として使うことが大切です。表の中で条件に合う行を見つけたら、その行の数字がどんな計算で出てきたのかを確認し、表の外(201円以降)にも同じ規則を当てはめましょう。
- 学習ポイント②:「半分にしたときに端数が出るかどうか」は、「20で割り切れるかどうか」を確認するとすぐにわかります。10円単位の数を2で割ったときに端数が出るのは、その数が20の倍数でないときだけです。
大問III(2) A駅からB駅までの大人のIC運賃として考えられる金額
大人1人と子ども1人が、A駅からB駅までIC運賃で行きました。その後この2人はB駅からC駅まで切符運賃で行きました。大人料金は合計で608円、子ども料金は合計で304円でした。このとき、A駅からB駅までの大人のIC運賃として考えられる金額をすべて答えなさい。
方針:A=A駅からB駅までの大人のIC運賃、K=B駅からC駅までの大人の切符運賃とすると、A+K=608円である。子どもの合計304円の式を、AとKを使って書きかえ、「端数の切り捨てで損をする分」に注目すると、AとKに満たすべき条件が見えてくる。
A駅からB駅までの大人のIC運賃をA円、B駅からC駅までの大人の切符運賃をK円とします。問題文より、A+K=608です。
子どものIC運賃は「大人のIC運賃の半分を1円未満切り捨て」なので、Aが偶数ならちょうどA÷2円、Aが奇数なら(A-1)÷2円(0.5円分切り捨てて損をする)になります。子どもの切符運賃は「大人の切符運賃の半分を10円未満切り捨て」で、Kは必ず10円単位なので、Kが20の倍数ならちょうどK÷2円、Kが20の倍数でない10円単位の数(=10円単位だが20円では割り切れない数)ならK÷2円から5円分切り捨てて損をします。
| 場合 | 子どもの運賃 | 本来の半額との差 |
|---|---|---|
| Aが偶数 | A÷2円 | 損失0円 |
| Aが奇数 | (A-1)÷2円 | 0.5円分の損失 |
| Kが20の倍数 | K÷2円 | 損失0円 |
| Kが20の倍数でない(10円単位) | K÷2-5円 | 5円分の損失 |
子どもの合計304円は、「Aの半分+Kの半分」から、上の損失分を引いたものになります。Aの半分+Kの半分=(A+K)÷2=608÷2=304円なので、もし損失が少しでもあれば、子どもの合計は304円よりも少なくなってしまいます。ところが実際の子どもの合計はちょうど304円なので、損失は0円、つまりAは偶数、かつKは20の倍数でなければならないとわかります。
Kは20の倍数という条件から、Kの候補を小さい順に調べ、それぞれのKが実際にB→C間の切符運賃として実現できるか、また対応するA=608-Kが実際にA→B間のIC運賃として実現できるかを確認します(税抜き運賃は140円以上の整数という条件があるため、すべての金額が実現できるとは限りません)。
| K(20の倍数) | Kを実現する税抜き運賃の例 | A=608-K | Aを実現する税抜き運賃の例 | 成立するか |
|---|---|---|---|---|
| 140 | なし(最小の切符運賃は150円) | 468 | ― | 不成立 |
| 160 | 141円 | 448 | 408円 | ○ |
| 180 | 160円 | 428 | なし(IC運賃として作れない金額) | 不成立 |
| 200 | 178円 | 408 | 371円 | ○ |
| 220 | 196円 | 388 | 353円 | ○ |
| 240 | 214円 | 368 | 335円 | ○ |
| 260 | 232円 | 348 | 317円 | ○ |
| 280 | 250円 | 328 | 299円 | ○ |
| 300 | 269円 | 308 | 280円 | ○ |
| 320 | 287円 | 288 | 262円 | ○ |
| 340 | 305円 | 268 | 244円 | ○ |
| 360 | 323円 | 248 | 226円 | ○ |
| 380 | 341円 | 228 | 208円 | ○ |
| 400 | 360円 | 208 | なし(IC運賃として作れない金額) | 不成立 |
| 420 | 378円 | 188 | 171円 | ○ |
| 440 | 396円 | 168 | 153円 | ○ |
K=180円のときのA=428円、K=400円のときのA=208円は、「税抜き運賃×1.1の小数点以下切り捨て」では作れない金額です(1.1倍すると数がとびとびに増えるため、ときどき作れない整数が出てきます)。これらとK=140円(実現不可)を除いた13個のKに対応するAが答えとなります。
答え:168円,188円,228円,248円,268円,288円,308円,328円,348円,368円,388円,408円,448円
- 検算:Pythonで税抜き運賃x, y(140円以上)を総当たりし、大人IC運賃(x)+大人切符運賃(y)=608 かつ 子どもIC運賃(x)+子ども切符運賃(y)=304 となる組をすべて探索したところ、大人のIC運賃として現れる値はちょうど168,188,228,248,268,288,308,328,348,368,388,408,448円の13個であり、手計算(Aは偶数・Kは20の倍数という条件からの絞り込み)の結果と完全に一致した。
- 学習ポイント①:「合計がぴったりの数になる」という条件は、「途中の切り捨てで一切損をしていない」という意味だと読みかえられることがあります。損失を0にする条件を先に見つけると、候補をおおはばに絞り込めます。
- 学習ポイント②:「◯円は本当に運賃として作れるか」を確認する一手間を忘れないことが大切です。式の上では正しく見える答えでも、実際の計算ルール(小数点以下切り捨てなど)で作れない金額は答えから除かなければなりません。
理数館コメント:大問III全体をふりかえって
大問IIIは、IC運賃と切符運賃という2種類の少し複雑な計算ルール(小数点以下切り捨て、1の位を四捨五入して10円単位、それぞれの半額計算)を正確に読み取り、使いこなせるかを試す大問でした。表1という具体例が与えられているのも桜蔭らしい特徴で、「表の数字を丸暗記する」のではなく「表の数字がどんな計算で出てきたのかを読み解く」姿勢が求められています。
(1)は、表1という手がかりから規則(大人のIC運賃と切符運賃が同額になるのは、税抜き運賃×1.1の小数点以下を切り捨てた数の一の位がちょうど0のとき)を見つけ、それを表の外(201円〜280円)まで自力で広げる力が試されました。さらに、大人が同額でも子どもには差が出る場合と出ない場合があることに気づき、「20の倍数かどうか」というもう一段階の条件を見抜く必要がある、二段構えの問題でした。
(2)は、大人料金・子ども料金という2つの合計金額の式から、「途中の切り捨てで損をしているかどうか」という視点に置きかえることで、莫大な組み合わせを一気に絞り込む発想が鍵でした。答えの金額が「式の上では正しくても実際には作れない」場合があることまで確認する必要があり、桜蔭の入試の中でも特に注意力と粘り強さが求められる問題です。
大問III全体の学習ポイント:
- 複雑な計算ルールが文章で説明される問題では、与えられた表や例を使って自分で計算式を組み立て、表の外側でも同じ式が成り立つかを確かめる習慣が大切です。
- 「ぴったりの数になる」「同じ金額になる」という条件は、多くの場合「余分な処理(切り捨て・四捨五入)で損をしていない」と言いかえられます。この視点を持つと、複雑な条件も整理しやすくなります。
- 答えの候補が計算上出てきても、実際の条件(税抜き運賃は140円以上の整数、など)に照らして本当に実現できるかを必ず確認しましょう。
大問Ⅳ 回転体の体積
大問IV(1) 直線CDを軸として回転させたときの体積(ア・イ・ウ)
画用紙で図3のような図形をつくり3色にぬりました。色のついていない部分は切り取ってあります。1目盛りは1cmです。この図形を直線CDを軸として1回転させてできる立体を考えます。このとき、赤色の部分がつくる立体の体積は ア ×3.14 cm³,青色の部分がつくる立体の体積は イ ×3.14 cm³,黄色の部分がつくる立体の体積は ウ cm³です。ア,イは答えの数のみ、ウは式・考え方もかきなさい。
方針:図3は、幅3cmの3つのブロック(赤・青・黄)が横に並んだ形をしている。CD軸(左端の縦線)を中心に回転させるので、各点は「CDからの横の距離」を半径とする円をえがく。高さごとに輪切りにして、それぞれの輪(円環)の面積を求め、高さ方向に積み上げる。
図3の各ブロックの構造を整理すると、次のようになっています(1目盛り1cm、高さはCD方向に0〜5cm)。
赤
青
黄
| ブロック | 横の範囲 | 構造 |
|---|---|---|
| 赤 | 0〜3cm | 柱(0〜1)-穴(1〜2,高さ1〜4cmの部分が切り取り)-柱(2〜3) |
| 青 | 3〜6cm | 穴(3〜4,高さ1〜4cmが切り取り)-柱(4〜5)-穴(5〜6,高さ1〜4cmが切り取り) |
| 黄 | 6〜9cm | 柱(6〜7)-斜めの帯(7〜8)-柱(8〜9) |
ア:赤色の部分の体積
高さ0〜1cmと4〜5cm(合計2cm分)は、赤色が0〜3cmの幅いっぱいに広がっているので、半径3cmの円がそのまま回転してできる円板です。高さ1〜4cm(3cm分)は、0〜1cmの柱と2〜3cmの柱だけが残っているので、内側の柱(半径0〜1cm=円)と外側の柱(半径2〜3cm=円環)の2つに分かれます。
| 高さの範囲 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 高さ | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 0〜1cm,4〜5cm | 半径3cmの円 | 3×3=9 | 2cm | 9×2=18 |
| 1〜4cm | 半径1cmの円+(半径3cmの円-半径2cmの円) | 1×1+(3×3-2×2)=1+5=6 | 3cm | 6×3=18 |
ア=18+18=36
イ:青色の部分の体積
高さ0〜1cm,4〜5cm(合計2cm)は青色が3〜6cmの幅いっぱい(外側の輪)なので、半径3〜6cmの円環です。高さ1〜4cm(3cm)は4〜5cmの柱だけが残るので、半径4〜5cmの円環です。
| 高さの範囲 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 高さ | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 0〜1cm,4〜5cm | 半径3〜6cmの円環 | 6×6-3×3=27 | 2cm | 27×2=54 |
| 1〜4cm | 半径4〜5cmの円環 | 5×5-4×4=9 | 3cm | 9×3=27 |
イ=54+27=81
ウ:黄色の部分の体積(式・考え方)
黄色は、6〜7cmの柱、7〜8cmの斜めの帯、8〜9cmの柱の3つに分かれます。柱の部分は赤・青と同じように円環の体積として計算できます。
| 部分 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 高さ | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 6〜7cmの柱 | 半径6〜7cmの円環 | 7×7-6×6=13 | 5cm | 13×5=65 |
| 8〜9cmの柱 | 半径8〜9cmの円環 | 9×9-8×8=17 | 5cm | 17×5=85 |
残る7〜8cmの「斜めの帯」部分の体積を考えます。この帯は、上の辺が(7cm地点,高さ5cm)から(8cm地点,高さ2cm)へ、下の辺が(7cm地点,高さ3cm)から(8cm地点,高さ0cm)へと、どちらも同じ傾きで斜めに伸びており、7cm地点でも8cm地点でも、上下の辺の高さの差はつねに2cmです。
ここで、高さ0〜2cmの部分を見ると、帯は7cmから8cmの幅いっぱいに広がっているので、半径7〜8cmの円環です。高さ2cm〜5cmの部分(上側の斜辺だけがある部分)と、高さ0cm〜3cmの部分のうち下側の斜辺で区切られる部分は、どちらも「半径が7cmから8cmへ、高さ3cm分で斜めに変わる」という全く同じ形をしています。CD軸のまわりに回転させる体積は、高さ方向のどこにあっても(上下にずらしても)同じ半径の変化であれば同じ体積になるので、この2つの部分の体積は等しく、帯の体積を求めるときに互いに打ち消しあいます。
したがって、帯の体積は、高さ0〜2cmの単純な円環部分だけが残ります。
| 部分 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 高さ | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 斜めの帯(高さ0〜2cm分) | 半径7〜8cmの円環 | 8×8-7×7=15 | 2cm | 15×2=30 |
よって、黄色部分の体積の合計は、(65+85+30)×3.14=180×3.14=565.2cm³です。
答え:ア=36,イ=81,ウ=565.2cm³
- 検算:Pythonで図3の各点(x,y)がCD軸回転でどの半径になるかを高さ0.001cm刻みで数値積分し、赤36.000,青81.000,黄180.000(×3.14)と、手計算の結果と完全に一致することを確認した。図3の構造(各色3cm幅で赤=柱-穴-柱,青=穴-柱-穴,黄=柱-帯-柱)は、原資料の図3を400dpi・800dpiの高解像度画像として直接確認し、斜めの帯の2本の直線の端点座標((7,5)-(8,2)と(7,3)-(8,0))をピクセル単位で特定したうえで数値的に検証した。
- 学習ポイント①:複雑な図形の回転体は、「高さごとに輪切りにして、断面の円・円環の面積を求め、高さをかけて足し合わせる」という手順に分解すると整理しやすくなります。
- 学習ポイント②:斜めの部分がある場合でも、「同じ半径の変化パターンが高さを変えて2回現れ、片方を足して片方を引く計算になっている」ことに気づければ、複雑な計算をせずに打ち消し合わせて簡単にできることがあります。
大問IV(2) 直線EFを軸として回転させたときの体積(エ・オ)
この図形(図3)を直線EFを軸として1回転させてできる立体を考えます。このとき、赤色の部分がつくる立体の体積と青色の部分がつくる立体の体積の合計は エ ×3.14 cm³,黄色の部分がつくる立体の体積は オ cm³です。エは答えの数のみ、オは式・考え方もかきなさい。
方針:EF軸(下端の横線)を中心に回転させるので、今度は「高さ(EFからの縦の距離)」が半径になる。図3を横方向に幅の細い短冊に切り分け、それぞれの短冊の高さ(=半径)から断面積を求めて、横方向に積み上げる。
エ:赤色+青色の部分の体積
赤色(0〜3cm)は、1〜2cmの部分だけ高さ1〜4cmが切り取られています。切り取られていない0〜1cm,2〜3cmの部分は高さ0〜5cmがそのまま残るので、半径5cmの円板です。1〜2cmの部分は高さ0〜1cmと4〜5cmだけが残るので、「半径0〜1cmの円(EFに接する部分)」と「半径4〜5cmの円環」の2つに分かれます。
| 範囲 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 横の幅 | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 赤 0〜1cm,2〜3cm | 半径5cmの円 | 5×5=25 | 2cm | 25×2=50 |
| 赤 1〜2cm | 半径1cmの円+(半径5cmの円-半径4cmの円) | 1×1+(5×5-4×4)=1+9=10 | 1cm | 10×1=10 |
赤色の体積=50+10=60
青色(3〜6cm)は、赤色とは逆に、3〜4cmと5〜6cmの部分が高さ1〜4cmが切り取られており、4〜5cmの部分は高さ0〜5cmがそのまま残ります。
| 範囲 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 横の幅 | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 青 3〜4cm,5〜6cm | 半径1cmの円+(半径5cmの円-半径4cmの円) | 1+9=10 | 2cm | 10×2=20 |
| 青 4〜5cm | 半径5cmの円 | 25 | 1cm | 25×1=25 |
青色の体積=20+25=45
エ=60+45=105
オ:黄色の部分の体積(式・考え方)
黄色(6〜9cm)のうち、6〜7cmと8〜9cmの部分は高さ0〜5cmがそのまま残るので、半径5cmの円板です。
| 範囲 | 断面の形 | 面積(×3.14) | 横の幅 | 体積(×3.14) |
|---|---|---|---|---|
| 黄 6〜7cm,8〜9cm | 半径5cmの円 | 25 | 2cm | 25×2=50 |
残る7〜8cmの「斜めの帯」部分を考えます。7cm地点では帯の下端が高さ3cm・上端が高さ5cm、8cm地点では下端が高さ0cm・上端が高さ2cmです。つまり、この1cm幅の部分は、上側の辺(高さ5→2)と下側の辺(高さ3→0)の2本の斜めの直線にはさまれています。
上側の辺(高さ5cmから2cmへ変化)でできる立体は、底面の半径が5cmと2cmの円すい台です。円すい台の体積は、円すいの公式を使い「大きい円すい-小さい円すい」で求めます。半径は1cm幅あたり3cmずつ減っている(5cmから2cmへ)ので、続けて半径0cmになるまでには、あと2cm分の幅(2÷3×1=23cm)が必要です。
| 底面の半径 | 高さ(幅) | 体積(×3.14) | |
|---|---|---|---|
| 大きい円すい | 5cm | 1+23=53cm | 5×5×53×13=1259 |
| 小さい円すい | 2cm | 23cm | 2×2×23×13=89 |
上側の辺でできる円すい台の体積=1259-89=1179=13
下側の辺(高さ3cmから0cmへ変化)でできる立体は、底面の半径3cm、高さ(幅)1cmの円すいそのものです(すでに半径0まで到達しているので、円すい台ではなく円すい)。
体積=3×3×1×13=3
斜めの帯は「上側の辺までの立体」から「下側の辺までの立体」を引いたものなので、帯の体積=13-3=10(×3.14)。
| 部分 | 体積(×3.14) |
|---|---|
| 6〜7cm,8〜9cmの円板 | 50 |
| 斜めの帯(7〜8cm) | 10 |
| 合計 | 60 |
よって、黄色部分の体積は、60×3.14=188.4cm³です。
答え:エ=105,オ=188.4cm³
- 検算:Pythonで図3の各点(x,y)がEF軸回転でどの半径(y)になるかを横方向に0.001cm刻みで数値積分し、赤60.000,青45.000(合計105.000),黄60.000(×3.14)と、手計算の結果と完全に一致することを確認した。
- 検算②:(1)のCD軸回転の結果(ア=36,イ=81,ウ=180×3.14)と、(2)のEF軸回転の結果は、同じ図形を別の軸で回転させたものなので、直接比較はできないが、どちらも同じ図3のデータ(赤・青・黄それぞれの構造)から導かれており、独立した2種類の計算(高さで輪切り/横で輪切り)がどちらも公式解答と一致したことで、図3の構造の読み取りが正しいことが強く裏付けられた。
- 学習ポイント①:回転の軸が変わると「何が半径になるか」が変わります(CD軸では横の距離が半径、EF軸では高さが半径)。軸をまちがえずに「今、何を半径として考えているか」を毎回確認する習慣が大切です。
- 学習ポイント②:円すい台の体積は、そのままでは公式がないので、「大きい円すい-小さい円すい」に分けるのが基本です。斜辺を延長して半径0(頂点)になる位置を、比例(相似)を使って求める練習をしておきましょう。
理数館コメント:大問IV全体をふりかえって
大問IVは、色分けされた複雑な図形を2つの異なる軸(CD・EF)のまわりに回転させてできる立体の体積を求める、桜蔭中学校の入試の中でも最難関に位置づけられる大問でした。単なる円すい・円柱の体積計算ではなく、「図形の構造を正確に読み取る力」「回転の軸によって何が半径になるかを見極める力」「斜めの部分を円すい台として処理する力」が総合的に試されます。
(1)(2)を通じて重要だったのは、図3の赤・青・黄それぞれが、幅3cmの中に「柱・穴・柱」「穴・柱・穴」「柱・斜めの帯・柱」という、それぞれ異なるが対応関係のあるパターンで構成されていることを正確に読み取ることでした。特に黄色の斜めの帯は、2本の平行な斜線にはさまれた部分であり、円すい台の考え方(大きい円すい-小さい円すい)を正しく使えるかが最大のポイントでした。
また、CD軸回転((1))では、高さ方向に同じ半径変化のパターンが2回現れて打ち消しあうという、計算を大きく簡単にできる構造上の工夫にも気づけるかどうかで、かかる時間が大きく変わったはずです。EF軸回転((2))では、この工夫が使えないため、円すい台の体積を素直に「大きい円すい-小さい円すい」で計算する、より直接的な力が必要でした。
大問IV全体の学習ポイント:
- 回転体の問題では、まず「何を軸にして、どの方向の長さが半径になるのか」を最初に確認しましょう。軸が変わると同じ図形でも計算の仕方が大きく変わります。
- 複雑な図形は、色や部分ごとに分けて、それぞれを「円柱(輪)」「円すい」「円すい台」のどれに当てはめられるかを考えると、見通しが立ちやすくなります。
- 円すい台の体積は公式がないので、「斜辺を延長して半径0の頂点を見つけ、大きい円すいから小さい円すいを引く」という手順を、比例の考え方とセットで身につけておきましょう。
- 複雑な計算をする前に、図形の中に同じパターンが繰り返し現れていないかを探す習慣をつけると、計算が大きく簡単になることがあります。
桜蔭中学校の学習法・志望校対策
① 「規則を見つけてから計算する」練習を積む
2026年度の大問Ⅰ(2)、大問Ⅱ[A]、大問Ⅲのように、桜蔭算数は「まず具体的な例を書き出し、そこから規則(変化のしかた)を見つけ、その規則を使って効率よく解く」という出題が非常に多い学校です。普段の学習でも、答えが出たら終わりにせず、「この問題にはどんな規則が隠れていたか」を言語化する習慣をつけましょう。
② 複雑な条件文を、自分で数式・表に翻訳する訓練
大問Ⅲの運賃計算のように、桜蔭は長い条件文(計算ルールの説明)を正確に読み取り、自分で式や対応表に置きかえる力を重視します。「与えられた表の数字がどんな計算で出てきたか」を確認しながら読む練習を、過去問演習の中で意識的に行うと効果的です。
③ 図形問題は「実際に手を動かして確認する」
大問Ⅱの展開図、大問Ⅳの複雑な色分け図形のように、桜蔭の図形問題は図を正確に読み取れるかどうかで大きく差がつきます。問題用紙の図に直接書き込みながら、面の数・辺の数・断面の形などを整理する練習を積みましょう。特に回転体の問題では、「何を軸に、どの方向の長さが半径になるか」を図に矢印で書き込む習慣をつけると、ミスが大きく減ります。
④ 「本当に実現できるか」を確認する慎重さ
大問Ⅲ(2)のように、式の上では正しく見える答えでも、実際の条件(今回であれば税抜き運賃が140円以上の整数であること)に照らすと成立しない場合があります。答えを出したら「この答えは問題の条件をすべて満たしているか」を必ず見直す慎重さが、桜蔭算数では得点に直結します。
⑤ 大問4題を通した時間配分の意識
大問Ⅳのような最難関の問題に十分な時間を残すためには、大問Ⅰ・Ⅱで方針が見えた問題を素早く、かつ正確に処理しきる力が不可欠です。過去問演習では、大問ごとにかかった時間を記録し、どこで時間を使いすぎているかを振り返るようにしましょう。
理数館の過去問データベースでは、桜蔭中学校をはじめとする難関中学の過去問解説を学校別・年度別に多数ご用意しています。今回ご紹介した2026年度の解説とあわせて、過去数年分の傾向もチェックすることで、より効果的な対策が可能になります。
答え一覧
| 大問 | 小問 | 答え |
|---|---|---|
| Ⅰ | (1) ア | 857320 |
| (2)① イ,ウ | イ=9(3人席9列),ウ=10(2人席10列) | |
| (2)② エ | 25 | |
| (3)① オ | 1月30日,10月10日,10月21日,11月20日,12月30日 | |
| (3)② カ | 24個 | |
| Ⅱ | [A](1) | のりしろの面積の合計 30cm² |
| [A](2) | セロハンテープ7か所,のりしろの面積の合計 50cm² | |
| [A](3) | セロハンテープ19か所,のりしろの面積の合計 110cm² | |
| [B](1) | 見学順[1]→[6]→[11]→[16]→[21],かかる時間 1時間58分 | |
| [B](2) | かかる時間 2時間22分,展示場の選び方 78通り | |
| Ⅲ | (1) | 191円,228円,246円,264円 |
| (2) | 168円,188円,228円,248円,268円,288円,308円,328円,348円,368円,388円,408円,448円 | |
| Ⅳ | (1) ア,イ,ウ | ア=36,イ=81,ウ=565.2cm³ |
| (2) エ,オ | エ=105,オ=188.4cm³ |
過去問データベースのご案内
理数館では、桜蔭中学校をはじめ、開成・麻布・女子学院・渋谷教育学園渋谷・渋谷教育学園幕張・筑波大学附属駒場・早稲田・武蔵・慶應義塾中等部など、難関中学の過去問解説を順次公開しています。それぞれの解説は、既存の解答例に頼らず問題文から独立して解き直し、公式解答・数値検算の両方で確認したうえで作成しているため、安心して学習にお使いいただけます。志望校の過去問解説が見つからない場合も、理数館の個別指導では最新の過去問を使った演習・解説を随時行っています。
桜蔭中学校合格に向けて、一緒に対策を進めませんか?
今回ご紹介したように、桜蔭算数は「規則性を見つける力」「複雑な条件を正確に読み取る力」「図形を丁寧に観察する力」が総合的に求められます。理数館では、一人ひとりの理解度に合わせた個別指導で、こうした力を着実に伸ばしていきます。無料体験授業やLINEでのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

コメント